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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第一章 転生…そして幼少期

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第39話 北方大陸に上陸する謎の一団

ベイルが、魔竜王デッカーの特別訓練を開始したころ、魔王国がある北方大陸へ謎の一団が上陸を開始していた…


その一団が降り立った沿岸には大型の帆船…いわゆるフリゲート艦と呼ばれるタイプの船を特別仕様に改装した帆船と護衛艦とみられる船が、合わせて3隻停泊していた。


その特別仕様の船から降り立つ一人の少女と護衛のような騎士たち。


『ふぅ、やっとここまで辿り着いたわね…』


『そうですね…魔王国がある北方大陸は、我らが帝国がある中央大陸から近いとはいえ、アストリア王国を迂回した今回の経路ではそれなりに長い航路となりましたので…』


赤いハーフメイルとドレスを合わせたような装いの少女が長旅の疲れを零し、青いフルプレートの鎧を着用した騎士がそれに応える。


『とりあえず、あまり時間はないわ。まずは魔王ガルスに謁見を求めに魔王城へ向かいましょう!』


『はっ!しかし、我らが帝国と魔王国は敵対関係にはないと言いましても、完全に危険はないとは言い切れません。ですので道中、フィオレリア様は我らの後方に下がりお進み下さい!』


『大丈夫よ!私が先頭に立つわ!魔物なんて怖くないもの!』


『フィオレリア様!いけません!貴方様に何かあれば我々の首だけでは済まされません!』


『…んもう、分かったわ…とにかく急ぎましょう』


フィオレリアと呼ばれる少女と騎士たちの一団は一路魔王城へと馬を進めるのであった。



その頃魔王城では…


『アローラ!アローラはいるか!』


何やら急いだ様子でアローラを探す、斥候部隊長のエド。


『どうしたのエド…そんなに慌てて』


『もしかしたら、戦いになるかもしれん…魔王国の東側沿岸に人族のものと見られる船が停泊しているのが確認できた』


『王国の船ですか…?』


『いや、王国の旗は上がっていない…しかも3隻…戦を仕掛けるには少なすぎる』


『なるほど…だけど、少数ではあるとはいえ隠密行動の類かもしれませんわ。しかも正体不明…油断は出来ないですわね…』


『目的は不明だが、敵の可能性もある…決まり通り訓練班を呼び戻すか?』


『いえ、皆の訓練を中断させるほどの脅威ではないでしょう…あれはあくまでも王国が進行してきたことを想定した上での決め事ですので』


『そうか…では俺は一先ず船から降りた者がどこに向かっているのか調べる事にする。念のためアローラは防壁に兵を配置して守りを固めておいてくれ…』


『承知しましたわ。魔王様とライト様不在の時に国を荒らされるなどあってはならない事…そんな不届き者たちには、この私がキジュウを見舞ってやりますわ!』


すぐに部下を伴い城を飛び立つエド…そして、自身が大魔導士であるにも関わらず、魔法ではなく圧倒的な火力を目の当たりにした機銃をぶっ放すと言い放つアローラ…その表情は冗談ではなく本気だという事を物語っている。


『シュプール室長を呼んできてちょうだいな…』


『ハッ!』


エドが退室した後、アローラは開発室長を呼ぶように近くの部下に言い渡す。


『あなた達は、東側の防壁へ向かって防衛の準備をすすめてちょうだい。各部隊への伝令も忘れずにお願いね』


『『ハッ!!』』


普段から魔法師団長の地位に就いているアローラはテキパキと現在城に残っているアローラ班の面々に防衛の為の指示を飛ばしていく。


淀みなくすすんでいく防衛準備…



そこに、自身の元に呼んでいたシュプールが到着し、声を掛けてきた。


『アローラ師団長~、お呼びでしたか~?』


割と緊迫している雰囲気をアローラは出していたはずだが、シュプールには関係無いようだ…


『シュプール室長、正体不明の者達がこの魔王国に迫ってきている可能性がありますわ…念の為、至急迎撃態勢をとりますので、貴方には東側防壁でのキジュウの準備をお願い致しますわ!』


『正体不明の侵略者…』


そう呟くと、恐怖の為かフルフルと小刻みに震えだすシュプール。


『ん?シュプール室長?どうしたのですか?具合でもわる…ハッ!』



『うふ…うふふふふふ…ついにあの雄々しくイキリ立った砲身で豚共を逝き散らかす時がきたのですね…』



『そ、そうね…まだ敵だと決まったわけではないのだけれど…念の為ね…そう、念の為よ…』


『うふふふふふ…すぐに私の可愛いキジュウ達をおっき…じゃなかった準備させます~』



完全に目がキマッちゃってるシュプールを見送りながらアローラは思った…あいつはガチめにヤベェやつだと。


しかし、ライト不在の際の責任者を任命されているアローラには、シュプールの狂気性に怯んでいる時間はない。


すぐに自身も陣頭指揮を執る為に魔王国、東側の防壁へと向かうのだった。




一方で魔王国の東側、馬を進める謎の一団では…


『魔物の国と聞いていたけど、なんだか普通ね…もっとおどろおどろしい所を想像していたのだけど、むしろこの森なんかも凄く綺麗なところだわ…』


『フィオレリア様、魔物ではなく魔族ですよ…間違っても魔王ガルスを魔物呼ばわりしないで下さいね…』


「わ、わかってるわよっ!そんなことっ!』


『我々にはもう、魔王ガルスを…魔王国を頼る他ないのです…魔王の機嫌を損ねるような発言は、どうかお慎み下さい』


『わかってる…でも魔王は本当に私たちを助けてくれるかしら…魔族は闇の存在でしょ…私達の国でも民たちは魔物に襲われたりしているのに…魔族は言葉を話せるだけで、その魔物と一緒でしょ!』


『えぇ、ツヴァイス神聖国が広めるエルクス聖教では、そのようになっておりますね…ですが、それゆえに強大な力を持つ国であることも確かです。しかも魔物と同じといっても意思の疎通は出来る訳ですから…ですからこうして我々が参ったのではありませんか?危険を承知でフィオレリア様を使者となされたのは、意思の疎通を図り、我々が本気であると信用して頂く為なのですから』


『わかってる、わかってるけど……はぁ…なんとかやってみるしかないわね…』


『もしもの時は、我々が盾となりお守りいたします。ご安心ください…フィオレリア皇女殿下様…』


皇女殿下と呼ばれた少女…そしてその一団は、アローラ達魔王軍が待ち構える防壁へと馬を進めるのだった。

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