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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~良いとこどりで最強に育って無双します~  作者: ララ
第一章 転生…そして幼少期編

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第36話 勇者の剣技

魔王国では、魅惑のボディを誇る開発室長シュプールが、自身の身体に負けず劣らず凶悪な兵器の量産を始めていた。


――機銃


ライトが前世の知識を頼りに設計した対侵略者用兵器である。


防壁の上にこれがずらりと並べば、そう簡単に敵軍の侵攻を許すことはないだろう。


国を覆うほどに拡張された結界。


急ピッチで進む防壁工事。


そして新たに完成した機銃。


魔法を防ぎ、遠距離から敵を削り、接近を許さない。


理想通りに整備が進めば、魔王国はかつてない堅牢な要塞となる。


もちろん、それだけで勝てるほど戦争は甘くない。

だからこそライトは急いでいた。


防衛設備は整いつつある。


足りないのは――力。


自分自身の力。

そして仲間たちの力。


来るべき決戦の日までに。

魔王ガルスを救い出す、その日までに。


今よりもっと強くならなければならない。


だからこそ――

現在、魔王軍全軍を挙げた戦力増強訓練が行われていた。


◆ ◆ ◆


――異空間


「ふぅ……」


ライトは額の汗を拭った。


この一週間、レイドの地獄のような魔法訓練に付き合わされた結果、ようやくディバインアビスフレイムを実戦レベルで扱えるようになっていた。


今は束の間の休憩時間だ。


そこでライトは、以前から気になっていたことを口にする。


「そういえば聞きたかったんですが……」


「なんじゃ?」


「魔王国では、魔王ガルスが魔竜王を討伐したって伝説になってるじゃないですか」


「あぁ、それか」


レイドはカタカタと顎を鳴らした。


「単なる勘違いじゃ」


「勘違い?」


「昔、ガルスとデッカーがどっちが強いかで勝負を始めてな」


「また始まった……」


フランジュが頭を押さえる。


「十番勝負じゃ。結果は五勝五敗」


「互角じゃないですか」


「ところがじゃ。納得せんガルスが最後にもう一戦やろうと言い出してな」


「嫌な予感しかしませんね……」


「その勝負で勢い余ったガルスがデッカーの角をへし折った」


「へし折った!?」


「それで勝負ありじゃ」


「子供ですか!?」


「問題はその後じゃ」


レイドは呆れたように肩をすくめた。


「ガルスの奴、その角を持って国へ帰り、自慢しまくった」


「あぁ……」


「その結果、『魔王が魔竜王を倒した』という話になった」


「完全に伝言ゲームですね……」


「しかも角で短剣まで作りおった」


「デッカーさん、めちゃくちゃ怒ってましたねぇ」


フランジュが遠い目をする。


そこでライトは静かに視線を逸らした。


「…………」


「どうした?」


「いや、その短剣なんですけど……」


「うむ」


「今、俺の刀の材料になってます」


「……は?」


「聖剣フロンティアと混ぜました」


沈黙。


異空間が静まり返る。


「…………」


「…………」


そして。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


フランジュが絶叫した。


「フ、フロンティアを混ぜた!?」


「はい」


「混ぜた!?」


「はい」


「なぜ!?」


「なんか流れで……」


フランジュはその場に膝をついた。


元勇者の愛剣が鍛冶素材になった事実は、どうやら相当な衝撃だったらしい。


一方のレイドは。


「ワシは聞かなかったことにする」


真顔だった。


「デッカーにだけは絶対言うな」


「やっぱり怒ります?」


「殺されるぞ」


「はい、黙っときます」


ライトは即答した。


そして休憩は終わる。


衝撃を受けていたフランジュが静かに立ち上がる。


「それでは次の訓練です」


「はい!」


「今度は私の剣を覚えていただきます」


そう言うと、フランジュは腰の剣を抜いた。


構えはシンプル。


しかし

空気が変わる。


「まず覚えていただくのは――」


眩い光が集束する。

剣先へ。


「ピアス・オブ・ライト」


次の瞬間

フランジュの姿が消えた。


「えっ――!?」


ライトは目で追う。


追えない。


見えない。


消えた。


本当にそうとしか思えなかった。


「ど、どこに……!?」


「向こうじゃ」


レイドが指差す。


遥か彼方。


視界の端。


数百メートル先にフランジュが立っていた。


「なっ……」


言葉を失う。


「光を纏い、光速を超えて突き込む技じゃ」


「光速を……超える?」


「ワシも散々泣かされた」


「それ絶対ヤバい技ですよね?」


「当然じゃ」


レイドがニヤリと笑う。


「そしてお主も覚える」


「ですよねぇ……」


「ガルスを助けるんじゃろう?」


「……はい」


ライトは腰の漆輝に手を添えた。


魔法。


剣術。


仲間。


環境。


強くなるための条件は揃っている。


あとは進むだけだ。


一歩ずつ。

確実に。


来るべき決戦の日へ向けて。


そして――

父を救い出すその日へ向けて。

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