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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~良いとこどりで最強に育って無双します~  作者: ララ
第一章 転生…そして幼少期編

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第45話 前線崩壊

空気を震わせる轟音。


血飛沫。


怒号。


悲鳴。


ゴーレムの登場により魔王国南方防壁前は、もはや戦場そのものだった。


そして――


その姿を見た瞬間。

魔王軍の誰もが息を呑んだ。


灰色の巨躯。


無機質な瞳。


巨大な剣を携えた人造兵器。


アストリア王国が誇る悪夢。


ゴーレム。


前回の侵攻戦で、勝利目前だった戦況を一変させた存在。


数多の魔族を踏み潰し。


仲間たちを殺し。


そして最後には――魔王ガルスを奪い去った。


忘れられるはずがなかった。


『やはり……現れましたか……』


アローラが苦々しく呟く。

その声には明らかな緊張が混じっていた。


隣で戦況を見ていたハインツもまた、その姿を見た瞬間に表情を変える。


『あれは……アストリア王国のゴーレムじゃねぇか……!』


怒り。


憎悪。


そして僅かな警戒。


『ハインツ殿はご存じなのですか?』


『……少々、因縁がありましてね』


短い言葉。


しかし、その奥にある感情は重かった。


だが今は理由を聞いている場合ではない。

戦場は待ってくれない。


その時だった。


インカムからシュプールの間延びした声が響く。


『ジジジ……アローラ師団長~! ゴーレムが現れました~! 数は十体で~す! それと~、前よりちっちゃい気がします~! 撃っちゃっていいですか~?』


『十体……』


前回より多い。


しかし小さい。


それならば――。


アローラは即座に決断した。


『攻撃を許可しますわ!』


『了解で~す!』


防壁上。


シュプールがニヤリと笑う。


『さぁ私の可愛いキジュウちゃん達~♪』


そして。


『イきますよぉ~!!』


次の瞬間――


ババババババババババババッ!!


ドドドドドドドドドドドドッ!!


五十基の機銃が一斉に火を吹いた。


銃身が赤熱する。


吐き出される無数の弾丸。


まるで暴風。


まるで鋼鉄の嵐。


ゴーレムたちは瞬く間に土煙の中へと飲み込まれていった。


『あらぁ~? もう逝っちゃいました~?』


シュプールが勝利を確信したように頬を緩める。


だが――


誰も確認できなかった。


土煙が濃すぎる。


何も見えない。


『シュプール室長! 状況は!?』


『まだ見えませ~ん!』


皆が固唾を呑む。


そして。


土煙が揺れた。


ほんの僅かに。


次の瞬間。


轟ッ!!


土煙を突き破って何かが飛び出した。


『――っ!?』


ゴーレムだった。


全身に弾痕。


腕は砕け。


胸部も欠損している。


だが。


まだ動いていた。


『そんな……』


誰かが呟いた。


そして一体。


二体。


三体。


次々と土煙から飛び出してくる。


機銃掃射を受けてもなお生き残ったゴーレムたち。


『ゴーレムだ!!』


『まだ動いてるぞ!!』


『止めろぉぉ!!』


『助けてくれぇぇ!!』


インカムから悲鳴が響く。


断末魔が響く。


前線が崩れる。


兵士たちが吹き飛ばされる。


ゴーレムが突破する。


その光景を見た瞬間。

アローラの脳裏に過去が蘇った。


あの日。

敗北した戦い。


魔王ガルスが捕らえられた瞬間。


あの絶望。


あの後悔。


思考が止まる。


身体が硬直する。


そして。

そんな魔王軍よりも先に動いた者たちがいた。


『ハインツ! あれは兵士型だ!』


『あぁ! まだマシな相手だ!』


『我々で止めるぞ!!』


ジューダス帝国親衛騎士団。


『フィオレリア様!! 出陣のご許可を!!』


シグルドが叫ぶ。


フィオレリアは迷わなかった。


『行きなさい!!』


『『『ハッ!!』』』


騎士たちが一斉に駆け出す。


馬が地を蹴る。


剣が抜かれる。


彼らもまたゴーレムの恐ろしさを知っていた。


だからこそ前へ出た。


守るために。


仲間を救うために。


その頃になってようやくアローラも我に返る。


『全軍! 落ち着きなさい!!』


怒号にも似た指揮。


『敵は傷を負っている! 小隊単位で対処するのですわ!!』


混乱する兵士たちへ指示を飛ばす。


しかし状況は悪い。

あまりにも悪い。


乱戦。


混戦。


友軍と敵軍が入り乱れる。


機銃は撃てない。


魔法も使いづらい。


前線は押され続ける。


そして。

ついに一体のゴーレムが戦線を突破した。


『まずい!!』


誰かが叫ぶ。


ゴーレムは一直線。


向かう先は司令部。


そこにはアローラ。


そしてフィオレリア皇女がいた。


巨大な剣が振り上げられる。


逃げる時間はない。


シグルドが叫ぶ。


『フィオレリア様ぁぁぁぁぁっ!!』


ハインツが馬を走らせる。


だが届かない。


間に合わない。


巨大な剣が振り下ろされる。


誰もがそう思った。


その時だった。


戦場の轟音の中。


場違いなほど気の抜けた声が響いた。


『お待たせしただーよ!』


その声と共に。


巨大な影がゴーレムの前へと飛び込む。


魔王軍。


いや――。


この戦場における希望そのものが。

ついに帰還した。

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