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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第三章 レガリア編

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第134話 レガリアの残滓

戦いの渦中であるドラムガルド王宮のさらに地下――


誰も近づかない、古い地下墓所。


「…………」


数人の男達が静かに歩いていた。


その装備は、アストリア兵とは異なっている。


目立たない。


王国の紋章すら隠している。


「ここで間違いないな?」


「はい」


一人の男が答える。


「先王陛下の遺体は、この地下墓所に安置されています」


「…………」


男は周囲を見る。


「警備は?」


「王宮正面で戦闘が始まったため、こちらの警備は極端に薄くなっています」


「よし」


男は頷いた。


「では、予定通り進める」


「…………」


一人の兵士が尋ねる。


「ですが……」


「何だ?」


「本当に、これを持ち帰るだけで?」


「そうだ」


男は冷たく答える。


「今回の目的は新王ではない」


「…………」


「土のレガリアでもない」


「では……」


男は墓所の奥を見る。


「先王の遺体だ」


「…………」


「回収後、王国へ搬送する」


「研究所へ?」


「ああ」


「…………」


「ツヴァイス神聖国との共同研究も、次の段階へ進んでいる」


男は低く笑った。


「もはやレガリアそのものを奪う必要はなくなった」


「レガリアの残滓だけでも――神の力を再現できる……」


「レガリアを宿していた者の肉体には、長年にわたってレガリアの残滓が蓄積される」


「…………」


「つまり、レガリアそのものがなくても――」


「その力の残り滓だけで、神性を再現出来る」


「…………」


兵士達が息を呑む。


「そして、先代のレガリア保持者は現代の保持者とは違い……長き年月レガリアと共に生きた者達だ」


「その肉体には……」


男の目が細くなる。


「強大な力の痕跡が残っている」


「…………」


「その力を――」


男は静かに告げる。


「もう一度、兵器として利用する」


「未成熟の器を労して手にするよりも、成熟した器を再利用した方が遥かに効率がいい」


レガリア――


その力を宿した者は、決して最初から完全な存在ではない。


覚醒したばかりのレガリア保持者は、強大な力を持っている。


だが――


長い年月をかけてレガリアと共に生きた者達の力は桁違いだ。


何十年


何百年


その力を鍛え続けた者達。


彼らの身体には、レガリアの神性が深く刻み込まれていた。


「歴代のレガリア保持者」


「彼らの多くは、生前――現在のレガリア保持者よりも遥かに強かったという」


「…………」


そして。


「さらには研究が成功すれば……レガリアの器を複製し、人工的に作り出せる」


「…………」


「天使化も可能になる」


その言葉に。


兵士達の表情が変わる。


「…………天使化」


「ああ」


「先代のレガリアの器を使い、勇者アレンの特殊個体を超えるものを作る」


「…………」


「レガリアの力を宿した、複数の特殊個体すら生み出せるのだ」


「…………」


「そのための第一歩が……」


男は墓所の奥を見る。


「ドラムガルドの先王だ」



――一方、王宮では。


「――――ぐおおおおお!!」


バルグリムの拳が大地を砕く。


ドゴォォォン!!


「はああああっ!!」


リオネの炎が敵兵を吹き飛ばす。


そして。


「――――ッ!!」


ライトが一瞬で敵陣へ飛び込む。


「遅い」


ドゴッ!!


「ぐあっ!!」


「な、なんだこいつは……!」


「速すぎる!!」


ライトの翼が翻る。


両手に握ったナインティーンイレブンから放たれる白と黒の閃光。


敵兵が次々と倒れていく。


バルグリムは、その姿を見ながら驚いていた。


「…………」


「アルヴァニアは……こんな戦士を送り込めるのか」


そして。


リオネ……炎を纏った少女。


「…………」


「これほどの力を持つ少女も……」


一体、何者なのだ。


だが。


「今は考える必要はない」


バルグリムは拳を握る。


「俺は……」


大地が轟く。


「この国を守る!!」


三人の力が。


再び王宮を揺らした。



――地下墓所


「…………」


薄暗い地下通路。


さらに奥には――巨大な石造りの部屋。


「見つけました」


「…………」


そこに。


一つの棺が置かれていた。


兵士達が立ち止まる。


「これが……先王の眠る場所か」


無造作に棺が開かれる。


そこに眠る先代ドラムガルド国王。


すでに生命を失った身体。


「…………」


兵士が魔道具を近づける。


ピピッ……


「反応あり」


「やはり……」


男が笑う。


「強い残滓が残っている」


「…………」


「慎重に運べ」


「はい」


「絶対に傷をつけるな」


「承知しました」


兵士達が遺体を運び出す。


そして。


地下墓所を出る直前。


男が一度だけ振り返った。


「…………」


「これで……新たな時代が始まる」


彼らは静かに地下通路へ消えていった。


その上では、王宮を巡る戦いが続いている。


誰も、彼らの存在には気づいていない。


ライトも。


リオネも。


バルグリムも。


そして。


土のレガリアを奪われる……そう思って戦っているドワーフ達も。


まだ知らない。


敵が本当に狙っているものが――すでに失われた命の中にあることを。


――――


そして。


戦火に包まれた、王都アイゼンベルグの地下深く。


誰も気付かないまま一台の荷車が王宮地下から、静かに動き始めていた。


その荷台に積まれているのは――


数日前までドラムガルドを治めていた王。


先代の土のレガリア保持者。


その亡骸。


先王の遺体を乗せた一行は、密かに王都から離脱を始めた。


今回のクーデターは王位を奪うためだけのものではない。


ライトたちが今、命懸けで守ろうとしている「土のレガリア」である現国王バルグリム。


その力を奪うことこそが、アストリア王国の目的だと思っている。


しかし


現王襲撃という大混乱の陰で、アストリア王国はもう一つの「計画」を静かに進めていた。


アストリア王国とツヴァイス神聖国が共同で進める、禁断の研究。


――レガリアの残滓。


――先代保持者の肉体。


――そして。


「人工的な神の器」


その研究はすでに始まっていた。


そしてその先に待つものが、かつての「天使化特殊個体」を遥かに凌ぐ、新たな脅威になることを――


ライト達はまだ知らなかった

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