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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第三章 レガリア編

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第127話 獣王の試練

――翌日


獣人国アルヴァニア。


王都のさらに地下。


そこには、一般の獣人達には存在すら知られていない場所があった。


「…………」


巨大な石造りの階段を、ライトとリオネが並んで歩いている。


その後ろには、獣人国国王レオガルド。


そして数名の重臣達が続いていた。


「…………」


ライトは周囲を見渡す。


壁には、古代の獣人族が描かれた壁画。


巨大な獣。


炎を纏う戦士。


そして――


その中央に描かれた、一人の獣人。


「…………」


「気になる?」


隣からリオネが尋ねる。


「ああ」


ライトは壁画を見つめる。


「この人……誰?」


リオネが笑う。


「歴代最強の獣王」


「…………」


「レオニダスよ」


「レオニダス……」


ライトが呟く。


レオガルドが静かに口を開いた。


「かつて、この世界には一人の獣人がいた」


「その者は、獣人族の歴史上、最も強い力を持っていた」


「獣闘術」


「魔力」


「肉体」


「そして――」


レオガルドが足を止める。


「獣神の力」


「…………」


ライトの瞳が細くなる。


「獣神……」


「ああ」


レオガルドは頷いた。


「レオニダス王は、獣神と契約した」


「そして、その力を宿した」


「…………」


リオネが拳を握る。


「だからこそ、私達獣人族にとってレオニダス王は特別なの」


「歴代最強の獣王、そして……」


リオネは胸を張る。


「私が目指す王の姿でもあるわ」


「…………」


ライトはリオネを見る。


「…………」


その表情には、いつものおてんばな笑顔はなかった。


本気の顔だった。


「なるほど」


ライトは前を見る。


「じゃあ……」


「俺達がこれから戦うのは、そのレオニダス本人?」


「違う」


レオガルドが答える。


「ここに残されているのは、レオニダス王の『思念』だ」


「思念……」


「死してなお、この場所に残った意思」


「王としての力」


「そして――」


レオガルドが巨大な扉を見る。


「獣神の力」


「…………」


巨大な扉が開く。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――


その先……そこには、巨大な闘技場が広がっていた。


中央には、巨大な石碑。


そして、その奥。


一段高い場所に一つの玉座があった。


「…………」


ライトは目を細める。


「誰もいない?」


その瞬間。


「――――誰が来た」


低い声が響いた。


「…………!」


リオネが身構える。


ライトも漆輝へ手を伸ばす。


すると、玉座の前の空間が歪んだ。


「…………」


青白い光が集まっていく。


一人の巨大な獣人の姿が現れる。


身長は三メートルを超えている。


筋骨隆々とした肉体。


頭には巨大な角。


そして、全身から溢れ出す圧倒的な威圧感。


「…………」


獣人達が息を呑む。


「レオニダス王……」


レオガルドが呟いた。


すると、その男はゆっくりと立ち上がる。


「我が名は――」


巨大な獣人が二人を見下ろす。


「レオニダス」


「歴代獣王の頂点に立ちし者」


「そして――」


その身体から。


凄まじい魔力が噴き出した。


「獣神の力を宿せし者」


「…………」


ライトの瞳が輝く。


「…………」


「面白い」


「ライト?」


リオネが振り返る。


ライトは笑っていた。


「本物の神の力……どれくらいのものなのか、試してみたい」


「…………」


レオニダスの瞳が細くなる。


「少年」


「…………」


「その目」


ライトを見る。


「貴様……何者だ?」


「ライト」


ライトは名乗った。


「ライト・グランフェル」


「…………」


「魔王国、魔王代行」


「…………」


レオニダスの表情が変わる。


「魔王……」


「そして」


ライトは漆輝を抜いた。


「勇者の息子」


「…………」


レオニダスが笑った。


「なるほど、面白い」


その瞬間。


レオニダスの姿が消えた。


「――――ッ!!」


ドゴォォォン!!


凄まじい拳がライトのいた場所を粉砕する。


「ライト!」


リオネが叫ぶ。


「…………」


だが、ライトは空中にいた。


「速いな」


「…………」


「なら――」


ライトの背中。


白と黒。


二対の翼が広がる。


「俺も……」


ライトの身体から。


白銀と漆黒の魔力が噴き出す。


「――堕天化」


ドンッ!!


空気が震えた。


「…………!」


レオニダスの瞳が見開かれる。


「ほう……光と闇……相反する二つの力を一つの肉体に宿しているのか」


「…………」


ライトは剣を構える。


「来いよ……獣神の力、俺に見せてくれ」


「…………」


レオニダスが笑う。


「よかろう!」


次の瞬間。


二人の姿が消えた。


「――――ッ!!」


轟音


「――――ッ!!」


衝撃波


「――――ッ!!」


巨大な闘技場の壁が震える。


ライトの漆輝とレオニダスの巨大な爪が激突する。


キィィィィィン!!


「…………」


「…………」


互いに弾かれる。


ライトは空中で回転し、着地。


レオニダスも大地を踏みしめる。


「…………」


リオネは目を見開いていた。


「すごい……」


「…………」


ライトは笑う。


「まだまだ!」


ライトが加速する。


「高速移動!」


一瞬で距離を詰め、漆輝で切りかかる


ズバッ!!


「…………」


だが、レオニダスはそれを腕で受け止めた。


「なっ……!」


ライトの瞳が見開かれる。


レオニダスの腕。


そこには傷一つない。


「…………」


「その程度か?」


「…………」


レオニダスの拳が迫る。


「――――ッ!!」


ライトが漆輝で受ける。


ドゴォォォン!!


