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勇者の息子に転生したら育ての親が魔王でした~最強に育って無双します~  作者: ララ
第二章 ジューダス帝国編

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第101話 再び訪れる悪夢

――神樹の国シルヴァリス


老長老の杖が高く掲げられる。


「神樹よ……我が命を糧に、その怒りを示せ」


その瞬間、長老の瞳が一瞬で色を失った。


皺はさらに深く刻まれ、生命力そのものが神樹へ吸い上げられていく。


代わりに――

神樹が黄金とも翡翠ともつかぬ神々しい輝きを放った。


ゴゴゴゴゴ……


大地が鳴動する。


無数の巨大な根が地中から突き破り、王国軍人造ゴーレム部隊へ襲い掛かった。


轟音。


一本の根が大型攻城ゴーレムを貫く。


さらに枝が蛇のように伸び、別の機体を締め上げる。


魔力核が軋み、装甲が悲鳴を上げた。


「今だ!」


ベイルが魔剣を掲げる。


「全軍突撃!」


「核を叩け!」


『応ッ!!』


魔王竜騎士団が一斉に降下する。


神樹の根によって動きを止められたゴーレムへ、竜騎士達の剣が次々と突き立てられる。


そこへ。


「魔法師団――」


アローラが静かに右手を掲げた。


進化を遂げたアークラミアスの尾が、まるで竜のようにうねる。


空を覆う数百の魔法陣。


「一点突破」


「撃ちなさい」


ドォォォォォッ!!


紫黒の雷が一本の巨大な奔流となって落ちた。


雷は神樹の根を避けるように曲がり、拘束された大型ゴーレムだけを正確に撃ち抜く。


頭部。


魔力核。


眩い閃光。

そして――爆散。


「核が!」


「全機、停止!」


大型攻城ゴーレムが次々と崩れ落ちていく。


その光景を見たエルフ軍から歓声が上がった。


「押し返したぞ!」


「魔王軍と共に!」


「神樹はまだ生きている!」


近衛軍団長が剣を振り上げる。


「前進!」


風の精霊が兵達の足を押し、木の精霊達が傷付いた兵士を守る。


エルフと魔族。


本来なら決して交わることのなかった二つの軍勢が、同じ敵へ向かって剣を振るっていた。



一方――

王国軍本陣。


「第一から第三ゴーレム部隊……壊滅」


報告を聞いた司令官は眉一つ動かさなかった。


「予測通りだ」


副官が目を見開く。


「予測通り……ですか?」


「連中には勝たせてやればいい」


司令官は地図から視線を外さない。


「所詮、あれは前座だ」


その言葉と同時に。


本陣最奥

巨大な黒鉄の扉が、ゆっくりと開き始めた。


ギギギギギ……


「封印解除」


「最終承認」


魔導技師達が巨大な制御装置へ魔力を流し込む。


「生命維持装置、正常」


「人格封印、維持」


「戦闘制御、王国軍へ接続」


司令官が静かに命じた。


「出撃させろ」



重い足音。


ドン……


ドン……


ドン……


戦場全体が震え始める。


「何だ……?」


ベイルが空を見上げる。


森の奥。

霧の向こうから現れたのは、五体の異形だった。


通常の人造ゴーレムより一回り大きい。


しかし、その姿は機械ではない。


白銀の鎧。


金色の装飾。


「……な、なんだこれは……?」


エルフ兵の一人が震える声を漏らした。


「まさか……」


アローラの表情から血の気が引いた。


「あれは……勇者……!」


五体の特殊個体。


一体は巨大な剣を携え。


一体は聖なる光を放ち。


一体は無数の魔法陣を纏い。


一体は巨大な盾を構え。


一体は双剣を携えていた。


ベイルの瞳が大きく見開かれる。


「嘘だろ……」


あの姿。


あの魔力。


忘れるはずがない。


「勇者……」


そして。


「聖女……」


「剣王……」


「魔導王……」


「盾王……」


かつて魔王ガルスを捕え、王国に連れ去った勇者パーティの特殊個体。


その五体が、この戦場に姿を現した。



帝国学院。


リーパーの映像を見ていたライトから、音が消えた。


その視線は、中央の白銀の特殊個体を見つめている。


「勇者アレン……」


震える声。


実の父親だが思い出はない。

ライトが転生する前には、既に王国に捕えられていたから。


しかし、両親…..勇者と聖女、そしてその仲間達が命懸けで赤子のライトを守ったことは聞かされている。


勇者アレン。


聖女エレナ。


ライトの実の両親。


そして、剣王、魔導王、盾王。


ライトの命の恩人達。


シュプールも息を呑む。


「……そんな」


フィオレリアは言葉を失う。


リリアナは画面を見つめたまま動けない。



神樹の国


特殊個体の一体が、ゆっくりと剣を持ち上げる。


人格など残っていない。


命令だけが刻まれている。


感情無く振り下ろされた一撃。


ズガァァァァン!!


神樹の根が、一刀のもとに切断された。


「なっ!?」


長老が膝をつく。


続けて魔導王の特殊個体が魔法陣を展開する。


数百。

いや、千を超える魔法陣。


アローラが目を見開いた。


「私以上の……広域術式……!」


次の瞬間。

森が、空が、大地が。


そのすべて爆炎に包まれた。


轟音が戦場を飲み込む。


魔王竜騎士団が吹き飛び。


エルフ軍の結界が砕け散る。


神樹の枝が一本、音を立てて崩れ落ちた。


王国軍司令官は静かに告げる。


「前進」


「神樹の国を制圧せよ」


崩れ始める前線。


押し返されるエルフ軍。


特殊個体五体の投入によって、戦場の均衡は一瞬で覆された。


――神樹の国陥落まで

残された時間は、もうほとんど残されていなかった。

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