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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第一章 転生…そして幼少期

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第41話 ジューダス帝国の使者

森を抜けたフィオレリア皇女達が眼前に捉えたのは、果ての見えない巨大な防壁だった。


その防壁は圧倒的な高さで近づく者に立ちはだかるようにそこに在り、防壁前方には武装した魔物たちが秩序だった陣形を築いていた。


更に防壁上部には魔法系の魔物たちが異様な光を帯びた目でこちらを睨みつけていたのだった。


そんな光景を目の当たりにした騎士達は一瞬の戦慄の後、瞬時に護衛の対象である皇女を守ろうと隊形を整えていく…


すると防壁上部から、叫んでいるわけではないのに不思議とよく通る声が一団に届く。


『あなた達は何用で、この魔王国に足を踏み入れようとするのかしら…』



フィオレリア皇女達は、その声の主がいるであろう防壁上部に目を向けると、高い城壁の上で鋭くこちらを睨みつける一体のラミアスの姿が見えた。


その姿の正体は、魔王軍魔法師団長…今は臨時の魔王軍総指揮官のアローラだ。


『魔王国の魔族か…』


そのアローラの姿を見たシグルドが呟く。


『なんか物々しい感じになっているようだけど、どうする?シグルド…一旦出直すか?』


突然の魔王軍との遭遇にたじろぐハインツ。


すると…そんな騎士達をかき分けながら、一人の人物が相対する魔王軍の前に出る。


フィオレリア皇女だ。


そして、魔物たちの前に出たフィオレリア皇女は、自身の前に立ちはだかる魔王軍に、真っ直ぐに視線を向けながらその口を開く。


『私たちは戦うために来たのではない!ジューダス帝国皇帝陛下の命により、魔王ガルス陛下に謁見を求めにやってきた使者だ!』


その姿は、魔族達を目の前にしても恐れを抱くことなく、凛々しくも決意に溢れ、まさに人の上に立つに相応しき姿であった。


『………』


その者の発した言葉に対しアローラは思案する…


相手は中央大陸の南側に位置するジューダス帝国の使いの者だと主張している。

そして戦闘の意志はないように見える…現に目の前の騎士たちは我々を目の前にしても隊形こそ整えたが、抜剣はしていない。


しかし、その言葉だけでは信用できないのもまた事実。


『フッ…ライト様なら、あの全てを見抜く瞳で相手の正体など瞬時に看破してしまうのにね…』


一瞬相手が本物の使者かどうか迷ったアローラは、以前にライトから感じた全てを見通すような力を思い出していた。


ステータス確認の事だが、ステータス画面が見えない者達にとってはライトは全てを看破する目を持っていると思われているのだ。


『貴女達がジューダス帝国の使者だと証明するものはあるのかしら??』


『それであれば、こちらに皇帝陛下よりお預かりした書状がございます』


信じて欲しくば証拠を出して貰うしかないと言うアローラ、そしてそれに応じるシグルド。


『今取りに行かせますので、その者にお渡し頂けるかしら』


『わかりました…』


エドが翼をはためかせながらシグルドの近くに降り立つ…


『よろしく頼む』


『承知した』


短い会話を交わし書状を受け取るエド。

そしてその書状を手にアローラの元に向かい、その書状を手渡す。


受け取ったアローラは、書状にある蝋印を確認する。

そこには双頭の鷲をモチーフにしたジューダス帝国の紋章が押してある…つまりそれは正式なジューダス帝国皇帝よりの書状であるという事を意味していた。


『ジューダス帝国の使者であることは確認した!しかし貴方達の望みを叶える事は出来ないわ…』


『なぜです!!私たちがジューダス帝国の使者だという事はお分かり頂けたはずです!他に何が問題だというのでしょうか!』


魔王に会う事は無理だというアローラに、フィオレリア皇女は必死に食い下がる。


『無理なのです!….なぜなら、現在魔王様はこの国にはいらっしゃらないのですから…』


『では、どちらにおいでだというのですか!』


『それは、私の一存ではお伝えする事はできませんわ....これは意地悪で言っている訳ではないのです....貴女方がジューダス帝国の使者である事、そしてこちらとは戦闘の意思がないことは十分に理解しているつもりですわ。しかし、今はこの国に魔王様はいないとしかお伝えする事は出来ないのですわ...ご理解下さい』


『そんな....それじゃあ...それじゃあ魔王陛下はいつお戻りになるかだけでもお教え頂けないだろうか....』


『それも、私達には分からないとしかお伝えできないのですわ』


それは自分が知りたいと首を小さく降り目を伏せるアローラ。


『魔王陛下がご不在な事は理解致しました。しかし、それでも我らは何も成さずして国に帰る事はかないません。ですので、どなたか魔王陛下不在の折に皆様の代表者となられている方にお目通り頂く事はかなわないでしょうか?』


騎士のシグルドは、落胆するフィオレリア皇女の横に並び丁寧に願いを乞う....代理の者でも構わないと。


それを聞いたアローラは、そこまで言うには何か重要な用件がありそうだと感じ、次のように答える。


『でしたら、今この国には魔王代行というお立場のライト様という方がいらっしゃいますわ...その方は実に麗しい容姿を...あ、いや、ゴホンッ!ですが、その方は現在少し遠方に行かれておりますので、帰りをお待ち頂けるというのなら、お目通りを頂けるか伺って差し上げることは出来ますわ』


『是非もない!お願いして宜しいだろうか!』


アローラの言葉に希望の光を見出すシグルド。


『フィオレリア様、今はこれで....』

『そうね、ありがとう...シグルド』


『決まったようですわね。では貴女方はライト様の大切な客人。お待ちの間、魔王城にておもてなしをさせて頂きますわ!』


パンッと柏手を打ち、そう告げるアローラ。


『え?魔王城で?あ、いや、そこまでして頂かなくても....』


初めての魔王国なうえに周りに魔族がいる状態ではくつろぐ事など出来ないと、何とか逃れようとするフィオレリア皇女...


『そんな訳には参りません!さあ、お前達!陣を解いてライト様のお客様を城までご案内するのです!』


『『『ハッ!!』』』


『いや、その、ちょっと...』


少しの抵抗も虚しく、アローラと配下の者達に魔王城まで連れて行かれるのだった。

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