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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~良いとこどりで最強に育って無双します~  作者: ララ
第一章 転生…そして幼少期編

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第34話 相反する力

『こりゃ違うと言っておろうがっ!!』


異空間にレイドの怒声が響き渡る。


『だから闇の力をこう……ズズズッと高めてじゃな! 最後にガッと放つんじゃ!!』


『ズズズッと高めて……ガッと放つ……』


ライトは真顔で頷いた。


だが内心では思っている。


(いや、分からんて)


元魔王の説明は壊滅的だった。

しかし、それも仕方のないことなのかもしれない。


この世界の魔法は呪文を唱えて発動するものではない。


体内で属性を練り上げ。


魔力に形を与え。


魔法陣を介して放つ。


その全てが感覚的な技術だからだ。


上級者ほど言葉では説明できない。


だから結果として――


『ズズズッと高めてガッと放つ』


になるのである。


『ケッ!なんじゃその顔は!』


『いえ、分かりやすいです』


『そうじゃろう!』


全然分かっていなかった。

そんな修行を始めてから一週間。


ライトは既に幾重にも魔法陣を重ねる工程までは習得していた。


しかし――


そこから先に進めない。

アビスフレアの核となる闇の力。

それだけがどうしても完成しない。


高めようとするたびに。

まるで何かが内側から抵抗するような感覚があった。


闇が完成する寸前で崩れてしまうのだ。


『……なるほど』


それまで黙って見守っていたフランジュが静かに口を開いた。


『恐らくですが、原因は神聖力でしょう』


『神聖力?』


『はい』


フランジュは頷く。


『貴方の中の光の力が、闇の力に染まることを拒絶しているのだと思います』


『光が……闇を?』


『本来、光と闇は共存できません』


フランジュは穏やかな口調で続ける。


『私は元勇者ですが闇魔法は使えません。逆にレイドさんは光魔法を使えない』


『当たり前じゃ』


『それが普通なのです』


光と闇。


相反する力。


本来なら片方しか持てない。

それなのにライトは両方を宿している。


それ自体が異常だった。


『だからこそ均衡が働いているのでしょう』


『均衡?』


『片方に傾こうとすると、もう片方が抑え込む』


『ケッ!めんどくせぇ身体だな!』


レイドが吐き捨てる。


ライトも同感だった。


せっかく修行しているのに身体が勝手に邪魔をしてくるのである。


『どうしたらいいんですかね……』


するとフランジュは少し考えた後、


『ならば逆に混ぜてみては?』


と言った。


『光を?』


『はい』


『それじゃアビスフレアじゃねぇじゃねぇか!』


レイドが即座に噛み付く。


『ではレイドさんに他の案が?』


『ぐっ……』


『ありませんよね?』


『……好きにせい』


レイドの完敗だった。


ライトは苦笑しながら魔法陣を展開する。


一枚。


二枚。


三枚。


幾重にも重なる魔法陣。


その中心で闇を練る。


火を練る。


そして――


光を加える。


本来なら決して交わらないはずの力。

それらを一つに束ねる。


『……』


不思議だった。


今まで拒絶していた闇が。

光と混ざることで初めて安定した。


むしろ今まで以上に自然に。


滑らかに。


強大に。


力が循環していく。


『これ……いける』


ライトの瞳が見開かれる。


次の瞬間。

魔法陣が激しく輝いた。


轟――――ッ!!


放たれたのは黒炎ではなかった。


白でもない。


純白と漆黒。


二つの炎が絡み合いながら一つの奔流となって空間を貫いていく。


神々しい。

なのに禍々しい。


温かいようで恐ろしい。


相反する概念そのものが炎となったかのようだった。


その炎は異空間の果てまで一直線に駆け抜け――


視界の彼方へ消えた。


静寂。


『…………』


『…………』


レイドとフランジュが固まっている。


『あれ?』


ライトだけが首を傾げた。


『失敗しました?』


次の瞬間。


『なんじゃありゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?』


レイドが絶叫した。


『ワシですら見たことのない魔法じゃぞ!?』


『素晴らしい……』


フランジュも珍しく興奮していた。


『私は威力が落ちると思っていたのですが……』


『むしろ上がっとるわ!!』


『えぇ』


二人は断言する。


『これはアビスフレアを超えています』


『間違いなくな』


ライトは唖然とした。


そんなつもりはなかった。


ただ使えなかったから工夫しただけだ。


『名前じゃ!』


レイドが興奮気味に言う。


『こんな魔法、誰も見たことがない!』


『名前を付けるべきですね』


『名前……か』


ライトは先ほどの炎を思い返す。


神聖さと深淵。


光と闇。


希望と破滅。


全てを内包した炎。


『ディバインアビスフレイム』


その名を口にした瞬間。

空間に漂っていた残滓が僅かに震えた。


『良い名ですね』


『まぁ悪くないわい』


こうして、世界で初めて光と闇を融合させた魔法が誕生した。


勇者でもない。


魔王でもない。


そのどちらでもある少年だけが辿り着いた力。


ライトはまだ知らない。

この日生まれた魔法が、やがて世界の常識そのものを書き換えることになることを。

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