第3話 ポテンシャルの塊
初めての作品で、手探りで執筆しておりますので内容において、度々改変などがされております。
ご不便をお掛け致しますが、温かい目でご覧頂けると幸いです。
――ライト、三歳。
しがないサラリーマンだった俺が勇者の子供として異世界に転生し、なぜか魔王城で暮らし始めてから三年が経った。
『ライト様~! 待つだーよー!』
俺を追いかけてくるのは教育係兼世話係のホイズ。
種族はオーガキング。
身長三メートルを超える真っ赤な鬼だ。
知らない人が見たら、
「幼児が鬼に襲われている!」
と通報されてもおかしくない。
だが実際のホイズは誰よりも優しい。
魔王城のお母さんポジションだ。
男だけど。
『野菜はちゃんと食べるだーよー!』
『いやだー!』
ちなみに俺は前世から野菜が苦手である。
妻にもよく怒られていた。
三歳になっても改善されていない。
人間、そう簡単には変われないのだ。
『こーら、ライト』
不意に体が持ち上がる。
振り返ると、そこには魔王ガルスがいた。
『父ちゃん!』
『全く、お前は元気だな』
ガルスは苦笑しながら俺を抱き上げる。
三年前に出会った頃は恐ろしい魔王だった。
だが今では違う。
この人は間違いなく父親だった。
血は繋がっていない。
それでも俺を愛し、育て、守ってくれた。
だから俺も自然と父ちゃんと呼ぶようになった。
『ほら、昼飯を食べたら午後は訓練だぞ』
『えー!』
『えー、じゃない』
ガルスは容赦なく続ける。
『ベイルとの剣術訓練。その後はアローラとの魔法授業だ』
『うぅ……』
魔王軍最強の暗黒騎士ベイル。
そして大魔導師アローラ。
父ちゃんは普段こそ甘いが教育に関しては鬼だった。
いや、魔王だった。
そのおかげか。
俺は三歳児とは思えない身体能力を身につけていた。
ホイズから逃げ回れる時点で普通ではない。
前世なら将来オリンピックを総なめにしているレベルだろう。
そして最近になって、俺はある能力に気付いた。
『ステータス』
そう呟くと、半透明のウィンドウが目の前に現れる。
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名前:ライト
レベル:37
称号:魔王見習い
ジョブ:魔剣士 Lv.4
スキル:高速移動
熟練度
・剣術 Lv.6
・魔術 Lv.5
・魔法剣 Lv.3
特性
・勇者の血脈
・魔王の教え
・剣術の天才
・魔法の天才
・フィジカルモンスター
・成長限界無効
・美の化身
・????
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『いつの間に魔王見習いになったんだよ……』
父ちゃん、着々と後継者育成してない?
まあ今は置いておこう。
この世界のステータスはシンプルだ。
力や素早さなどの細かい数値は表示されない。
その代わり見やすい。
俺は結構気に入っていた。
◇
午後の訓練を終える頃には、すっかり夕方になっていた。
『はぁ~……終わった~』
『お疲れ様だーよ』
ホイズが冷たい飲み物を差し出してくれる。
本当に優しい。
俺は何気なくホイズのステータスを覗いた。
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名前:ホイズ
レベル:88
称号:ライトの教育係兼世話係
ジョブ:オーガキング Lv.9
(進化以外変更不可)
熟練度
・拳闘 Lv.21
・棍術 Lv.18
・包丁捌き Lv.15
特性
・優しさの化身
・怪力
・鋼の肉体
・料理の才
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『優しさの化身……』
思わず納得する。
見た目は怖い。
だが中身は完全にお母さんだ。
『どうしただーよ?』
『なんでもない』
俺は苦笑した。
ふと視線を落とす。
俺のステータスにある勇者の血脈。
そこから自然と、実の両親のことを思い出した。
『ねぇホイズ』
『ん?』
『僕の本当のお父さんとお母さんってどこにいるの?』
ホイズの表情が曇る。
『……ごめんだーよ。分からないだーよ』
まただ。
誰に聞いても同じ反応をする。
何か事情があるのは間違いない。
だが今は教えられないらしい。
『それより風呂だーよ』
『うん……』
話を逸らされた。
そんな気はしたが、それ以上は聞かなかった。
◇
魔王城の大浴場は温泉だった。
しかも源泉掛け流し。
疲労回復。
魔力回復。
美肌効果付き。
豪華すぎる。
『あぁ~~~』
三歳児とは思えない声が漏れる。
だが仕方ない。
中身は四十七歳なのだ。
そして風呂上がり。
俺は脱衣所の大鏡の前に立つ。
鏡に映るのは銀髪碧眼の美少年。
輝くような銀髪。
宝石のように綺麗に輝く碧眼。
透き通るような白い肌。
長いまつ毛。
前世の面影など一切ない。
『何度見ても反則だよな……』
初めて見た時は本気で驚いた。
圧倒的なビジュアル…
特性に美の化身があるだけのことはある。
城内を歩けば魔物たちが騒ぎ出すほどだ。
しかも才能まである。
ベイルには剣術の天才。
アローラには魔法の申し子。
そう評価されていた。
多才万歳
『勇者の父さんと聖女の母さんには感謝だな』
もちろん才能だけで強くはなれない。
努力は必要だ。
それでも前世の俺とは違う。
今の俺には最高の環境がある。
最高の家族がいる。
そして目指したい未来がある。
『よし』
鏡の中の自分を見つめる。
勇者の息子。
魔王の養子。
どちらになるかはまだ分からない。
だが――。
『絶対に強くてかっこいいヒーローになってやる』
そう誓いながら、俺は明日の訓練に備えて部屋へ戻るのだった。




