543 セレンシアダンジョン 6階&スーリアの初参戦
6階は海の階。ボスはクラーケン。たまに海岸の崖にワイバーンがいる。
『やっとワイバーンか!』
「たまーに崖にいるくらいらしいけどね。」
『索敵しろ。俺が仕留める!』
シンハはやる気十分だ。
「えーと。近くにはいないなあ。北に少し崖沿いに行くと、反応があるね。」
などと説明しながら、僕はシンハとフライで移動。
『お、あれだな。』
と言うが早いか、シンハがウインドエッジを発動。
ザシュッと首を刎ねて小型ワイバーンは首と胴体が海へと落下。
「おっと。回収。ふう。間に合った。」
波に接触する直前に、僕が亜空間収納に回収した。
「塩づけになるところだった。」
『それもよいではないか。』
「まったくもう。空中での回収は、結構技術が必要なんだぞ。」
『まあ怒るな。美味いワイバーンが獲れたのだから。次、行くぞ!』
「あ、待ってよう!」
やる気満々のシンハを追って、僕もフライで続いた。
それから2時間くらいだろうか。
崖で休憩していたり、巣の周りを飛び回っていたワイバーンを、シンハがひとりで狩り続けた。風魔法を使ったりもするが、大抵は空中で一騎打ちを挑み、かみ殺している。僕は回収と収納に徹した。まったく。ワイバーンより空中戦がうまくなっているとは。
黒龍戦の頃と比べると、シンハも相当に成長しているということだ。
『今何匹だ?』
息も上がらず、べろりと口の周りに着いたワイバーンの血を舐めながら尋ねた。
「えーと。今ので35匹。」
『もう少し欲しいな。』
「いやいや、これ以上は乱獲だから。いやもう十分乱獲だから。次はクラーケン狩りだよ。」
『むう。仕方ない。』
「少し休憩して、それからまたフライで海上を飛ぶからね。
「長時間ならお前にフライは任せる。」
魔力を使いたくないということだ。
「わかった。まずは休憩ね。」
狩りのご褒美に、今狩ったばかりの一頭を亜空間収納内でマッハで下ごしらえし、焼き肉にして振る舞った。
大きな骨付き肉に、かぶりつくシンハ。ゴキゲンで尻尾が無意識にブンブン振られている。
その隙にふと思いついてシンハを鑑定すると、称号に「ワイバーンの天敵」というのが付いていた。さもありなん、だよね。
その後のクラーケン狩りは、僕が電撃でクラーケンを麻痺させ、シンハが風魔法で足を切り飛ばしたりして、短時間で始末した。
せっかくなので、ほかにも魚系魔物をアラクネ製の網で大量に捕獲した。
浜辺に戻ってきたら、浜辺に大きなカニの魔物「ザラトーシス」が居たので、これもゲット。
「しばらく海鮮料理が楽しめるな!」
僕はるんるんだ。
今度、カニ入りパエリアを作ろうっと!
6階を制覇したので、ひとまず帰ることにする。
そのままセーフティーゾーンで寝ても良かったのだが、結構他のパーティーも居たので、家に戻ることにしたのだ。
帰ってみると、珍しくスーリアが拗ねていた。
「ぴっきゅ!ぷう!(パパもママも嫌い!ぷう!)」
眠っている間に置いてけぼりされたのが原因らしい。
さすがにダンジョン内では、外界と通信するのも魔力内にテレポートさせるのも出来なかった。
『連れて行ったらいい。』
「えー、でも今日より強い奴らがいる階層だよ。」
『仮にも古代龍の末裔なんだ。少しずつ狩りも覚えないとな。過保護は良くないぞ。』
「…。わかった。」
「ぴっきゃう!(やったあ!)」
「シルルはどうする?」
「あちしは家でお仕事してましゅ。」
とさばさばしたものだ。
「明日は畑と温室の手入れで忙しいでしゅ。」
あーそれな。温室も欲しくなって、庭に納屋くらいの大きさのものを作った。
中は拡張魔法で広げてある。シルルと相談し、試しにビニールハウス半分くらいの大きさにしてあるのだ。
「わかった。妖精たちにお手伝いしてもらって、よろしく頼むよ。」
「あちしに任せるでしゅ!」
ということで、グラントとグリューネたちと連絡をとって、明日はシルル隊長に庭のことをお願いした。妖精たちには先払いで魔力とクッキーをお渡ししておきました。
翌日、スーリアも連れて再びダンジョンへ。
7階からスタートだが、その前にスーリアに狩りの練習をさせようと、5階の草原階に飛んだ。
スーリアは僕の契約魔獣なので、「僕に属するもの」であるため、1階から始める必要はない。
僕が行った階までスキップ可能だ。
これが冒険者同士のパーティーの場合はそうはいかず、個人個人がちゃんと1階から踏破しないと一緒には行けないルールだ。
スーリアは光と火が使える。他の属性も使えそうだが、今のところ戦闘には火が中心になるだろう。此処は草原と森なので、周囲を火事にしないように、注意が必要だ。
対象を絞って使わせるのがコツである。
「(スーリア、わかるかい?あそこに魔狼がいる。倒せるかな?)」
「(きゃう。)」
中距離でファイアボールを命中させた。
ボフン!
青い炎だった。
ギャウ!
魔狼はもんどり打って転げ回るが、やがて動かなくなった。
「よし!よくやった!」
『ふむ。炎が青かったな。』
「高温の証拠だよ。すごいな!スーリア!」
と僕は大絶賛。
だがシンハが
『これではだめだ。まだまだだな。』
「最初にしては上出来だろ?」
『まあな。だが、毛皮が台無しだ。』
おいおい、初めての狩りなんだぞ。これでも素晴らしい成果じゃないか。
「まあね。火だと仕方ないよ。」
「きゃう…。」
スーリアがしょげる。
「でもほら、牙と爪は獲れたから、成果ありだよ。良かったね。」
とスーリアをなでる。
『サキ、お前なら火しか使えなかったら、どうやって狩る?』
「うーん。小さく凝縮して弾丸にして撃つ、かな。」
『やってみせてみろ。』
ということで、僕は通りかかった魔兎を狙った。
シュン!ピシュ!
指先から青い炎を出して、それを凝縮、回転させて、弾丸として発射。
魔兎は無言で昇天した。
眉間狙いで角のすぐ下に命中、貫通していた。




