第15話 俺専用の剣を作ろう③
初めての作品で、手探りで執筆しておりますので内容において、度々改変などがされております。
ご不便をお掛け致しますが、温かい目でご覧頂けると幸いです。
ライトの実力目の当たりにし、その実力を認めた鍛冶長のバルドロックは早速、最高の剣を創ろうと動き出す。
先ずは素材だ….
『素材はどうする?何か希望があれば、俺が見繕っても良いが、最高の剣ともなるとそこいらの素材じゃ役不足だぜぃ』
『それは心配するな。これらを使ってくれ』
バルドロックの問いにベイルが応えながら、材料として持参した折れた聖剣フロンティアと魔竜剣イビルエッジを差し出す。
『ーー!?はっ?こいつぁ....またとんでもねぇもん持ってきやがったな....しかし、こいつぁ腕が鳴る!文字通り最高の剣が打てそうだ!』
ベイルが差し出した材料となる2本を手に取ったバルドロックは感嘆の声を漏らし、そしてその瞳にヤル気を漲らせる。
『良い剣が作れそうか?』
『あぁ!坊ちゃん、この俺が必ず最高の剣を打ってやる!』
俺の問いにバルドロックが嬉しそうに自信を持って答えた。
それにしても俺の呼称が坊ちゃんになっている....
まぁ坊主よりは良いか....一応魔王代行なんだけどね....
いよいよ素材も決まり、本格的に俺の剣の製作がスタートする訳だが、その前に俺のものだということでバルドロックは必要事項を質問してくる。
『早速だがよ、大きさや形はどうする?素材の量からして、騎士団長殿の魔剣のような大剣は難しいが、長剣位までの大きさなら大丈夫だ!後は形だな....両刃のものだったり、めちゃめち湾曲した剣なんかでも問題ないぜ』
『ただ、特殊な形になると、その分扱いも特殊で難しくなるから気を付けねぇとダメだぜ』
何だか凄く楽しそうにバルドロックは説明してくれた。
『う〜ん.....』
素材は聖剣や魔竜剣とファンタジー要素満載だ、そしてこの転生してきた世界の世界観を考えても王道の長剣にするのが正解に思う。
『......』
しかし、俺は元々日本人だ。
騎士道より武士道....決めた....やはりあの形にしよう....
『こういう形のものは作れるかな?』
俺は近くにあったペンと羊皮紙を手に取り、希望の形と特徴を書き記していく。
『ほぅほぅ....片刃の....ふむふむ.....反りがある....うんうん....薄くて粘りがある.....切れ味に特化した剣か....』
その羊皮紙を覗き込み、なにやらバルドロックは興味津々に呟いている。
『見た事ねぇ形だが面白そうだ!坊ちゃん、こいつぁ何ていう種類の剣なんだ?』
バルドロックの問いに俺は不敵な笑みを浮かべ答える
『これは、刀....日本刀というものだ!』
『カタナ....聞いたこともねぇ名前だな....まぁ良いか、分かった!最高のカタナを作ってやる!』
その後、前世の動画配信サービスや読み物などから得た刀の知識や製造工程などをバルドロックに伝える。
『なるほどなぁ、それで粘りや強度を出すのかぁ....坊ちゃんは面白れぇ事知ってんなぁ!』
『へへへ!』
その後、更に必要事項の確認などを行い、いよいよ準備万端となったバルドロックは、太く長い腕をグルグルと回しながら素材を片手に工房の奥に戻り、早速作業を開始するのだった....
こうして素材も形も決まり、制作が開始された俺の刀....まさか転生した先の異世界で日本の魂に触れる機会を得ようとは夢にも思わなかったが、それ故にワクワクが止まらない。
『完成まで待ち切れないな....』
そして、そんな浮かれた俺にベイルは非情な言葉を告げる。
『ライト様、城に戻りますよ!』
『やっぱり....?』
『はい、長居は不要ですので』
『えぇ〜....』『クゥ〜ン....』
ライトとハクの悲しそうな声を残して、2人はベイルに引き摺られて行くのだった.....
そんな城への道中、引き摺られるライトの方をベイルはチラッと見ながら、先程のバルドロックとのやり取りの中で気になっていた事を口にする。
『ライト様、カタナと言いましたか?あの様な特殊な剣の存在、どのようにお知りになられたのですか?』
ギクリッ!
まぁそうなるよな〜と思いながらベイルへの返答を考える....バルドロックの反応からしても、刀のような剣は元々この世界には無いのだろうし、ましてや10歳の子供が魔王に認められた鍛冶師ですら知らない事を知っていたら、そりゃ疑問に思うよね....
でも、転生については公言するつもりはないし、ベイルに不信感を与えるのも嫌だしな....どうしたものか....
『あ、そうそう、アレは俺が考えたんだよ!....城の書物庫に鍛冶の本があって、それを見ながらこうしたら良いんじゃないかな〜って....ハハハッ....』
苦しい、自分で言っていて非常に苦しい言い訳なのが分かる....
前世のサラリーマン時代にミスに対してこんな言い訳をしたら、間違いなく懲戒となるのが分かる程に。
『なるほど!!やはりライト様は天才でおられる!剣術や魔術だけではなく、物作りに対しても才をお持ちとは!このベイル、感服いたしました!』
『え?』
あの苦しい言い訳が見事通じてしまい、思わず変な声が出た。
『ま、まぁね〜....ハハハ』
ベイルの俺に対しての期待値が過剰なのか、ただのアホなのかは分からないが、一先ず誤魔化せたようなので良しとしよう。
色々な本を書物庫で読んだが、転生者に対しての記述が載っている本は無かった....
したがって、この世界では恐らく転生者がいるという認識もないのだろう。
もしかしたら、他にも転生者はいるのかもしれないが、公になっていないという事は、何らかの理由があって隠しているのだろうと思う。
そう考えると、転生者だと知られる事は必ずしも良い事とは思えない。
次からは俺が転生者であるという事は極力悟られないように気を付けながら立ち回ろう。
油断は禁物、知られる事でどんな事態に陥るか分からないからないのだから....
そんな事を引き摺られながら真面目な顔で考えるライトだった….