「ぐっ……!」


ライトの身体が吹き飛ぶ。


「ライト!」


リオネが叫ぶ。


ライトは空中で体勢を立て直す。


「…………」


「強い……!」


その顔には。


笑み。


「やっぱり……神の力って……すごいな!」


「…………」


ライトの魔力が膨れ上がる。


「なら――」


光と闇。


二つの力が。


さらに強くなる。


「俺も……」


ライトの翼が巨大化し、頭上に漆黒の光輪が顕現する。


「本気で行く!」


「――――来い!」


二人が激突する。


一撃


二撃


十撃


百撃


「――――ッ!」


「――――ッ!」


互いの攻撃が交差する。


レオニダスの拳がライトの頬を掠める。


ライトの漆輝がレオニダスの肩を斬る。


「…………」


「…………」


互角


いや……少しずつ、ライトが押していた。


「な……」


「…………」


「押している……?」


獣人国の重臣達が驚愕する。


「獣神の力を宿したレオニダス王を……人族の少年が……」


「いや」


レオガルドが静かに言った。


「違う」


「…………」


「奴は……」


ライトの動きを見つめる。


「人族ではない」


「…………」


「いや……」


レオガルドの瞳が鋭くなる。


「人族という枠では、もう測れん」


その時。


ライトの漆輝が。


レオニダスの胸へ迫る。


「――――ッ!!」


レオニダスが拳を振る。


「――――ッ!!」


二人の攻撃が同時に直撃する。


ドゴォォォォォン!!


巨大な衝撃波によって闘技場全体が揺れる。


「…………」


砂煙


「…………」


やがて、その中からライトが歩いてくる。


傷だらけ……だが、立っている。


「…………」


そして、その反対側……レオニダスも立っていた。


だが、その胸には一筋の傷。


「…………」


「…………」


レオニダスは自分の胸の傷を見る。


そして……笑った。


「見事」


「…………」


「この私に傷を付けたか」


ライトは漆輝を構える。


「まだやれる」


「…………」


「俺はまだ――」


「よい」


「…………」


レオニダスが手を上げる。


「十分だ」


「…………」


ライトが目を瞬く。


「試練は?」


「合格だ」


「…………」


レオニダスは笑った。


「貴様は、己の力を誇示するために戦っているのではない」


「…………」


「己の力を知り、己を高めるために戦っている」


「…………」


「そして」


レオニダスはライトを見る。


「その力を……」


「誰かを守るために使おうとしている」


「…………」


ライトの瞳が揺れる。


「…………」


「ならば」


レオニダスは頷いた。


「獣王の試練――貴様を認めよう」


「…………」


ライトは漆輝を下ろす。


「ありがとうございます」


「…………」


その瞬間。


「ちょっと待って!」


リオネの声が響いた。


「…………」


全員が振り返る。


リオネは怒っていた。


「何でライトだけなのよ!」


「…………」


「私も挑戦する!」


「リオネ」


ライトが慌てて近付く。


「無理だよ」


「…………」


「レオニダスは強すぎる」


「…………」


「俺でもギリギリだった」


「だから何よ!」


リオネが睨む。


「私は獣人族よ!」


「次代の獣王よ!」


「…………」


「だったら!」


リオネは大剣を握る。


「私だって!」


「獣王の試練を受ける権利がある!」


「…………」


「リオネ」


「何?」


「やめておいた方がいい」


「…………」


「今の君じゃ――」


「…………」


その言葉に、リオネの耳がピクリと動いた。


「…………」


「今の私じゃ?」


ライトが気付く。


「いや、そういう意味じゃ……」


「ライト」


リオネが真っ直ぐ見つめる。


「私……」


「あなたの隣に立ちたい」


「…………」


「あなたが強くなるのを、一年半ずっと見てきた」


「…………」


「あなたが堕天化を手に入れるのも見た」


「…………」


「だから」


リオネは大剣を構える。


「私も強くなる」


「リオネ!」


「止めないで!」


「私は――」


リオネの瞳に炎が宿る。


「王女だから!」


「…………」


「次の獣王だから!」


「…………」


「そして!」


リオネはライトを見る。


「ライトの隣に立つんだから!」


「…………」


「だから!」


「私も戦う!」


ライトは言葉を失った。


「…………」


リオネは振り返る。


「レオニダス王!」


「…………」


「私にも試練を!」


「…………」


レオニダスはリオネを見る。


「リオネ・アルヴァニア」


「はい!」


「貴様は……」


レオニダスの目が細くなる。


「まだ弱い」


「…………」


リオネの拳が震える。


「…………」


「ライトとは比べるまでもない」


「…………」


ライトが口を開く。


「レオニダス!」


「事実だ」


「…………」


「貴様では――」


レオニダスの魔力が膨れ上がる。


「私には届かぬ」


「…………」


リオネは、それでも大剣を構えた。


「それでも!」


「…………」


「私は戦う!」


「リオネ!」


「ライト!」


リオネが叫ぶ。


「あなたは私を信じて!」


「…………」


「私は!」


その瞳に。


涙が浮かぶ。


「私は……!あなたに守られるだけの女じゃない!」


「…………」


ライトの瞳が揺れる。


「…………」


リオネは叫んだ。


「私も……私もあなたを守れるようになりたい!」


「…………」


その言葉にライトは何も言えなかった。


「…………」


レオニダスが静かに笑う。


「なるほど」


「…………」


「ならば――」


「試してみるがいい」


「…………!」


「己の力で」


「己の道を切り開け」


「――――獣王の試練」


その瞬間。


レオニダスの魔力が爆発した。

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