↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~良いとこどりで最強に育って無双します~  作者: ララ
第三章 レガリア編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
143/158

第142話 勇者と魔竜王

――魔王城


謁見の間。


巨大な玉座。


その玉座に、魔王レイドが座っている。


その少し後ろには、漆黒の鎧を纏った魔王騎士ベイルが控えていた。


そして……


玉座から少し離れた場所……玉座に座る魔王レイドに向かい合うようにして、勇者フランジュが立っていた。


「…………」


人族の希望たる勇者。


魔族の王である魔王。


本来なら、剣を交えるはずの運命の二人。


だが今は――互いに武器を抜いていない。


レイドが頬杖をつく。


「それで?」


「…………」


「俺の命を狙っている連中がいる、と」


「はい」


フランジュは頷く。


「アストリア王国と、ツヴァイス神聖国です」


「…………」


「両国は密かに手を組み、レイド陛下……あなたが保有する闇のレガリアを狙っています」


「ほう……」


レイドは興味深そうに眉を上げる。


「俺の闇のレガリアを?」


「はい」


「何のために?」


「それは……」


フランジュは一瞬、言葉を選ぶ。


「神を……顕現させるためです」


「…………」


沈黙。


レイドがフランジュを見る。


「神?」


「はい」


「神って……」


レイドは首を傾げる。


「食えるのか?」


「…………」


フランジュの眉がピクリと動く。


「……はい?」


「いや……そんな奴、実際に見たことも聞いたこともねぇし、だったら食いもんか何かかなぁって」


「…………」


「あるいは酒か?」


「…………」


「神酒とかってぇのは聞いた事あるしな」


「レイド陛下」


「ん?」


フランジュは真顔だった。


「……ふざけないでください」


「…………」


レイドが瞬きをする。


「もしかして…………本気で怒ってる?」


「怒っているのではありません」


フランジュは拳を握る。


「私は……怖いんです」


「…………」


「昨晩、聞いた話を調べれば調べるほど……冗談では済まされないと分かりました」


「…………」


「もし、本当に神を顕現させることが出来るのなら……」


フランジュの声が僅かに震える。


「その力が、何に使われるか分かりません」


「…………」


「でも……アストリア王国とツヴァイス神聖国が、善意でそんな研究をしているとは思えない」


「…………」


「だから……」


フランジュはレイドを真っ直ぐ見つめる。


「どうか、真剣に聞いてください」


「…………」


レイドの表情から、先ほどまでの軽薄な笑みが消えた。


「……分かった」


「…………」


「ふざけてすまなかったな」


レイドは玉座から立ち上がる。


「勇者のお前がそこまで深刻な顔をするってことは……本当に危険なんだな」


「はい」


「なら、俺も少し真面目に考えよう」


「…………」


レイドは腕を組む。


「だが……」


「…………?」


「神の顕現なんて話、俺にもさっぱり分からん」


「…………」


「俺が魔王になってから……いや、生まれてこの方そんな話は一度も聞いたことがない」


「そう……ですか」


「ああ」


レイドは少し考える。


そして。


「でも……あいつなら知ってるかもしれんな」


「誰です?」


レイドは天井を見上げた。


「俺よりずっと長く生きている奴だ」


「…………」


「竜族」


フランジュの目が見開かれる。


「竜……?」


「魔竜王だ」


「…………!」


ベイルが口を挟む。


「陛下……まさか」


「ああ」


レイドは笑う。


「デッカーに聞いてみよう」



――数時間後


魔王国北部。


巨大な山岳地帯。


その中にぽっかりと開いた巨大な洞窟。


魔竜の洞窟。


その入口に――


「…………」


フランジュ。


「…………」


レイド。


ニ人が立っていた。


「ここが……」


フランジュは巨大な洞窟を見上げる。


「魔竜の洞窟……」


