16.「空間転移先での出会い」
「『空間転移』」
レイガさんによって無理矢理空間転移させられた俺たちだったが。
「……森?」
そこは、木々が鬱蒼と生い茂る深い森だった。
みんなが戸惑う中、ファラティアだけが異なる反応を示した。
「多分ここ、ルティレマノ王国の大森林なの!」
「何で分かるんだ?」
「だって、ご先祖様が近くにいる感じがするの!」
ファラティアの先祖……炎の精霊か。
いずれにしても、もしもレイガさんがわざとここに送ったならば、俺たちを見逃してくれた、ということになる。
「師匠、ありがとうなの!」
先ほどは違い、喜びの涙を浮かべる幼女の見た目の少女。
良かったな、ファラティア。
今まで何人ものS級冒険者を暗殺して彼だが、愛弟子を手に掛けることには躊躇いが生じたのだろう。
良い人だ……けど、そうなると、彼の家族が心配になるな……
言うことを聞けと、国家から脅されてたんだもんな……
「本当に良かったの! 別に死ぬのは怖くないけど、どうせ死ぬなら、ファラはライライために死にたいの! 師匠に殺されちゃってたら、ライライために死ねなくなっちゃってたの! だから、死ななくて良かったの!」
うん、重いよおおお! 不意打ちで重いよおおお!
この流れで来るとは思ってなかったよおおお!
っていうかファラは『精霊の血を受け継いでいるから、それを俺にくれる』って話だったろ? 何でヤンデレが悪化してるんだよ! いや、血も飲まないけどな!
「う~ん、戦闘を回避できたのは良いんだけど、大分遠くなっちゃったわね。どうしよっか?」
「ハッ! 馬車も無いしね。一旦近くの街まで行って、改めて馬車を調達するしかないね」
俯き思案するソティに、エルラが肩を竦める。
そうだ。彼女たちを置いてきてしまった!
ごめんよ、ウマ子、ウマ美……!
必ず迎えに行くからな! 暫くの間、辛抱していてくれ!
「待ってなの! 向こうに人がいるの! しかもこの感じ――モンスターに囲まれてるの!」
「!」
超知覚の成せる業なのだろう、俺には何も見えず、何も聞こえないが、彼女の言葉は信じるに値するものだった。
樹木の根っこに気を付けつつ、俺たちが駆けていくと。
「「「「「プギィィィイイイ!」」」」」
「オーク!」
深紅のドレスを纏った可憐な美少女が、棍棒を持ったオークたちに囲まれていた。彼女の頭部には、女性用冠が装着されている。
「助けなきゃ!」
俺は密かに幻影魔法を発動する準備に入り、ソティたちも臨戦態勢に入る。
「『ファント――』」
「皆殺しですわぁぁあああああ!」
「「「「「!?」」」」」
突如、巨大な戦斧をぶん回すドレス美少女による殺戮ショーが始まった。




