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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第二章 ジューダス帝国編

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第110話 聖魔王参戦

――神樹の国シルヴァリス


燃え盛る神樹。

枝は裂け、幹には幾筋もの深い傷が刻まれ、黄金の樹液がまるで血のように大地へ流れ落ちている。


その中心。

魔帝王ガルスは膝をついていた。


全身は傷だらけ。

漆黒の鎧は砕け、左腕は力なく垂れ下がっている。


「はぁ……はぁ……」


呼吸すら苦しい。

それでも、その深紅の瞳だけは勇者アレンの特殊個体から逸らさなかった。


「まだ……終わらねぇ」


ゆっくりと立ち上がる。


そんなガルスを見て、勇者の特殊個体は静かに黄金の剣を構えた。


四枚の純白の翼が大きく広がる。


空気が震える。


「ガルス様!」


アローラが叫ぶ。


助けに向かおうとする。


しかし、その前へ光剣が降り注ぎ、彼女の進路を断ち切った。


「くっ!」


ベイルも動けない。


デッカーは左翼を失い、なお立ち上がろうとしていたが、その巨体は限界を迎えていた。


誰も間に合わない。


勇者の特殊個体が剣を振り上げる。


「──殲滅」


黄金の刃が振り下ろされた。


その瞬間だった。


キィィィィィン――


澄み切った金属音。


黄金の剣は、あと数センチというところで止まっていた。


「……!」


勇者の特殊個体が初めて動きを止める。


その剣を受け止めていたのは、一振りの黒い刀だった。


漆黒の刀身に蒼い光が走る。


――《漆輝》


そして


「悪い、父ちゃん」


静かな声


「少し……遅くなった」


ガルスの瞳が大きく見開かれる。


「ライト……!」


白銀の髪。


その中を走る漆黒の筋。


白と黒、二対の翼。


蒼く輝く瞳。


光と闇を併せ持つ王。


――聖魔王ライト


「間に……合った」


ライトは静かに微笑む。


次の瞬間、ライトは勇者の特殊個体を睨みつけ呟く。


「父ちゃんから離れろ」


漆輝が一閃した。


ズガァァァァン!!


凄まじい衝撃波。


勇者の特殊個体が初めて大きく後方へ吹き飛ばされる。


大地を削りながら数百メートル先で静止した。


戦場が静まり返る。


誰も言葉を失っていた。


「勇者を……吹き飛ばした……?」


エルフ兵が震える。


デッカーは牙を見せて笑った。


「ようやく来やがったか、小僧」


ライトはガルスへ背を向けたまま、小さく頷く。


「父ちゃん」


「少し休んでて……ここからは俺がやる」


ガルスは苦笑した。


「……頼もしくなったな」


「でも、一人で無茶はするな」


「うん」


ライトは短く答える。


その瞳は既に勇者の特殊個体だけを見据えていた。



勇者の特殊個体が立ち上がる。


深紅の瞳


純白の翼


黄金の光輪


神々しい姿


だがライトは一歩も退かなかった。


「殲滅する」


その言葉と共に、勇者の特殊個体が消える。

音すら置き去りにする神速。


だが。


「見えてるよ」


漆輝が閃く。


キィィィィィン!!


黄金の剣と漆黒の刀が激突する。


火花ではない。


白と黒の魔力がぶつかり合い、空間そのものが軋んだ。


「速い……!」


ベイルが息を呑む。


勇者の特殊個体へ完全についていける者など、この場にはいないと思われていた。


しかしライトは違う。


一歩


また一歩


勇者の特殊個体の斬撃を受け流しながら懐へ入り込む。


「はぁっ!」


漆輝が横薙ぎに走る。


勇者は翼で跳び退く。


その一瞬の隙。


ライトは左手を掲げた。


「燃えろ」


漆黒と純白。


二色の炎が掌へ集まる。


「《ディバイン・アビスフレイム》」


轟ッ!!


聖炎と魔炎が融合した巨大な炎柱が勇者を飲み込む。

神樹の空まで届くほどの爆炎。


誰もが目を覆った。


しかし。


爆炎を切り裂いて勇者の特殊個体が飛び出す。


「やっぱり効かないか」


ライトは冷静だった。


予想通り。


ならば


「数で押す」


両翼が大きく広がる。


ライトの手の中で大きな球体が形成される。


白銀と漆黒。


魔力で形成された球体に光と闇が混ざり合う。


アローラが目を見開く。


「あれは……!」


ライトは静かに指を下ろす。


「《終焉光雨エンド・レイン》」


次の瞬間、球体から幾千の光の筋が放たれる。






無数の魔力光線が豪雨のように降り注いだ。


轟音が神樹の国を包む。


勇者の特殊個体は高速で飛び回りながら迎撃する。


黄金の剣が次々と魔法を斬り裂いていく。


しかし。


「避け切れない」


一発


二発


三発


魔力光線が勇者の特殊個体へ直撃する。


白銀の装甲へ新たな亀裂が刻まれた。


「押してる……!」


アローラはガルスの身体を支えながら、思わず息を呑む。


ガルスは苦しげに笑った。


「違う」


「まだ……アレンは本気じゃねぇ」


それでも。


その瞳には確かな希望が宿っていた。


目の前で戦う息子ならば。

この絶望さえ覆してくれる。


そう信じられたからだった。

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