「ああ、ここがそうだ」


レイドが頷く。


「俺も何度か来ている」


「魔竜王デッカーという方は……ここに?」


「ああ、ここの最深部にいるはずだ」


「…………」


フランジュは洞窟の奥を見る。


暗闇。


その奥から。


ゴゴゴゴゴ……


低い地鳴りのような音が聞こえる。


「…………」


フランジュは剣に手を添える。


「安心しろ……大丈夫だ」


レイドが笑う。


「デッカーは気難しい奴だが、いきなり人を食ったりはしない……はず」


「……それ、全然安心できません」


「ははは」


「笑い事じゃありません」


「本当に真面目な奴だな、お前」


「…………」


こうして。


二人人は魔竜の洞窟へ入っていった。



――魔竜の洞窟


洞窟内部。


巨大な魔物が次々と襲いかかってくる。


「――――ッ!」


ズバッ!


フランジュの剣が魔物を斬り裂く。


「次!」


「――――!」


レイドの魔法が炸裂する。


ドゴォォォン!!


「…………」


フランジュが振り返る。


「……凄い」


「あ?何が?」


「あなたの魔法です」


「そりゃあ……魔王だからな」


「…………」


「それくらい出来て当然だろ?」


「いや……それはそうかもしれないですけど……」


フランジュは苦笑する。


「魔王って、もっと恐ろしい存在だと思っていました」


「お前、失礼だな」


「ふふふ……すみません」


「まあ……恐ろしいかどうかは知らんが、威厳があるという点では間違ってはいないが」


「…………」


二人はそんな会話を交わしながら、洞窟の奥へ進んでいく。


そして、幾つもの階層を越え、巨大な地下空間へ辿り着いた。


「…………」


フランジュが足を止める。


「ここは……?」


レイドが答える。


「ここが最深部だ」


「…………」


その瞬間。


空気が変わった。


奥から感じる圧倒的な存在感。


まるで大地そのものが生きていて、こちらを威圧しているかのような――


とてつもなく巨大な魔力。


「…………」


フランジュの背筋に汗が流れる。


「なに……これ……」


「ふん、来たか」


低い声が響く。


ゴゴゴゴゴ……


暗闇の奥。


壁かと思っていた巨大な影が動く。


そして。


巨大な黒い竜が姿を現した。


漆黒の鱗。


巨大な翼。


長い角。


その身体だけで、洞窟の天井を覆い尽くすほどだった。


「おぉ……久しいな、レイド」


「ああ、久しぶりだな、デッカー」


「…………」


デッカーの巨大な瞳がフランジュへ向く。


「もしや……人族か」


「…………!」


フランジュが身構える。


だが。


「……ふんっ、まあよい」


デッカーは興味深そうに彼女を見る。


「どうやら敵意はないようだな」


「……はい」


フランジュは頭を下げる。


「わたしは、勇者フランジュと申します」


「勇者……」


デッカーの目が細くなる。


「なるほど」


「…………?」


「そういうことか」


「何がです?」


「……いや」


デッカーはそれ以上語らなかった。


レイドが本題を切り出す。


「デッカー」


「何だ?」


「神について聞きたい」


「…………」


その瞬間、デッカーの表情が変わった。


「……神?」


「ああ」


「…………」


巨大な竜が長い沈黙を置く。


「なぜ、その話を聞きたい?」


レイドがフランジュを見る。


「こいつから聞いた」


「…………」


フランジュが頷く。


「アストリア王国とツヴァイス神聖国が、レガリアを集めて神を顕現させようとしていると」


「…………」


デッカーは目を閉じた。


「……そうか……人族は知っているのか?」


「知っている?」


レイドとフランジュの表情が変わる。


「神の顕現のことですか?」


「ああ……そうだ」


デッカーは静かに答えた。


「神の顕現については……竜族に古くから伝わる記録がある」


「…………」


「ただし……」


その声が低くなる。


「それは……決して人族が知ってはいけない話だ」


デッカーはゆっくりと身体を伏せて語り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。