11 閑話 ????目線
11 閑話 ????目線
騎士団長から連絡があり、私はお忍びで学院の競技会を見に行った。
「異様な勝ち方をする男がいます。それなりの腕はあるのですが、強くなったというより、打たれ強くなった……いえ、そうではありません。打たれても平気なのです。常識では考えられません」
騎士団長は、連絡のなかでそう告げていた。
ちょうど、その問題の男が騎士団長の息子と対戦していた。ブラックレイク侯爵の次男、ロバートだという。
腕前は、比べものにならないほど騎士団長の息子のほうが上だった。本来なら、一度打ち合っただけで勝負がつくだろう。
ところが、終わらない。
ロバートの剣の腕が優れているわけではない。体が強いのだ。まるで鉄でできているかのようだった。
明らかに腕が折れたと思うほどの打撃を受けても、けろりとしている。そして、とうとう騎士団長の息子が負けた。
次の試合も異様だった。
相手は騎士団長の息子と同等、いや、それ以上の腕前だった。当然、ロバートは攻撃を防げず、何度も打たれた。
あまりにも攻撃が効かないため、相手も全力で打ち込むようになった。それでも、ロバートは平気な顔をしていた。
そして、相手が疲れたところで勝利した。
これでロバートは騎士団への正式な入団を認められる。騎士団にとっては喜ばしいことではあるが、この勝ち方は見過ごせなかった。
だが、気になる娘を見つけた。
おそらく、あの娘が何かをしている。そもそも、剣術の試合を観覧しながら、ペン軸を握っているのはどういうことだ。
実は、馬の話は剣術の試合を見る前に耳にしていた。ひどく足を痛め、すでに処分されたと思われていた馬が、学院の長距離競技を走り切ったという。馬を確かめたくて、障害馬術競技に欠員が出たのを幸い、生徒会に口添えをして、その馬の乗り手を出場させた。そこで、間違いなくあの馬だと確認が取れた。
調べさせると、その乗り手が、剣術の試合で気になった娘と同じ娘だとわかった。詳しく調べるため、名を伏せて生徒会を通じて購入を申し込み、馬を買い取る手続きをした。
しかし、馬以上に気になるのは、あの娘だった。
魔法で治療ができる者は、それなりにいる。娘の治癒能力がどれほどのものかは、まだわからない。
だが、観覧席から競技中の選手を治療できる者など、私の知る限りいない。
私は、あの娘の動向に気を配っておくよう指示を出した。




