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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~良いとこどりで最強に育って無双します~  作者: ララ
第一章 転生…そして幼少期編

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第19話 魔竜の洞窟

初めての作品で、手探りで執筆しておりますので内容において、度々改変などがされております。

ご不便をお掛け致しますが、温かい目でご覧頂けると幸いです。

魔竜の洞窟


ライトとハクは、巨大な竜の死骸が大口を開けて横たわっている――そんな光景を思わせる洞窟の前に立っていた。


洞窟の入り口には牙のように尖った岩が不規則に並び、遠目には本当に竜の口そのものに見える。


さらに洞窟の奥からは、


ヒュゥゥゥ……


と、生者を呪う亡者の嘆きにも似た冷たい風音が響いていた。


見るからに不気味である。


怖い。


非常に怖い。



「よ、よしっ! ハク! 行くぞ!」


「ワ、ワォ~ン……」


威勢だけは良かった。


威勢だけは。


しかし二人とも、その場から一歩たりとも動かない。


かれこれ一時間ほど、


「行くぞ!」


「ワォ~ン!」


を繰り返している。


進捗はゼロだ。



そもそも、なぜこんな場所にいるのか。


それは数日前、魔王軍幹部会議で修行場所について相談した時のことだった。


ベイル。


ホイズ。


エド。


そしてアローラ。


それぞれが候補地を挙げる中、アローラが満面の笑みで提案してきた。


『魔竜の洞窟など如何でしょう?』


その瞬間。


なぜか他の幹部達の表情が一斉に曇った。


だが当のアローラだけは終始ノリノリだった。


しかも、


『魔王様も若い頃によく修行されておりましたわ』


などと言われたら断りづらい。


結果――


勢いで来てしまった。


だが今なら分かる。


みんなが心配していた理由が。


この場所。


絶対に出る。


お化けが。


ライトはベイルとの訓練を重ね、今では魔王国最強クラスの剣士とも互角に渡り合えるようになっていた。


強さにはそれなりに自信がある。


しかし。


対お化けとなると話は別だ。


前世でもホラー映画は苦手だった。


映画を見た夜など、


クローゼットの隙間。


部屋の角。


廊下の暗闇。


全てが敵になる。


家の軋む音だけで飛び起きるレベルで苦手だった。


貞〇とかいう髪の長い女性のお化けが出る映画など見た日には、一週間は引きずる。


トラウマである。


「魔族と暮らしてるじゃないか」


というツッコミが聞こえてきそうだが違う。


バカを言ってはいけない…断じて違う。


魔族は家族だ。


お化けではない。


そこは重要である。


そして問題はハクも同じだった。


生まれて間もなく親を失い、すぐに魔王ガルスに保護された。


実戦経験はほぼ皆無。


つまり。


二人揃って初心者である。


そんな訳で。


現在、魔王代行と王狼の子は洞窟の前で仲良くビビっていた。


するとその時だった。


洞窟の奥から、


ゆらり……


ゆらり……


と、人影らしきものが近づいてくる。


「な~んだ!」


ライトは急に元気になった。


「誰か先客がいたんじゃん!」


「ワフッ! ワフフ~ン!」


ハクも尻尾を振り始める。


急に強気である。


だが。


近づいてくる。


どんどん近づいてくる。


そして。


その姿がはっきり見えた瞬間――


現れたのは、


眼窩に青白い光を灯したスケルトン。


そして半透明のゴースト達だった。


「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


「キャウゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」


逃げた。


全力で逃げた。


魔王代行と王狼の子が。


全力で。



数分後…


盛大に息を切らしながら逃げ切った二人は、背後を何度も確認する。


追ってきていない。


よかった。


本当によかった。


「帰ろう」


「クゥン」


満場一致だった。


こうして二人は何事もなかったかのような顔で魔王城へ帰還した。


すると城門前には心配そうなホイズが立っていた。


どうやら初めての実戦に向かったライト達を待っていたらしい。


「ライト様! 無事だでか!?」


「う、うん! 無事だよ!」


「クゥゥ~ン……」


ホイズは安心したように笑う。


「良かっただ~よ! それでどこまで行けただ?」


「え?」


「最下層まで行けただか?」


行ける訳がない。


入り口で逃げ帰った。


「い、いや~」


ライトは目を泳がせた。


「せっかくだからさ……誰かと一緒に行った方が良いかな~って思って……」


ホイズは大きく頷いた。


「なるほどだーよ!」


助かった。


信じてくれた。


「それならオラも行くだ~よ!」


救世主現る。


「しょ、しょうがないな!」


ライトは腕を組んだ。


「そこまで言うなら連れて行ってやるよ!」


完全にツンデレだった。



そして再び三人は魔竜の洞窟へとやって来た。


「よ、よし!」


今度は違う。


こちらにはホイズがいる。


頼れる仲間がいる。


百人力だ。


「レッツゴー!」


「ライト様! 押したら危ないだ~よ!?」


ライトはホイズの背中を押しながら前進する。


ハクも後ろからついていく。


非常に情けない隊列だった。



魔竜の洞窟 第一階層


洞窟内部は地下へ続く巨大なダンジョン構造になっていた。


第一階層にはスケルトンやゴーストが徘徊している。


そして――


ドゴォォォン!!


ホイズが蹴ったスケルトンが壁にめり込む。


ドガァァァン!!


ゴーストが吹き飛ぶ。


ボゴォォォン!!


またスケルトンが砕け散る。


「…………」


「…………」


ライトとハクは黙っていた。


怖くない。


全然怖くない。


むしろ少し可哀想になってきた。


「ホイズ……」


「なんだべ?」


「ごめん」


ライトは剣を抜いた。


「そろそろ俺達に戦わせて」


ホイズは嬉しそうに笑った。


「おぉ! その方が修行になるだな!」


ライトは頷く。


ハクも前に出る。


人生初の実戦。


相手はスケルトン。


怖さはもうない。


あるのは高揚感だけだった。


「行くぞ、ハク!」


「ウォォォン!!」


こうして魔王代行ライトと王狼の子ハクの――

本当の意味での初陣が幕を開けるのだった。

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