第11話 勇者の行方
初めての作品で、手探りで執筆しておりますので内容において、度々改変などがされております。
ご不便をお掛け致しますが、温かい目でご覧頂けると幸いです。
勇者一行が魔王国を離れたのは、俺と魔王国を守るため….
ベイルはそう言った….
そこで俺は一つの考えに至る。
『それはアストリア王国の侵攻は以前にもあったって事かな?』
『その通りです...』
ベイルは肯定して話を続ける。
『勇者達が我が国で暮らし始めて半年程が経った頃、王国から即時勇者一行の解放を求めるといった内容の書状が届きました』
『解放って....』
ライトは呆れたよう表情で呟く。
『当然、勇者達が魔王国に留まっているのは、勇者達自身の意思だと王国に返事を送りましたが、それでも王国は勇者を解放するという名目でこちらに攻めて参りました』
『全く話が通じない相手なんだね....もちろん撃退したんでしょ?』
『それは、もちろんです!魔王様も侵略者には容赦しませんでしたから....でもしつこかったのですよ...』
『しつこかった?王国軍が?』
『そうです、何度も何度も侵攻をしてきたのです...』
『戦力自体は、兵の数が多いのと人族が作る魔道具が少々厄介なだけで特に問題は無かったのですが、とにかく昼夜問わず攻めてきたのです...』
余程しつこかったのだろう、ベイルが遠くを見つめている...
『大変だったね....』
ライトはベイルを労うように呟く。
『ええ...撃退しても湧いてくるかのように次々と現れておりましたので....』
ベイルは思い出したくもない、と言った表情で更に話を進める。
『そして、その魔王軍と王国軍の戦いを見た勇者は事態を重く感じたのか、我が国にこれ以上迷惑をかける事は出来ないと言い、国王を説得する為に皆とライト様を連れて王国に向かったのです。必ず戻ると魔王様に約束をして....』
『しかし、その後暫くして我が国に戻ったのは勇者一行ではなく、ライト様を胸に抱いた勇者一人だけでした...』
『戻ってきたの?さっきは戻らなかったって...?』
『ええ、一度は戻りました。しかし、戻った勇者は見るからにボロボロの状態で、生まれたばかりのライト様を我が国に連れて、何とか逃げ帰って来たという感じでした....そして傷ついた身体を少しだけ休ませてライト様を我々に託すと、王国がライト様と我が国に手を出せないようにしてくると言い再度王国に向かってしまいました....』
『ボロボロの状態で戻ってきた?...誰かに襲われたってこと?』
『その通りです、相手は王国です。勇者達は罠にハマりました....』
『最初に王国に戻った時、勇者一行はすぐに国家反逆罪で捕らえたのです』
『捕らえた?何で?勇者を救う為に戦争してたんじゃないの?』
『それこそが罠だったのです....自分達のせいで魔王国が攻められてるとなれば勇者達は王国に戻る他ないだろうと』
『何だよそれ!本当にどっちが魔王わからないな!』
『全くです!』
『でも、ただ捕えるだけの為に戦争までして勇者を国に戻らせるかな....』
『それが....捕らえられた勇者一行は何かの実験に協力するよう強要されたそうです。そこで何とか隙を見て生まれたばかりライト様を奪い返して逃げて来たと....』
『実験?』
『はい、人族は魔道具や魔導兵器の製作に長けておりますのて、恐らく兵器の類の実験かと....現に先程の王国との戦いでは今まで見た事もないゴーレムが現れ......!!!そういえば、そのゴーレムは魔王様と戦う時に勇者が使う技と同じ技を放っておりました!』
『父ちゃんを追い詰めた強敵というのがそのゴーレムか....そのゴーレムが勇者と同じ技....まさかとは思うが、生体兵器か?....そんな事が出来るのか….?しかし、勇者一行を使った実験....?戻らない勇者一行….』
俺の頭の中でパズルのピースが組み上がっていく。
『勇者はその後戻って来なかったんだよね?』
脳裏に嫌な考えがよぎる。
『はい、戻りませんでした....魔王様も勇者を探したようですが、居場所は掴めず....』
『そうか....』
『そういえば、ゴーレムは数も特徴も勇者一行と同じでした....』
『勇者一行と同じ?』
『はい、勇者一行とは勇者、聖女、魔導王、剣聖、盾王の5人ですが、ゴーレムも5体と数が同じで、しかもそれぞれが剣、ロザリオ、ロッド、盾と手にしている武器が勇者一行が使う武器種と同じでした』
『そうか、ここまでの情報を聞いた限り、王国は勇者一行を使った生物兵器....ゴーレムを創り出した....これはもう間違いないんじゃないか....』
考えは確信に変わる。
『まさか、高い神聖力を持つライト様を狙う理由も....!!』
俺の言葉を聞いたベイルが、王国の次なる目論見に気付いたように声を荒げる。
『恐らくそうだろうね....』
何という事だ....その生体兵器はどのようなものかは分からないが、大体にして碌なもんじゃないだろう....
バンッ!!!
『ハァハァ....今戻ったぞ....』
ライトが思考の海に意識を沈めていると、急にエントランスの扉が開き誰かが戻ってきた。
その姿を見てアローラが駆け寄る。
『エド!無事だったのね!』
このエドという男は、バードマンという鳥人間のような種類の魔族で、全身が黒い羽毛で覆われ、頭にはアクセントのように特徴のある赤い模様、そして背中には大きな翼が生えた魔王軍の斥候部隊の隊長だ。
実はそのエドは、皆が退却した後も戦場に残り、魔王とゴーレム達の戦いを遠くから見届けていたのだ。
『あれから、ど、どうなったの....』
アローラは知りたくも知りたくなくもあるようにエドに尋ねる。
『ハァハァ....魔王様はまだ生きている....』
エドは息を切らしながら魔王ガルスはまだ生きていると皆に伝えた。
『『『ーー!!』』』
『エド!!それは本当だすか!!』
先程まで泣き崩れていたホイズが凄い勢いでエドに詰め寄る。
『あぁ、間違いない....ただ王国軍に捕まって連れて行かれちまった....』
『魔王様が王国に....しかし、まだ生きておられる....』
ベイルの目に希望が灯る。
『王国軍は撤退したのか?』
『はい、ライト様....王国軍は魔王様を捕えましたが、魔王様は捕えられる前にゴーレムを全てほぼ戦闘不能にまで追い込んだんです。恐らくそれが理由でこのまま魔王城を落とす事は不可能と判断したのか、王国は退却に踏み切ったようです』
『という事は、撤退先はアストリア王国か....父ちゃんを連れ帰って何をするつもりだ....まさか勇者達同様、生体兵器にする気か....』
俺は嫌な予感に胸騒ぎを覚えた....




