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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第三章 レガリア編

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第126話 堕天化

――ライトがリオネと修行を開始して一年半後。


その日、獣人国の空は不気味なほど静かだった。


「…………」


ライトは一人、修練場の中心に立っていた。


「…………」


その周囲には。


リオネ


レオガルド


そして、獣人国の重臣達


「…………」


「本当に大丈夫なのか?」


レオガルドが尋ねる。


「はい」


ライトは答える。


「今日……完成させます」


「…………」


リオネが笑う。


「大丈夫よ、おじい様!」


「リオネ」


「ライトなら出来るわ!」


「…………」


「だって!」


リオネは胸を張る。


「一年半も私と修行したのよ!」


「…………」


「それに!」


リオネはライトを見る。


「ライトだもの!」


「…………」


レオガルドは苦笑する。


「お前は……ライト殿を信じているのだな」


「当たり前よ!」


リオネは即答した。


「だって私……ライトの強さを一番近くで見てきたんだから!」


「…………」


ライトは少しだけ驚いた。


「リオネ……」


「何?」


「いや……」


「…………」


「ありがとう」


「…………」


リオネは一瞬、顔を赤くした。


「べ、別に!」


「私は未来の奥さんだから!」


「まだ言ってるの?」


「絶対に諦めないから!」


「…………」


ライトは苦笑した。


そして、ゆっくりと目を閉じる。



「…………」


身体の奥。


循環する魔力……


そのさらに奥……




「…………」


これまで何度も、二つの力を引き出してきた。


だが、今までの自分は光と闇を「使っていた」だけだった。


「…………」


今日は違う。


「…………」


ライトは、光を感じる。


温かい


優しい


全てを照らす力


そして……



冷たい


静か


全てを包み込む力


相反する二つ力……だが


「…………」


ライトは思う。


光だけでは守れない。


闇だけでも守れない。


どちらか一方だけでは「足りない」


だから……


「…………」


「どっちも……」


ライトは拳を握る。


「俺のモノにする」


その瞬間。


ドクンッ!!


心臓が鳴った。


「…………!」


リオネの耳が立つ。


「来る……」


レオガルドが呟く。


「何だ……?」


ライトの身体から。


白い光が溢れ出す。


「――――」


そして、その光を黒い闇が覆う。


「…………」


「なっ……」


側近達が息を呑む。


「光と闇が……混ざっている……?」


違う。


混ざっているのではない……重なっている。


白と黒。


相反する二つの力が、互いを消すことなく一つの身体に存在している。


「――――ッ!!」


ライトの身体が浮き上がる。


「ライト!」


リオネが叫ぶ。


「…………」


その背中。


白い翼


黒い翼


二つの翼が。


大きく広がる。


「…………」


だが。


これまでとは違う。


白い翼は。


純白ではない。


黒い羽根が混じっている。


黒い翼にも、白銀の羽根が混じる。


光と闇……二つの力が完全に融合した。


「――――ッ!!」


ドンッ!!


