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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第三章 レガリア編

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第124話 獣化

――数日後


ライトは獣人国の修練場で、今日もリオネと修行に明け暮れていた。


「…………」


目の前には巨大な岩。


ライトは拳を握る。


「…………」


そして。


身体を沈める。


「――――」


次の瞬間。


ドンッ!!


爆発的な加速。


一瞬で岩の懐へ入り込む。


「――――ッ!」


拳を放つ。


ドゴォォォン!!


岩が砕け散る。


「…………」


ライトは拳を見つめる。


「…………」


獣闘術……確かに面白い。


そして


「もっと……」


ライトは呟く


「もっと知りたい」


この世界には、まだ自分の知らない戦い方がある。


まだ知らない力がある。


そして


その中でも、ライトが最も興味を惹かれたもの。


それは


「――――獣化」


ライトはリオネを見る。


「ねぇ」


「何?」


「獣化って……」


「…………」


「どうやってるの?」


「え?」


「俺も出来ないかな?」


「…………」


リオネが目を丸くする。


「…………」


そして


「…………ぷっ」


「何?」


「ぷぷぷっ……!」


「何がおかしいの?」


「だって……!」


リオネが腹を抱える。


「ライトが獣化って……!」


「…………」


「どんな獣になるのよ!?」


「知らないよ」


「猫?」


「…………」


「犬?」


「…………」


「もしかして……」


リオネがライトの頭を見る。


「狼?」


「…………」


「それとも……」


リオネがニヤリと笑う。


「ウサギ?」


「…………」


ライトの眉が動く。


「…………」


「ライト?」


「…………」


「怒った?」


「怒ってない」


「本当に?」


「…………」


「じゃあ、ウサギね!」


「違う!!」


「やっぱりウサギだ!」


「違うって!」


「可愛い!」


「可愛くない!」


「…………」


リオネは笑い続ける。


ライトは深いため息を吐いた。


「……で?」


「何?」


「獣化」


「ああ……」


リオネは少し真面目な顔になる。


「獣化はね、自分の中にある獣の血を呼び起こすの」


「…………」


「獣人族は、身体の奥に獣の本能と力を持っている」


「それを魔力で引き出す」


「つまり……」


ライトが考える。


「血と魔力の融合?」


「そうね」


「…………」


ライトは自分の身体を見る。


自分には。


獣人族の血は流れていない。


なら


「…………」


「無理じゃない?」


リオネが言う。


「獣化は獣人族の特性だから」


「…………」


「でも」


リオネは続ける。


「ライトなら……」


「…………」


「もしかしたら、似たことが出来るかも」


「本当?」


「だって」


リオネはライトを指差す。


「あなた、普通の人族じゃないでしょ?」


「…………」


「魔王の養子」


「勇者の息子」


「魔王代行」


「聖魔王」


「光と闇のレガリア」


「…………」


「だったら」


リオネは笑う。


「獣化くらい、出来てもおかしくないんじゃない?」


「…………」


ライトは考え込む。


「…………」


「獣化」


自分の身体に存在する。




二つのレガリア


そして、聖魔王の力。


もし、これらを……


「…………」


「獣化のように……引き出せたら」


ライトの瞳が鋭くなる。


「…………」


自分の力をただ放出するのではない。


身体そのものを変える。


魔力を肉体へ


光と闇を自分自身へ


「…………」


ライトの中で、新たな可能性が生まれ始めていた。


「リオネ」


「何?」


「ちょっと……」


ライトは拳を握る。


「試してみる」


「…………」


「何を?」


「俺なりの……獣化を」


「…………」


リオネの耳が立つ。


「…………」


そして。


「面白そう!!私も見る!」


「いや、危ないかもしれないから離れて」


「嫌!」


「…………」


「絶対に見る!」


ライトはため息を吐く。


「…………分かった」


「やった!」


「でも、失敗しても笑わないでよ」


「もちろん!」


「…………」


「たぶん」


「たぶんって何だよ……」



――修練場


ライトは、静かに立っていた。


「…………」


目を閉じる。


身体の奥へ意識を向ける。


魔力……そのさらに奥。


「…………」



そして



二つの異なる力。


これまで自分は、二つを同時に扱うことは出来ても。


一つにすることは出来なかった。


「…………」


光は光


闇は闇


混ざれば反発する。


だが


「…………」


獣人族は、己の血と魔力を融合させる。


なら、自分も……


「…………」


ライトは魔力を身体へ流し込む。


「…………ッ!」


身体が震える。


「ライト!?」


リオネが叫ぶ。


「大丈夫!」


ライトは歯を食いしばる。


光が身体を包む。


そして、闇がその周囲を覆う。


「――――ッ!!」


二つの力が反発する。


「ぐっ……!」


身体が軋む。


「ライト!」


「まだ……!」


ライトは力を込める。


「俺は……!」




二つの力


「どっちも俺の力だ……!」


その瞬間……


ドクン。


心臓が大きく鼓動した。


「…………!」


光と闇が、一瞬だけ重なった。


「――――ッ!!」


ドンッ!!


凄まじい衝撃波が発生する。


「きゃあっ!」


リオネが吹き飛ばされる。


「リオネ!」


ライトが慌てて駆け寄る。


「大丈夫!?」


「…………」


リオネは地面に倒れながら。


「…………」


「ふふっ」


「何笑ってるの?」


「今……」


リオネは笑う。


「ライトの目……」


「…………」


「ちょっとだけ……」


「獣みたいだった」


「…………」


ライトは自分の手を見る。


何も変わっていない。


だが


「…………」


確かに一瞬だけ、自分の身体の奥に何かがいた。


獣ではない、もっと別の何か。


「…………」


ライトは呟く。


「まだ……出来ない」


「でも……」


ライトは拳を握る。


「出来るかもしれない」


リオネが立ち上がる。


「なら!」


「…………」


「一緒にやりましょう!」


「え?」


「獣化の研究!」


「…………」


リオネが笑う。


「あなたの『獣化』を作るのよ!」


「…………」


ライトは少しだけ驚いた。


そして。


「…………」


「うん」


笑った。


「そうだな」


「…………」


一人で修行するはずだった。


一人で強くなるはずだった。


誰にも迷惑をかけないために。


そのために旅に出た。


だが今、ライトの隣には一人の少女がいる。


「ライト!」


「何?」


「次はもっと凄いのやりましょう!」


「いや、今日はもう無理」


「えー!」


「身体が痛い」


「じゃあ明日!」


「…………」


「明日も一緒に修行しましょう!」


「…………」


ライトは空を見上げる。


青い空。


広い世界。


そして。


その隣にいるリオネ。


「…………」


ライトはまだ知らない。


自分が「一人で強くなる」と決めて始めたこの旅が。


少しずつ。


少しずつ。


その考えを変えていくことを。


「…………」


そして、その変化を誰よりも早く感じ取っていた人物がいた。


獣人国国王レオガルド・アルヴァニア。


「…………」


彼は遠くから。


二人の少年少女を見つめていた。


「ライト・グランフェル」


「リオネ・アルヴァニア」


「…………」


王は静かに目を閉じる。


「レガリアを宿す者と」


「次代の獣人王」


「…………」


その二人が出会った意味をレオガルドはまだ知らない。


だが……


「この出会いは……きっと世界を変える」


獣人国の風が静かに吹き抜けていった。


そして。


ライトの修行は新たな段階へと進み始める。


――光と闇

二つのレガリアを自分自身のものとする、新たな力を求める修行へと。

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