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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第一章 転生…そして幼少期

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第34話 相反する力

『こりゃ!違うと言っておろうがっ!!まったく何回同じ事を言わせるつもりじゃ!』


高位な者が羽織るであろう、細かな刺繍が細部にまで施された黒いガウンに身を包んだリッチーの声が異空間に響き渡る....


『だから、闇の力をこう、ズズズッと高めて、ガッと放つんじゃ!』


『ズズズッと高めて、ガッと放つ…』


なんという抽象的な教え方なんだ…よくあれで自信満々に教えてやると言い放ったものだと思う…


この世界では、魔法を放つための呪文などはなく、体の中で使用する魔法の属性を練るような感覚で形を作り、事前に発現させた魔法陣を通して放つのが一般的だ。

たまにイメージをしやすくするために魔法の名前を唱える者はいるが、それはごく僅かで無詠唱が基本だ。


まぁ放つ前に叫んだら敵にバレちゃうしね…


そして、魔法の上級者になればなるほど、その一連の流れが速くなり一瞬で魔法を放つことができる。

もちろん体の中で形成できる魔法の種類も上級者になれば、より高度なものを作り出せるといった形だ。


要するに、魔法というものは感覚的なものであるところが大きいので、やり方を言語化するのがとても難しい…なのでいくら元魔王といってもこういう教え方になるのだろう…


ましてや今練習している魔法は、魔王が固有で行使できる闇と火の属性を掛け合わせた最上級魔法だ。

そもそも魔王ではなく代行の自分が行使できるのか?という疑問は拭えないが、それでなくても簡単にはいかないだろう…



そんな修行を開始して、かれこれ1週間...その間に、魔法陣を自身の目の前に幾層にも重ねて発現させる事はできていた。


しかし、そこからあの漆黒の業火を放つ事が出来ない...


自分の中で何かが反抗しているような感覚があり、アビスフレアを放つための闇の力を高め切れないでいたのだ....



『……ふむ、ライトさん、もしかしたら貴方の中の光の力、神聖力が闇の力に染まることを拒んでいるのかもしれませんね…』


『光の力が闇の力を拒んでいる?』


『はい、基本的には光の力と闇の力は相反するものですから、本来両方の力を持つことなど出来ないのですよ…それを貴方は持っている。現に元勇者の私は闇の力を使えないですし、反対に元魔王のレイドさんは光の力を使えない…光と闇の力を同時に宿す、それ自体が本来有り得ないことなのです。それ故に両方の力を持つライトさんは、どちらかの力を使おうとする際に光の力と闇の力が均衡を保つようにお互いに干渉している可能性がございます』


『ケッ!めんどくせぇ体質だな!これじゃあ埒が明かねぇじゃねぇか!』


以前、アローラの魔法授業で学んだ知識では、この世界の魔法は5大元素の火・水・土・風・雷と光・闇、それと時の8属性が基本となっており、火と水、風と土、土と雷、光と闇は相反している。

原則として全ての生物は生まれた時に、その身に宿す属性が決まっており、自身の属性と相反する属性の魔法は使えないという事を学んだ記憶はある。


ちなみに時属性は相反する属性が存在しないが、非常に稀な属性で時魔法の適性を得た者は他の全ての属性が使えないという事も学んだ。


なので、自身が光と闇の力を持っていると聞いた時はおかしいなと思っていたが、それが今となってアビスフレアの習得の障害になっているという訳か…


『う~ん、どうしたら良いですかね?』


『そうですねぇ…今までにない事例ですので、ハッキリとどうすれば良いとは言えないのですが、光の力も混ぜてアビスフレアを放ってみるのはどうでしょうか?』


『それじゃあアビスフレアじゃねぇじゃねぇか!』


『では、レイドさんは何か他の案でもあるのでしょうか??』


『グッ…好きにしろぃ』


またもやケンカを始める元勇者と元魔王を尻目に、ライトはフランジュに言われた事を試してみる。


まずは自身の前に重ねて魔法陣を発現させる…

そして体の中でアビスフレアをイメージして闇の属性と火の属性を練り上げる…

と、いつもはここで闇の属性を練り上げきれずに不発に終わるが、そこで闇の属性が不足してる部分を光の属性で補い、3属性を混ぜ合わせるように練り上げる…


『うん、いけそうだ…』


ライトがそう言った瞬間、闇の力とも光の力とも言えない純白と漆黒が斑に混ざり合った炎…聖魔炎ともいえるような炎が、圧倒的な質量と勢いで放たれ空間の彼方に呑み込まれるように消えいていく…


『こ、こりゃ…』

『こ、これは…』


その光景を見て、驚きのあまり絶句してしまうレイドとフランジュ。


『で、できたのかな?』


事前にレイドに見せてもらっていたアビスフレアとは違うように感じたライトは今一ピンと来ていない。


『なんじゃありゃぁぁぁぁぁぁぁ!!元魔王であるこのワシが、生まれてこの方見たこともない魔法じゃったぞ!面白い!実に面白いぞ!』


『ライトさん、これは凄いですよ!私は光と闇を混ぜると考えた時に、その威力は半減してしまうのではないかと心配したのですが、結果としてアビスフレア以上の魔法を作り上げてしまったようです!これは本当に凄い事です!』


何やら二人が大興奮していて怖い…


とはいえ、アビスフレアをそのままに放つことは叶わなかったが、一先ずはその様子を見れば及第点を頂けたようで一安心だ。


『今まで誰も放ったことのない魔法じゃぞ!名前じゃ!名前を考えるのじゃ!これは名誉なことぞ!』


なんだかガイコツが騒いでいる…


『名前か…』


さっき放った炎は神聖で美しさもあり、底なしの深淵のような怖さもあった…そんな炎…


『ディバインアビスフレイム…なんてどうでしょう?』


『ディバインアビスフレイム…良い名前ですね』


『まぁ、ありきたりじゃが良いじゃろう!』


名前も決まった…後は淀みなく発動させるなど実戦用に訓練するのみだ。



そして、今まで属性を混ぜた魔法も放ったことがなかったので、これからは色々試そうとも思う。

なぜなら、相反する光と闇の属性を混ぜ合わせるコツは掴んだので、他の属性と混ぜて新しい魔法も作り出せると考えたからだ。


自分は、この世に唯一存在する光と闇の両方を扱える存在…ということは自分にしか使えない魔法を生み出せるという事でもある。


『なんだか楽しくなってきたな…』


ライトは、そう呟きながらディバインアビスフレイムの訓練を続けるのだった。

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