凄まじい魔力が爆発する。


「うわっ!」


「な、何だこの魔力は!?」


獣人達が後退する。


「…………」


レオガルドの毛が逆立つ。


「これは……」


「…………」


「あり得ない……」


ライトの身体が、ゆっくりと地面へ降りる。


「…………」


そして。


ライトが目を開いた。


「…………」


その瞳は。


右が白銀。


左が漆黒。


その中心には、二つの光が宿っている。


「…………」


「成功……」


ライトが呟く。


その瞬間、リオネが叫んだ。


「ライト!」


「…………」


「すごい!!」


「…………」


「やったじゃない!!」


「…………」


「出来たわ!!」


「…………」


「私の弟子が!!」


「誰が弟子?」


「貴方よ!」


「…………」


「私が教えたの!」


「いや、獣闘術だけだよね?」


「細かいことはいいの!」


リオネは胸を張る。


「私のおかげ!」


「…………」


ライトは苦笑する。


「はいはい」


「もっと褒めて!」


「…………」


「リオネ」


「何?」


「うるさい」


「ひどい!」


「…………」


その様子を、レオガルド達はただ呆然と見つめていた。


「…………」


「…………」


「陛下……」


「…………」


側近の声が震える。


「これほどの力……」


「…………」


レオガルドは答えない。


ただ。


ライトを見つめている。


この力、知っている……


かつて、アストリア王国が生み出した、あの存在……


「…………」


天使化した勇者アレン。


その特殊個体。


王国の兵士達が、実験によって作り上げた。


「…………」


あの時……獣人国の偵察隊が遠くから見ただけでも、その力は絶望的だった。


だが……


今、目の前にいる少年は


「…………」


その力を遥かに超えている。


「…………」


レオガルドが。


ゆっくりと立ち上がる。


「ライト殿」


「はい」


「その姿……」


ライトは自分を見る。


「堕天化」


「…………」


「俺は、そう呼ぶことにした」


「堕天化……」


レオガルドが呟く。


「光と闇」


「天使と魔族」


「聖と魔」


「…………」


「その全てを……」


レオガルドは、ライトの姿を見つめる。


「一つの肉体に宿しているのか」


「はい」


「…………」


「まだ完全じゃないですけど」


ライトは笑う。


「それでも……」


「今までよりは、ずっと強い」


「…………」


その瞬間。


「どれくらい強いの?」


リオネが尋ねる。


「え?」


「前のライトと比べて」


「…………」


ライトは考える。


「分からない……戦ってみないと」


「じゃあ!」


リオネが大剣を構える。


「私と!」


「嫌だ」


「何で!?」


「疲れたから」


「…………」


「…………」


「ちょっとくらい!」


「嫌だ」


「ライト!」


「…………」


「私の弟子でしょ!」


「だから誰が……」


「決闘よ!」


「また!?」


リオネが大剣を振り上げる。


「私が相手してあげる!」


「いや、無理だって」


「何よ!」


「今の俺……」


ライトは自分の手を見る。


「自分でも……どれくらい強くなったのか分からないから」


「間違ってもキミを傷つけたくない」


「…………」


その言葉に、レオガルドが静かに口を開く。


「ならば」


「…………」


「試してみるか?」


「おじい様?」


リオネが振り返る。


レオガルドは、修練場の奥を指差した。


「獣人国には、王族のみが立ち入ることを許される古代闘技場がある」


「…………」


「そこでなら、お前の力を試せる」


ライトは目を見開く。


「古代闘技場……?」


「ああ」


レオガルドは頷く。


「そして」


「…………」


「そこには、お前の力を測るのに相応しい存在がいる」


「…………」


「かつて獣人国を守った、伝説の獣王」


「その血を受け継ぐ者だけが挑むことを許された……」


レオガルドの瞳が鋭くなる。


「獣王の試練」


「…………」


ライトの瞳に。


新たな炎が宿る。


「…………」


「面白そうですね」


「ライト!」


リオネが叫ぶ。


「私も行く!」


「え?」


「当然でしょ!」


「何で?」


「だって!」


リオネは胸を張る。


「私も次代の獣王なんだから!」


「…………」


「それに!」


リオネはライトの隣に立つ。


「あなたの新しい力!一番近くで見たいもの!」


「…………」


ライトは苦笑する。


「分かったよ」


「やった!」


レオガルドは二人を見つめる。


「…………」


そして、静かに笑った。


「では、二人とも……準備を整えろ」


「…………」


「明日、獣王の試練へ向かう」


「…………」


ライトは、自分の拳を握る。


堕天化


光と闇、二つのレガリア。


そして


「獣王の試練」


一年半前、一人で強くなるためにこの国へ来た。


だが、今……ライトの隣にはリオネがいる。


そして。


自分の力を信じてくれるレオガルド達がいる。


「…………」


ライトは、小さく笑った。


しかし「獣王の試練」が、ライトとリオネの運命を大きく変えることになるとは、この時の二人はまだ知らなかった。

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