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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第二章 ジューダス帝国編

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第111話 聖魔王対勇者

轟音が、大地を揺らす。


「はあああああっ!」


ライトは漆黒と純白の翼を大きく広げ、一気に間合いを詰めた。


聖魔王の力によって強化された肉体は、もはや音を置き去りにする。


漆輝が煌めく。


キィィィン!!


天使化した勇者の特殊個体、その手が持つ黄金の剣と激突し、神樹の森全体へ凄まじい衝撃波が走った。


「……!」


勇者の特殊個体が一歩退く。


「押した……!」


ベイルが思わず声を漏らした。


つい先程まで魔帝王ガルスと魔竜王デッカーの二人掛かりでも押し切れなかった相手を、ライトは真正面から押し返していた。


しかし、勇者の特殊個体もすぐに体勢を立て直す。


黄金の光輪が眩く輝き、四枚の翼から膨大な神聖魔力が溢れ出した。


『──殲滅対象、更新』


『最優先対象──聖魔力・魔力融合個体』


深紅の瞳がライトだけを捉える。


「そうだ……俺だけ見てろ」


ライトは静かに漆輝を構え直した。


「父ちゃん達には……もう指一本触れさせない」


その瞬間

二人が同時に消えた。



ガギィィィィィン!!


剣と剣


神速同士の斬撃が空中で何十、何百と交差する。


誰の目にも映らない。


ただ空中へ無数の火花だけが咲き乱れ、衝撃波だけが周囲を吹き飛ばしていく。


「見えない……!」


アローラが呆然と呟く。


「これが……ライト様の本気……」


ガルスも血を流したまま苦笑した。


「あいつ……力を隠してやがったな……」


隣で身体を起こしたデッカーも鼻を鳴らす。


「全くだ……何度も稽古で戦ったが、俺様相手でも本気じゃなかったって訳だ」


その言葉には悔しさよりも誇らしさが滲んでいた。



「──そこだ」


ライトの瞳が蒼く輝く。


ほんの僅かな隙。


勇者の特殊個体の剣筋が半拍だけ遅れた。


シュッ!!


漆輝が流れるように振り抜かれる。


ズバァッ!!


白銀の胸部装甲へ深い裂傷が刻まれた。


勇者の特殊個体が大きく後退する。


「まだだ!」


ライトは追撃へ移る。


左手を突き出した。


「燃えろ──」


純白と漆黒。


二色の魔法陣が重なり合う。


「《ディバインアビスフレイム》!」


轟ォォォォォ!!


聖炎と魔炎。


相反する二つの炎が一本の奔流となり、勇者へ襲い掛かった。


神樹の空を覆う巨大な火柱。


大地が白と黒の炎に染まる。


「すごい……」


エルフ兵達は息を呑む。


これほど濃密な魔力を、一人の人間が制御しているなど誰も想像していなかった。


だが……


炎の中から黄金の光が漏れる。


「……!」


ライトは眉をひそめた。


次の瞬間。


白と黒の炎が真っ二つに裂けた。


勇者の特殊個体が炎を切り裂き、そのまま一直線に飛び出してくる。


「やっぱりか」


ライトは驚かなかった。


「そのくらいじゃ終わらないよな」


黄金の剣が迫る。


ライトは漆輝を逆袈裟に振り上げた。


再び激突。


空中へ巨大な魔力の輪が幾重にも広がっていく。



「ライト様……」


アローラはガルスの身体を支えながら空を見上げていた。


「また無茶を……」


ガルスは苦笑する。


「俺達を助けるためなら、あいつは躊躇しねぇ」


その横顔には父親としての複雑な感情が滲んでいた。


「だから俺は……そんな息子に、こんな戦いばかり背負わせたくなかった」


アローラはそっと回復魔法を流し込む。


「でも……ライト様は嬉しかったと思います」


「今回は大切な人を守れたんですから」


ガルスは静かに目を閉じ、小さく笑った。


「……そうだな」



一方

帝国学院・研究棟。


リーパーが映し出す戦場を、誰もが言葉を失って見つめていた。


「信じられません……」


リリアナが震える声を漏らす。


「あれほどの特殊個体と互角以上に戦っているなんて……」


「ライト様……」


シュプールは拳を強く握り締める。


「お願いだから……帰ってきてくださいよぉ〜」


「あなたはいつも、自分を後回しにするんですからぁ……」


その瞳には心配の色が滲んでいた。


しかし

その時だった。


コツ……


研究棟の外廊下から、小さな足音が響く。


ルミナスがゆっくりと顔を上げる。


「……来たか」


学院全域を覆っていた静寂の中。


結界の一角が音もなく揺らぐ。


黒い外套を纏った影が、次々と学院内へ侵入していた。


その先頭を歩く男は、口元に薄い笑みを浮かべる。


灰色の瞳。

冷徹な知性を宿したその男こそ――


アストリア王国参謀レイヴン


「予定通り……と、まではいかないが……」


彼は静かに学院長室の方向を見据えた。


「英雄は戦場へ……ならば、こちらは水のレガリアをいただこう」


その背後で黒曜計画実行部隊が一斉に武器を構える。


学院を守る最大戦力は、今ここにはいない。

レイヴンは勝利を確信したように、小さく笑った。


「さあ始めよう」


「第二幕を」

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