第6話 魔王城でピクニック
初めての作品で、手探りで執筆しておりますので内容において、度々改変などがされております。
ご不便をお掛け致しますが、温かい目でご覧頂けると幸いです。
ベイル達、魔王騎士団が謎の被害を受けて数日後。
ライトが住む魔王国がある北方大陸より南に位置する中央大陸。
その中央大陸の、とある国にある城の一室....
その一室は広々としており、部屋の隅々まで贅沢という言葉では足りないほどの装飾が施されている。
壁一面は金箔と精巧なレリーフで覆われ、部屋の奥には金細工で縁取られた富と権利の象徴のような玉座がある。
その玉座には、純白のビロードに金糸の刺繍が惜しみなく施された豪華な衣裳をまとった人物が腰を下ろし、目の前に跪く騎士風の男を睨みつけていた。
『勇者の子の居場所はまだ掴めんのかっ!!』
『はっ!現在、あらゆる手段を用いて捜索を行っておりますが、未だはっきりとした行方は掴めておりません...』
豪華な鎧に身を包んだ騎士風の男は答える
『何をやっておるかっ!あの役立たずが最後に立ち寄ったのは魔王国だという事は分かっておるはずであろう!』
『はっ!魔王国には再三、勇者の子の所在を明らかにするよう要求を行っておりますが未だ何の返答もなく、既に我等アストリア王国軍は魔王国に侵攻を進めております』
『あの忌々しき魔王ガルスが、あ奴らの子を匿っておるのは明白だっ!魔導兵器でも何でも投入し、一刻も早く魔王城を攻め落とせ!これは王命だっ!遅滞や失敗は許さんっ!!』
王命を口にする位の高そうな男は、何としてでも魔王城を攻め落とすようにと指示を飛ばす。
『はっ!!』
騎士風の男は仰々しく応えるとその場を後にした...
『何としても取り戻せ...この世界は我、アストリアのものだ...』
男は禍々しい表情で呟く。
一方その頃、魔王城ではライトの教育係兼お世話係のホイズが、ライトとハクを中庭でのピクニックに誘っていた。
最近のライトは何だか不満が溜まっているように感じたホイズが気を遣ってくれたのだ。
中庭といっても、この魔王城の中庭は実に広く、そこら辺の牧場よりも広大で、中庭中央には小高い丘もありピクニックにはもってこいのシチュエーションだ。
ライト、ハク、ホイズの3人で中庭に向い、到着早々にライトは感嘆の声をあげる。
『いつ来ても、中庭の広さには驚いちゃうねー』
『ワフッ!』
俺は10年間この魔王城に住んでいるが、この中庭には何度足来を運んでも毎度スケールのデカさに圧倒されてしまう。
しかしそれは、前世が一般庶民だったのだから仕方のないことだろう。
俺の横でハクも同じようなリアクションをとっている事から、ハクも大概庶民派なのだろうと思う。
俺達が中央の丘に到着した頃、丁度お昼時となった。
ホイズは足元に敷物を敷き、その上に豪華なお弁当を広げ始める。
『そろそろお昼の時間だで、皆んなでお弁当を食べるだーよ』
ホイズはその厳つい見た目とは裏腹に、とても器用で料理の腕もピカイチだ。
流石は料理の才の持ち主だ。
今回のお弁当も魔王ガルスを模した、いわゆるキャラ弁というやつを作ってくれたようだ。
ハクも食べるのを待ちきれないといった様子で、尻尾を高速で振り回して鼻息をふんすふんすしており非常に可愛い。
そんなハクの様子を微笑ましく眺めていると、遠くから誰かが歩いてくる。
『おーい!俺も混ぜてくれー!』
最近忙しいのか、めっきり会う事が少なくなった父ちゃんがこちらに向かって手を振りながら叫んでいる。
『魔王様だで!一緒にご飯食べるだか?』
魔王ガルスのキャラ弁を作って持って来たホイズは少し気まずそうに主人のガルスを迎える。
『父ちゃん、いつ帰って来たの?』
最近は城を留守にする事が増えた魔王ガルスに、俺はいつ戻ったのか尋ねてみた。
『あぁ、ついさっきだ』
『俺のいない間、良い子にしてたか?』
『もちろんっ!』
まるで本当の親子のようなやりとりをする俺と魔王ガルスを見て、ホイズもさっきまでの気まずそうな雰囲気が無くなり何だか嬉しそうだ。
『じゃあ魔王様も一緒に食べるだーよ』
魔王ガルスにキャラ弁を見られないように、手早く弁当を崩しながら取り分けるホイズ。
魔王ガルスにキャラ弁を悟らせないホイズの手際の良さを見て、中々やるな!と感心するライト。
とにかく美味しそうなご飯が目の前に並べられて幸せそうなハク。
そういった皆の団欒にうんうんと頷きながら満足そうにする魔王ガルス。
『うまーい!ホイズのお弁当マジで美味い!』
『ワン!ワン!』
『うん、美味い!ホイズよ、腕を上げたな!』
さすが料理の才という特性持ち、魔王も納得の味だ。
『それは良かっただーよ、早起きして作った甲斐があっただーよ』
皆んなに褒められてホイズも嬉しそうだ。
皆でご飯を食べるのは楽しい。
しかし、そんな穏やかで平和な雰囲気は大急ぎで走り寄って来た魔物達により突如終わりを告げる。
『魔王様!!』
魔物達は大慌てでここまで来たのか、息を切らし額に大汗を滲ませていた。
走り寄って来た魔物達は、チラッと俺に目をやった後に真っ直ぐに父ちゃんを見つめながら頷いた。
魔物達は何も言葉は発しなかったが、父ちゃんは何のことか分かっている様子だ。
『そうか...分かった』
『ライト!ハク!悪い、少し用事が出来た!続きはまた今度だ』
父ちゃんは魔物達に頷き返すと、俺とハクに行かなければと告げる。
『悪いがホイズも付き合ってくれ!』
ホイズに指示を出す表情もいつもより真剣にみえる。
『任せるだーよ!』
そんな魔王ガルスにホイズは珍しく真剣な声色で返事をした。
『父ちゃん!俺とハクも何か手伝うよ!』
『ワウッワウッ!』
二人の様子から只事ではないと感じた俺は、自分とハクも手伝うと申し出る。
俺も強くなっている、何を手伝うにも少しは役に立つはずだ。
それに、ハクもヤル気十分だ!
『いや、俺達はこれから城の外に行かなければいけない...。お前達は留守番を頼む』
『いや、でも!...』
『お前達!行くぞっ!』
俺の返答も聞かず父ちゃんはホイズと魔物達を伴い、足早にその場を去っていってしまった.…
『父ちゃん...』
『クゥ〜ン...』
残された俺とハクは、遠くなってゆく父ちゃん達の背中を只見送る事しか出来なかった.…




