542 セレンシアダンジョン 3階、4階、5階
3階…草原階。のどかな風景。草原と森が少し。森はスライム、コボルト、魔狼、魔猪、魔鹿、ゴブリン。それからホルストックの群れ。
あまり深く入らなければ、一般人も護衛付きでここまでは来れる。討伐数で次の階に行ける権利を得る、とのこと。
「おー、索敵すると、結構いるなあ。ゴブリンは見つけ次第殲滅。魔猪と魔鹿、ホルストック狙いで行こう。」
『特に魔鹿肉は美味いからな。』
「うんうん。」
どうも僕とシンハがダンジョンに来ると、魔獣は食糧と見てしまう。
だって美味しいんだもん。魔鹿肉。
ラムチョップ的な鹿チョップなんかがいいよね!
途中、宝箱を見つけた。開けて見ると、帰還石だった。
3階ならこんなものだろう。
「ボスは居ないのかな?」
『居るのかもしれんが。討伐数で上に行けるからな。』
「まあ、無理に戦うつもりはないけど。」
『だがそろそろ強者と戦いたいぞ。』
「ふうん。ならシンハひとりでどーぞ。僕は魔鹿肉とホルストックで満足だ。」
『ちっ!』
4階。夜の階。弱いアンデッドが中心。ボスが大骸骨とのこと。
丘の上には月を背景に廃墟と化した古城がある。
「うーん。雰囲気はあるけどさあ。ゾンビの臭いがねえ。」
『クリーンしろ。俺はたまらん。』
「わかった。クリーン!」
周囲を広めにクリーンした。すると
フォォォォォォ…。
古城から何かの叫び声が聞こえた。
「あ。なにか昇天させちゃったみたい。」
最近は、なにげにただクリーンしたつもりでも、浄化レベルになってしまっている。
戦う前にゾンビや死霊は昇天してしまったようだ。肉体もちりになって消えていた。
もちろん、敵を倒した判定になっていて、僕の経験値になっている。
魔石がごろごろ落ちているので、風魔法で吸い寄せては収納していく。
そんなふうに楽ちんに丘の上の古城へと入っていく。
すると、広間の朽ちた玉座に、それらしき大骸骨の残骸が残っていた。
そう。残骸だ。すでに昇天している。
レベルが高いために、消えずに原形を留めていたらしい。
念のため、サーチして大骸骨の状態をチェック。
「ふむ。もう魂はないな。さっきのクリーンで昇天したみたい。」
『…。まあ、臭いアンデッドと戦うのは嫌だから、都合がいいが。だがちともの足らんな。』
「まあまあ、そう言わずに。」
『宝箱があるぞ。』
「やったぁ!」
宝箱はダンジョンの醍醐味。
いつでもどこでもワクワクする。
「罠をチェックしてっと。うん。大丈夫みたいだね。開けるよ。」
クリーンとバリアをしつつ宝箱を開ける。すると中には古い本が2冊も入っていた!
「へえ!「古代魔法陣基礎編」と「古代魔法陣応用編」だって!おお!中味は古代魔法語で書かれている!普通なら読めなくて売っちゃうやつだな!」
『お前にはアタリだったか。』
「うんうん!これはいいね!正しい古代魔法語で書かれている!貴重なお宝だよ!」
僕は一人で興奮していた。
普通なら金貨とか宝石とか、魔法グッズがアタリだろうけど。
僕には魔法の本が1番の収穫だ。
しかも正確な古代語で書いた本は、魔塔でも禁書庫保管だったりする。貴重品なのだ。
なお、大骸骨の骨はそれなりに武器の材料になるというので回収した。他に、大きな宝石が嵌まった指輪や腕輪、首飾りなどがレアアイテムだった。
指輪などには、呪いを跳ね返す魔法が籠められていた。
というか、本当は呪いを強める効果があったようだが、僕がまるごと浄化してしまったため、呪い効果は消え、逆に呪いを跳ね返す効果に変化してしまっていたらしい。これも世界樹の加護のおかげだろう。
我が事ながら、トンデモねえチート能力だと今更ながらに呆れた。
5階は再び草原と森の階。魔兎、ホルストック、マンモパイソン(魔水牛)などのほか、3階よりは手強い相手もいて、魔熊や魔ワニ、ジャイロアント(魔アリ)やマンティス(エビ味の魔カマキリ)などもいるらしい。珍しい薬草や毒草もあった。
此処は、景色がとても良い。
草原が果てしなく広がっている。奥には森も見えるが、森もかなり広いようだ。
空に太陽は見当たらないが、昼間のように明るく、時間によって夕方や夜、朝焼けなどもある(とガイドパンフに書かれていた)。
そして、心地良い風が吹いている。
そのせいか、ダンジョンには珍しく、各属性の妖精たちもちらほら飛んでいる。
「ダンジョンなのに、妖精とか居るよ。珍しいね。」
『ふむ。妖精はあまりダンジョンを好まぬが、ダンジョン主が温和だと、妖精も生まれる場合があると聞いたことがある。』
「へえ。じゃあ、此処のダンジョン主は、温厚なのかな。龍だという噂だったよね。」
『古いダンジョンの場合は、気候が妖精に適した階層に生まれる場合があるとも聞くから、一概にそうとも言えぬがな。』
「シンハ、物知りー。」
『う…。あのなあ。俺はお前よりはるかに年上なのだぞ。俺の歳をわすれていないか?』
「正確には知らないもん。シンハの年齢なんて。」
『また開き直る。』
「(それより、ほら。向こうに美味しそうな魔兎が居るよ!)」
僕の興味は、白黒まだら模様の、大きめな魔兎に移っていて、すでに弓を構えていた。
『ふむ。大きいな。うまく仕留めろよ。』
「(りょうかい!)」
5階も3階と同じく、討伐した獲物の強さと数でクリアと見なされた。




