↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「またね。次ね。今度ね」は永遠に来ません ~妹に婚約者を取られた令嬢は、魔法の才能で自由になります~リメイク版  作者: 朝山 みどり
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/16

10 剣術の試合

10 剣術の試合


 馬の手入れを終えて着替えると、リリーは剣術の会場へ向かった。


 来賓の観覧席には、いかにも偉そうな人々がずらりと並んでいた。ナタリーの父もそこにいた。そして、驚いたことに、リリーの父とアナベルの姿もあった。


(私の競技は、一度も見に来なかったのに。ロバート様の応援にいらしたのね)


 自分の婚約者を応援しに来てくれた。ロバートのよさをわかってくれたのだと思うと、リリーはうれしかった。


(せっかく見に来てくださった二人を、がっかりさせたくないわ)


 リリーはポーチからペン軸を取り出し、握り締めた。


 障害馬術の結果は、すでに三位と出ていた。表彰は、剣術の試合が終わってから一緒に行われることになっていた。


 だが、今は自分の結果より、ロバートの応援だった。


 三試合目に、ロバートが出てきた。相手はロバートよりも背が高かった。


 ロバートが剣を振り上げた瞬間、相手がその脇腹を打った。リリーはすぐにペン軸を向け、痛みを抑える魔法と治療魔法を放った。


 ロバートは痛そうに顔をしかめたものの、何事もなかったように後ろへ下がった。


 それからも、相手がロバートを打つたびに、リリーは治療を続けた。何度打たれても、ロバートは止まらなかった。がむしゃらに剣を振り回して前へ出る姿に、観客席から歓声が上がった。


「あの子、打たれ強いな」


 どこかで、そんな声がした。


(私は婚約者なのだから、誰よりも大きな声で応援してもいいはずよね)


 それでも、声を出せなかった。


 アナベルが大きな声で応援していたからだ。


(ロバート様の婚約者は、私なのに……)


 そんな思いが胸に浮かび、リリーはペン軸を握ったまま、試合を見つめていた。


 そして、ついにロバートが振り回した剣が、相手の肩に当たった。相手は剣を取り落とした。


 ロバートの勝利だった。


 父とアナベルが拍手を送った。アナベルは身を乗り出し、ロバートを呼んだ。


「ロバート様ー!」


 その声は、応援というより、自分のものを呼ぶようだった。


 ロバートを認め、褒めてもらえてうれしいはずだった。それなのに、リリーは嫌な予感を覚えた。


(次の試合は、私も大きな声で応援しよう)


 ロバートの次の相手が姿を現すと、会場に大歓声が響いた。騎士団長の息子だった。


(すごくすてき。ロバート様より、少しだけすてきだわ)


 その相手の攻撃は、とても速かった。


 だが、リリーは最初から治療魔法を飛ばしていた。


(私のほうが速いもの)


 リリーの治療を受けながら、ロバートは戦い続け、その試合にも勝った。


 勝ったのを見て、リリーは息を吸い込んだ。だが、やはり声は出なかった。


 そして、決勝戦。


 リリーはロバートにペン軸を向け、治療魔法を送り続けた。その助けを受けたロバートは、ついに決勝でも勝利し、優勝した。


(ロバート様が優勝した!)


 婚約者として祝福しようと、リリーは競技場へ向かおうとした。


 だが、アナベルがいち早く観覧席から降り、ロバートに抱きついた。


「ロバート様、さすが私のロバート様!」


 アナベルの声が、リリーの耳に届いた。


(私の、って何? ロバート様の婚約者は、私なのに……)


 リリーの足が止まった。


 二人に向けて、歓声が上がっていた。


 その歓声は、邪魔者はリリーだと告げているようだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。