第26話 ワイバーンとの遭遇
ブラッドグリズリーとストロングホーンの2体を余す事なく堪能し、食欲を満たした三人は少しの休息を挟んで先に進み始めた。
『いや〜、さっきの肉は美味かったな〜』
『ワフッ!』
『帰りにお土産に獲っていくだーよ』
『いいな!どうせなら何頭か捕まえて連れて帰りたい!牧場作ろうぜ!牧場!』
『それ、いい考えだーよ』
先程までの食事の会話で盛り上がる三人。
だが、いつまでも食べ物の話ばかりもしていられない。
なぜなら、三人の目の前には37階層に続く通路が見えて来たからだ。
気合いを入れ直して通路に進む三人。
腹は満たした、休息もとった、後は最下層を目指すだけだ!
そう意気込んで37階層に進んだ....
やはり休息をとった効果は抜群だった。
ホイズが休息前とは比べ物にならない位に活躍しだしたからだ。
『コンディションが万全なホイズはこんなにも強いのか...』
ライトも驚く。
37階層からも大草原が続いたのだが、先程食したブラッドグリズリーやストロングホーンに加え、如何にも強そうな獅子の魔物なども大量に出現したのだが、食事のお礼と言わんばかりにホイズがとんでもない勢いで殲滅していったのだ....拳一本で。
前世でも熊殺しなどが強者の異名としてあったが、今のホイズは熊殺しなど比ではない....側から見たら動物虐待という異名が付きそうなくらい圧倒的だ。
ブラッドグリズリーとストロングホーンは少し残しておいて欲しい....捕獲して連れて帰りたいから....
そんな事を考えていたらあっという間に39階層までを踏破してしまっていた...
後ろを振り返るのが怖い....魔物達の無惨な姿が広がっていそうで....
『よ、よし...さっさと40階層に降りるか....』
『はいだーよ!』
返り血まみれのホイズが元気よく返事をした....よく見るとその手にはしっかりと大きな生肉を大量に抱えている。
そんなホイズに気付き、ハクは目を逸らして震えていた....
ー40階層ー
40階層に続く通路を抜けようとした三人はいきなり急死に一生を得る...
通路から40階層へ足を踏み出したが、そこには地面が無く、階層全体が巨大な縦穴となっていたからである。
先頭を歩いていたライトがそれに気付かず、危うく落下する寸前でハクとホイズが咄嗟に掴んで救ってくれたのだ。
『あ、あぶねー....』
二人に掴まれ宙吊りになるライト....
足元の大穴は底が見えない....落ちたらまず助からなかっただろう。
背中に冷たい汗が流れる。
すると、その足元の大穴から何かがこちらに向かってくるような音がする....何か大きい翼を羽ばたかすような音が....
その音を聞いて、大急ぎでライトを引き揚げるハクとホイズ。
ライトを引き揚げた瞬間だった。
今までライトが宙吊りになっていた場所を、何かが凄い勢いで下から通り過ぎていった。
すると、その姿を捉えていたホイズが叫ぶ。
『ワイバーンだーよ!』
ホイズに言われ、ライトとハクも視線を上へ移すと、そこには大きな翼をバッサバッサとはためかせた鮮やかな青色の竜の姿があった....
ライトの前世の知識ではワイバーンとは翼竜とも言い、飛行能力に長けた小型の竜という認識だったが、想像していた以上に大きい....考えていた大きさの倍はある。
そして、そのワイバーンは空中にホバリングしながらこちらを窺うように見ていた。いつ襲いかかってきてもおかしくない雰囲気だ。
通路に引き返すか....しかし通路まで追われたら、狭い通路で戦う事になる....逆に危険か....
ライトはそんな事を考えていると、ふとホイズが片腕に抱えている生肉に目が留まる。
『ワイバーンの餌付けか....試してみる価値はあるか....』
そう呟くと、ライトはホイズの抱えている生肉を掴み、ワイバーンに向かって投げつけた。
すると、ワイバーンはその肉目掛けて脇目も振らず滑空を始め、空中で肉をバクリと食べた。
『あ、オラの肉....』
ホイズの言葉など関係ないと言わんばかりに肉を貪ったワイバーンは、どことなく恍惚の表情を浮かべているように見える。
先程、焼肉を頬張っていたライトのように....
そして、もうないのか?と言わんばかりに再度コチラを見つめる。
『これだ!ハク!ホイズ!39階層に戻って肉をありったけ持って来てくれ!』
ライトはそう言うと、ホイズが抱えていた肉を次々とワイバーンに与えるように投げた。
『あ、あ〜オラの肉〜』
『ワオォ〜ン!』
オラの肉〜と悲しみながらも39階層に向かうホイズ。
大きな返事をして駆けていくハク。
そして、空中に投げられた肉を次々と恍惚の表情で貪っていくワイバーン。
『ここでコイツを手懐けられたら下の階層にもいける....やるしかない!』
ライトはワイバーンをテイムする為に、まずは最上級の肉の味を覚えさせる事にした。




