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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~良いとこどりで最強に育って無双します~  作者: ララ
第三章 レガリア編

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第136話 違和感

――王家墓所。


地下深く。


石造りの巨大な空間。


そこには歴代の王達が眠っていた。


だが。


「…………」


その一角。


先王の棺だけが無残に開かれていた。


「…………」


バルグリムが立ち尽くす。


「…………これは」


誰も答えない。


ライトが棺へ近づく。


「…………」


中は空だった。


「先王様の遺体が……」


リオネが呟く。


「ない」


「…………」


バルグリムの顔が強張る。


「何者かが……遺体を盗んだ?」


ライトは周囲を見る。


棺の周辺。


床。


壁。


そして。


「…………」


「痕跡が少ない」


「え?」


リオネが聞き返す。


ライトはしゃがみ込む。


「墓荒らしなら、もっと滅茶苦茶に荒らすはずだ」


「…………」


「でも……荒らされたのはこの棺だけ」


ライトは棺を見る。


目的は明確だった。


「…………」


「先王の遺体だけを持っていってる」


バルグリムの表情が険しくなる。


「つまり……最初から、それだけが目的だった?」


「……おそらく」


「…………」


三人の間に沈黙が落ちる。


「でも……」


リオネが首を傾げる。


「どうして?」


「…………」


「先王様の遺体なんて、盗んで何になるの?」


「…………」


誰も答えられない。


バルグリムも考え込む。


「先王の遺体には……王家の証となる物でも?」


ライトが尋ねる。


「いや」


バルグリムは首を振る。


「王位継承に必要な物は何もない」


「土のレガリアも……俺に宿っている」


「…………」


ライトの目が細くなる。


「それなら……なぜ、わざわざ先王の遺体を?」


「…………」


答えが出ない。


しかし。


ライトの脳裏に、一つの可能性が浮かぶ。


「…………」


――アストリア王国


――レガリアを狙っている


そして


――先王は、かつて土のレガリアを宿していた


「…………」


ライトは棺を見つめる。


「もしかして……」


リオネが振り向く。


「何?」


「いや……」


ライトは言葉を止める。


まだ確証がない。


「……分からない」


「…………」


バルグリムが拳を握る。


「俺には……先王の遺体を奪う理由が分からない」


「…………」


「だが」


その瞳に怒りが宿る。


「誰かが、俺の恩人の遺体を……墓から連れ去った」


「…………」


「それだけは許せない」


平民であり、日々の重労働以外何もなかった……そんな自分にレガリアの器の素質を見出し、我が子のように接してくれた。


自分の人生に意義を見出してくれた。


そんな恩人の安らかな眠りを妨げた……死して尚、利用しようと……


怒りに震えるバルグリム。


ライトはバルグリムを見る。


「必ず調べましょう」


「…………」


「今回のクーデターと、墓荒らし」


「別々の事件に見えて……」


ライトは静かに言う。


「実は、同じ奴らが仕組んだ可能性があります」


「…………」


リオネも頷く。


「私もそう思う」


「…………」


「戦争を起こして、その隙に墓所へ入った」


「…………」


「だったら……」


リオネの瞳が鋭くなる。


「最初から全部、計画だったのかも」


「…………」


ライトは答えなかった。


ただ、空になった棺を見つめる。


――現王を襲う。


――クーデターを起こす。


――王都を混乱させる。


――その隙に王家の墓所へ侵入する。


そして。


――先王の遺体を持ち去る。


「…………」


偶然とは思えない。


だが、それならば。


「…………」


なぜ?


何のために?


「先王の遺体を……」


ライトは呟いた。


その疑問だけが。


いつまでも頭から離れなかった。



――その頃


ドラムガルド王都の外。


人目につかない山道。


一台の荷車が走っていた。


「…………」


荷台には、巨大な木箱。


その中には先王の遺体。


「…………」


御者が周囲を確認する。


「王都からは十分離れました」


「よし」


後方に座る男が答える。


「ここから先は?」


「予定通り、国境を越えます」


「…………」


男は小さく笑う。


「今回の任務は成功だ」


「クーデターも予定以上の混乱を生んだ」


「…………」


そして。


木箱を見る。


「これで……」


「研究が始められる」


荷車は夜の山道を進んでいく。


その行き先は――


アストリア王国。


だが、その真の目的を知る者は。


まだ、この世界にほとんど存在していなかった。


――先代レガリア保持者の肉体。


――そこに残された神性。


そして


それを利用して作られる、新たな「器」


その計画はまだ始まったばかりだった。



――ドラムガルド


王家墓所。


空になった棺の前。


ライトは一人、立っていた。


「…………」


リオネが隣に来る。


「ライト」


「何?」


「どう思う?」


「…………」


ライトはしばらく考える。


「分からない」


「…………」


「でも……恐らくアストリア王国が絡んでいるはず……」


ライトは空になった棺を見る。


「アストリア王国は、土のレガリアを狙っている……それは間違いない」


「…………」


「なのに……」


ライトは眉を寄せる。


「現王のレガリアには手を出さず、先王の遺体を盗んだ」


「…………」


「そこに何か意味がある」


リオネは黙って聞いていた。


「そして」


ライトは拳を握る。


「その答えは……アストリア王国にある」


「…………」


リオネが笑う。


「じゃあ……」


炎がほんの僅かに揺らめく。


「また、敵のところへ行く理由ができたね」


ライトは空の棺を見つめる。


「…………ああ」


「必ず見つけ出す」


「なぜ先王の遺体を奪ったのか」


そして。


「その裏で……」


ライトの瞳が鋭くなる。


「王国が何をしようとしているのか」


――こうして、ドラムガルドのクーデターは終わった。


だが、戦いが終わったことで新たな謎が残された。


なぜ、アストリア王国は――


すでに亡くなった先王を必要としたのか。


その答えをライト達はまだ知らない。


そしてその頃、アストリア王国へ向かう荷車の中で。


先王の身体に残された「土」の神性が。


微かに――

脈動していた。

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