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うらめしちゃんはうらめしい!  作者: 花山 花
存在しないおばけ屋敷の仕掛け

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8. 幽霊、おばけになる1


 幽霊は昼間に人に見てもらうのは難しい。


 まぁそもそも人に見てもらうこと自体、世の怪談話ほど簡単じゃない。

 まず「ここにいるぞ!」と強く思って、存在感をアピールするように全身に力を入れないと認識されない。

 たまにそんなことしなくてもすれ違いざま目線で追ってきたり、こちらを見て訝し気な顔をする、いわゆる霊感の強い人もいるにはいるが、そんな人は数えられる程度しか会ったことがない。

 体感としては全力で踏ん張ったとして、見れる人二割、なんとなく気配を感じる人二割、どんなに頑張ってもこっちに気付きやしねえ零感六割といった感じである。


 ただこれはあくまで夜での話だ。

 ぶっちゃけ昼に力を抜いている状態では、誰にも気づいてもらったことがない。

 力を入れても、なんとなく訝し気にこっちを見る人がいるぐらいで、はっきりと私の姿を認識できた人を見たことがなかった。


 この時間帯のルールには場所や明るさは関係ない。

 昼に墓地とか病院とか葬儀場とか、幽霊でおなじみの場所にもお邪魔してみたが、気づかれやすさが変わることもなかった。

 明るい暗いも関係ない。

 暇つぶしに映画館に何度か入り込んだこともあるけど、夜のように暗いのに昼間だと誰も気づいてくれなかった。


 まぁつまり。

 昼間にこんなに私の目撃情報が上がってることがそもそもおかしいっていう。


『ホラー耐性上がって幽霊力が強くなったか、時間経過で自然とレベルアップしたのかなって思ったけど……やっぱ昼間は誰も気づいてくれないなぁ』


 あれから昼間でも見られるようになったのかと、あちこち人のいる場所で踏ん張ってみたが、やっぱり誰にも見られることはなかった。

 念のため、物置とか倉庫とか暗いとこに潜んで出待ちチャレンジしてみたけど、こちらも同様だ。


『おばけ屋敷だから、だよねえ。よくよく思い返したらチャレンジ初日、まこちゃんさんが私の悲鳴聞いてたわけだし』


 おばけ屋敷内にいるときだけ、どうやら夜と同じくらい人に気付いてもらいやすくなるっぽい、のだけど。


 なんで? 墓場や葬儀場は他の場所と変わらなかったのに?

 それともホラースポットとか、そういうもっとオカルトよりな場所なら結果が変わるの?

 おばけルール謎すぎて本当にわけわかんない! 誰か基礎から教えてくれ!!


『まぁ……まぁ考えてわからないことは考えてもしょうがない! とりあえず今は結果だけを見よう!

 おばけ屋敷で夜とおんなじくらいまで人に気づかれるなら、脅かす側でのホラーレベルもここで上げられるかもしれない!』


 私は脅かす経験を積める。お客さんは怖くて喜ぶ。スタッフさんはおばけ屋敷が評判になれば喜ぶ。これぞ一挙三得。WIN-WIN-WINだ!!


『ただ脅かし方は念入りに考えなきゃ駄目だけど……』


 口コミで低評価食らって、また大磯さんたちに迷惑をかける真似だけは避けなければならない。

 元高校みたいに縄張りっていうか、私の根城のホラースポットじゃないからね!

 間借りしてるだけなので、おばけ屋敷の評判を落とすことがないように重々気をつける必要がある。


 まず姿全体が見えるのは駄目だ。

 セーラー服が見えちゃうと、おばけ屋敷の雰囲気と合わなくて確実にまた低評価くらう。


 頭だけ、手足だけ、声だけで脅かさなくちゃいけない。

 おばけ屋敷の仕掛けとルートに合わせて、演出も行わないといけないし……。


『SNS見る限り後ろから急に悲鳴がしてビビったって投稿多かったから、これは入れたいなぁ。外さなそう!

 あと頭……頭は難しいかな?ころんって落ちたら絶対ビビるだろうけど、肩から上だけ出してて不自然に見えない場所がないよねえ……。

 手足は……小屋の後の手足の森と井戸付近なら紛れやすいよね……でもあの中に紛れるだけじゃ、マネキンが増えるのと変わらないからなにかしら演出を考えないと……。

 あ、通路のどこかでチラ見せするのもいいかもしれない!体は隠さなきゃいけないから、できる場所は限られるけど……。

 うーん、怪談でよく聞く、手だけとか、足だけとか、ああいう一部だけ見せれれば楽なんだけどなぁ。頑張ればもしかしたらできるかも……いや、間借りしている身でできるかどうかわからないことを試すのはちょっとな……』


 おばけ屋敷の構造と仕掛けを思い浮かべれば、するすると脅かせるポイントが浮かぶ。

 ホラーレベルを上げる修行の効果が感じられるな……!


 自分で考えた最高の演出とストーリーで脅かせるようにならなきゃとは思うが、今は修行の段階。

 限られた場所と演出で、できる限り脅かすっていうのはきっといい経験になるだろう。

 それに脅かす側としても脅かされる側としても慣れたここなら、今度はうまくいける気がする!


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