第16話 国を護る防衛力
初めての作品で、手探りで執筆しておりますので内容において、度々改変などがされております。
ご不便をお掛け致しますが、温かい目でご覧頂けると幸いです。
鍛冶工房での用事を済ませたライトは、つつがなく速やかに魔王城に戻って来た。いや、連れ戻された。
横ではベイルがエントランスの扉脇にある、水晶玉に向かって呪文を唱えている。
ベイルが呪文を唱え終わると、今まで感じなくなっていた圧力のような力を再び感じるようになった…脱走防止結界の完成だ。
そのベイルの行動を見ながら、ライトは自分を守る為の事だし仕方ないなと、肩をすくめながら小さく溜息を吐く。
その横でハクも仕方ないといった表情でお座りをしていた。
『ライト様、本日はこれで失礼致します。ライト様のカタナは出来上がりましたら城に届けるよう、バルドロックに申しつけてありますのでご安心下さい』
『ああ、ありがとう!じゃあ、また明日な!』
『はっ!それではまた明日』
恭しくお辞儀をすると、ベイルはその場を後にした。
とりあえず、刀の製作に着手する事が出来た。
制作は魔王ガルス曰くドワーフ一の鍛治師であるバルドロックが手掛けてくれている為、安心して完成を待つだけだ。
ベイルを見送った後、俺はハクと書物庫に向かい魔王ガルス奪還のためには何が必要か今一度考えることにした。
とりあえず敵は魔王である父ちゃんを瀕死に追い込み連れ去る程の強敵だ…その為、自身の強化は最優先とする。
第一段階として武器の製作には既に取り掛かった、後は自身のレベルアップと新しいスキルや魔法の習得にも早急に着手する必要があるだろう。
相棒であるハクの強化も一緒に戦う上で絶対に必要だな。
そして、王国の情報収集だ。
現在、エド率いる斥候部隊に頼んで情報を集めて貰っているが、更に人員を投入して情報量を増やす必要もあるか…
情報は有れば有るだけ良いからな。
後は、魔王国の戦力増強と防衛力の強化…これは直ぐにでも行わなければいけない。
これまで王国に何も動きが無かったのは、恐らく父ちゃんが損傷を与えたゴーレムの修復を行なっているからだと推測する。
その修復も、どの程度の期間で完了するのかは分からない。
間も無く終わるのか、長期間を要するのか…どちらにせよ、出来る対策は最大速度で進めなければいけない。
いつまた王国軍が侵攻してくるかは分からないが、俺がここにいる以上は間違いなく、またやって来るはずだからだ。
しかし、前回の防衛戦では魔王の父ちゃんがいた事で何とかなったとのことだ....裏を返せば、父ちゃんがいない今は何ともならないということになる…今のままでは。
やはりここは、まず防衛力強化を行おう。
そう思い立ち、一冊の本を手に取る。
題名は『魔道具と魔導兵器』
この本は以前から何度か読んでいた。
中身としては、世界各国で生活必需品として使われている魔道具の紹介から、過去に人族が戦争で使用した魔道具や魔導兵器について詳しく書いてある。
そもそも魔道具とは、魔力や魔石を使用して運用する道具の事で、前世の地球で使用されていた、電気などの様々な動力エネルギーをその魔力や魔石に置き換えたものだと本を読んで理解した。
従って、原理さえ分かっていれば前世の地球で使われていた、電化製品…もっと言えば戦争兵器なども魔道具や魔導兵器として再現する事も可能だという事だ。
もしかして、この世界の人族が魔道具や魔導兵器の開発に優れているのは、人族として転生してきた何者かの影響なのかもしれないな…まぁ考えても仕方のない事だが。
早速俺は、戦闘用と防衛用で使えそうなものを、前世の記憶を頼りに片っ端から大まかな設計図に起こしていく事にした…。
ちなみにハクは横でスヤスヤとお昼寝中だ。
ー数日後ー
数日前から続けている設計図の書き下ろし作業も、何日か繰り返していると、遂に数々の設計図として形になった。
まぁ、元々こういう作業は嫌いじゃないんだけど、連日連夜は流石に疲れたな...
そんな事を考えながら気晴らしに城内を散歩していると、アローラが魔法師団を伴い歩いているのが目に留まる。
『アローラ!!』
『ライト様!?あぁ…本日も実にお美しい…』
『あ、いや、アローラ?』
『ハッ!私とした事が…申し訳ございませんわ。余りのライト様の麗しさに少し見惚れてしまいましたわ』
『そうか…元気そうで何よりだよ…ははは』
どうやら、ここにも美の化身という特性にやられていた者がいたか…。
『ことろで、私に何か御用でしょうか?』
『あぁ、実はアローラのとこの魔法師団の中に魔道具の製作とか運用に長けてる人は居ないかな?と思って、聞きたかったんだよね』
『魔道具…それなら数名、手先が器用で魔道具の知識も心得ている者達がおりますわ』
『おお!良かった!じゃあ後で全員、俺の所に来てくれるようにお願いして貰っても良いかな?』
『畏まりましたわ。お任せ下さいですわ』
そういって華麗なお辞儀をすると、アローラはその場を立ち去ろうとするが…
『あ!アローラ!ちょっと待って!』
アローラは再びライトに呼び止められ、少し驚きながら向き直す。
『ライト様、如何なさいましたか?』
『ちょっと聞きたいんだけど、今この城には結界が張られてるよね?』
『はい、仰られるとおりですわ』
『この結界を広げて、魔王国全体を覆う事は不可能かな?』
『国全体にですか...』
何やらアローラは顎に指をやり、思案しているようだ。
考えるという事は少なくとも絶対不可能という事はないのだろう。
そこで、俺は更なる案と理由を説明する事にした。
『この際、探知防止の効果は消してしまっても構わない。どうせ俺が魔王国にいる事は王国には殆どバレているからね…。その分、人族を弾く結界を出来る限り広げたいんだよ…それによって、王国軍が自由に動ける範囲を狭められるだろ?そして、魔王国民の被害も最小限に抑えられると思うんだ』
『なるほどですわ…それでしたら、魔王様の魔力が込められた宝珠の術式を調整して、我々の魔力を合わせれば何とかなりそうですわ』
やっぱりアローラは可能だと言った。
よし、これなら広げた結界と魔導兵器を合わせれば防衛力が格段に向上するぞ。
『良かった!なら早速取り掛かって欲しいんだ!王国軍がまたいつ攻めて来るか分からないからね…その前に出来る準備はしておきたい!』
『承知致しましたわ。先程の件と併せてすぐにでも…では、失礼致しますわ』
そう言うと、今度こそアローラは華麗なお辞儀をしてその場を去って行った。
これで、防衛力に関しては魔導兵器の目処を立てるだけだ。
見てろよ王国…魔導兵器の強みがあるのはお前達だけじゃないって事を見せてやる!
ライトは強い意気込みを抱き、次の行動に移るのだった。




