第14話 俺専用の剣を創ろう②
初めての作品で、手探りで執筆しておりますので内容において、度々改変などがされております。
ご不便をお掛け致しますが、温かい目でご覧頂けると幸いです。
魔王代行となったライトは、自身専用の剣を作るため、ベイルと共に魔王国の鍛冶工房へ向かうことになった。
――しかし、ここで一つ重大な問題があった。
魔王城には今なお、ライトの脱走防止と王国からの探知を防ぐための結界が張られているのである。
試しに城門へ向かい、外へ出ようとしてみた。
結果――
ググッ!!
見事に弾かれた。
「やっぱりダメか……」
予想はしていた。
だがやっぱり拒絶されると地味に傷付く。
ライトは真顔で考えた。
「もしかしてこれ……父ちゃんが帰ってこなかったら、俺、一生外に出られないんじゃ……」
魔王を助ける!
そう格好良く宣言したのはつい先日のこと。
だが肝心の本人が城から出られない。
あまりにも締まらない。
ライトは恥ずかしさで顔を真っ赤にした。
逃亡未遂を繰り返した結果、結界は大幅強化済み。
しかも人族特効仕様である。
完全に自業自得だった。
「どうすんの? これじゃ鍛冶工房にも行けないじゃん……」
するとベイルはあっさりと言った。
「問題ありません。一時的なら解除できます」
「マジで!?」
その瞬間、ベイルが神々しく見えた。
もっと早く言ってほしかった。
一人で勝手に絶望していた自分が恥ずかしい。
ベイルは城門脇に設置された水晶へ歩み寄る。
そして短い詠唱を終えると――
フッ……
身体を覆っていた圧迫感が消えた。
「……あ」
恐る恐る扉に触れる。
今度は弾かれない。
ライトは震える手でドアノブを握った。
そしてゆっくりと扉を開く。
十年間閉ざされていた世界が、その向こうに広がっていた。
「ここまで長かったぁ……」
思わず涙が滲む。
異世界転生。
ファンタジー世界。
勇者の息子。
そんな肩書きとは裏腹に、この十年間ほぼ城の中だけで生きてきたのだ。
感動もひとしおである。
隣ではハクも嬉しそうに尻尾を振っていた。
「ありがとうハク……ありがとうみんな……」
感極まるライト。
だが。
「ライト様、急ぎましょう」
ベイルは容赦なかった。
「もうちょっと余韻をくれよ……」
こうしてライトの感動は数秒で終了した。
王国の探知を警戒している以上、仕方がない。
分かる。
分かるのだが。
もう少しくらい浸らせてほしかった。
――――――
その後、ライトは初めて目にする魔王国の景色を楽しむ暇もなく、ベイルに連れられて鍛冶工房へ到着した。
工房の扉が勢いよく開かれる。
「バルドロック! いるか!」
工房内は熱気に包まれていた。
職人達が忙しなく行き交い、炉の炎が赤々と燃え盛る。
金属を打つ音が絶えず響き渡り、まるで巨大な生き物の腹の中にいるようだった。
やがて奥から一人の男が姿を現す。
「おぉ? 騎士団長殿じゃねぇか」
その姿を見たライトは思わず呟いた。
(ドワーフだ……)
理想的なドワーフだった。
身長は低い。
だが全身は筋肉の塊。
特に腕は異常なほど太い。
立ったまま拳が床に届きそうなほど長く発達している。
白い長髪と髭。
鋭い眼光。
そして圧倒的な職人オーラ。
ただ一つだけ問題があった。
(なんかゴリラっぽい……)
非常に失礼な感想である。
「今日はどうした? 魔剣でも折れたか?」
「フッ、そのような訳があるまい」
ベイルは苦笑しながら答える。
「今日は頼みがあって来た」
「頼み?」
「剣を打って欲しい」
バルドロックの目が細くなる。
「誰のだ?」
ベイルは静かにライトを示した。
「こちらのライト様の剣だ」
「は?」
バルドロックはライトを見た。
そして一言。
「悪いが坊主用のおもちゃは作ってねぇぞ」
「バルドロック!」
ベイルの声が低くなる。
「こちらのお方は魔王代行であられる。軽んじて良い方ではない」
工房内の空気が一瞬で張り詰めた。
だがバルドロックは動じない。
「肩書きの話じゃねぇ」
そう言って腕を組む。
「扱えねぇ奴に名剣を渡しゃ、そいつ自身を傷付けるだけだ」
職人らしい言葉だった。
そしてベイルは小さく頷く。
「ならば見てもらおう」
近くの剣を一本手に取る。
そして、その剣を俺に手渡してきた。
「ライト様。一手お願いできますか?」
「いつもの模擬戦?」
「はい」
「いいよ」
次の瞬間。
ベイルの姿が消えた。
否。
超高速で踏み込んだのだ。
ガキィィィン!!
激しい剣戟が響く。
一撃
二撃
三撃
高速で火花が散る。
工房の職人達が次々と手を止めて振り返った。
やがて模擬戦が終わる頃には――
バルドロックは目を丸くしていた。
「……こりゃ驚いた」
ベイルは剣を鞘へ収める。
「分かったか?」
バルドロックは静かに笑った。
職人としての顔だった。
「あぁ」
そしてライトへ向き直る。
「最高の一本を打ってやる」
その瞳には職人としての情熱が宿っていた。
「この坊主……いや、このお方に相応しい剣をな」
こうして。
折れた聖剣フロンティア。
魔竜剣イビルエッジ。
勇者と魔王、二人の遺した武器を材料にした新たな剣の製作が始まるのだった。




