10.「vs盗賊団(3)」
「何度だって! やああああ!」
「通じるまでやるのみさ! おらあああ!」
「ファラは諦めないの! たああああ!」
ソティ、エルラ、ファラティアが再度攻撃を仕掛けた。
「効かねぇって言ってんだろうが!」
「くっ!」
ギガントメタルゴーレムと融合した盗賊団の頭領は、斬撃を、殴打を、猛火をものともしない。
それと、どうやら、劣勢になってソティは冷静さを欠いているようだ。
「当然全員ぶっ殺すが、まずはこの俺の目を斬りやがったお前からだ! ただでは殺さねぇ。甚振って、地獄の責め苦を味わわせた上で、嬲り殺してやる!」
ソティに狙いをつけた頭領は、ギガントメタルゴーレムの腕で捕まえようと両腕をぶん回す。
「させないよ! おらあああ!」
「気持ち悪いの! ファラの仲間に触らないでなの! たああああ!」
俊敏に動き、猛攻を凌ぐソティを、エルラ、ファラティアが援護、守ろうとする。
「クソが! ちょこまかと逃げやがって! ギガントメタルゴーレムでも追いつけねぇ!」
頭目が悔しそうに顔を歪めた直後。
「な~んてな。『超速魔回路起動』」
「あっ!」
我がパーティ随一の速度を誇るソティの俊敏性を、ギガントメタルゴーレムが一瞬上回った。巨大な鋼鉄の右手が、ソティを捕らえる。
「ゴーレムの動きがとろいだなんて、誰が決めたんだぁ? このギガントメタルゴーレムは特別製なんだよ! 馬鹿が! ギャハハハハハ!」
「ぐっ!」
「「ソティ!」」
哄笑を上げる頭領が、ソティを捕らえているギガントメタルゴーレムの右手に左手を添えて、力を込めた。
「あぐっ! きゃあああああ!」
「ギャハハハハハ! 良い声で泣くじゃねぇか! 藻掻け! 苦しめ!」
ボキボキと骨の折れる鈍い音が周囲に響く。
「こんなもんで終わりじゃねぇぞ! この俺の大切な目に傷を負わせやがったんだからな! そらそらそら!」
ギガントメタルゴーレムが握り締める両手に更に力が加わり、ミチミチと肉が潰れ圧縮され、内臓がひしゃげる音と共に、ぼたぼたと鮮血が地面に落ちて、血溜まりを作る。
「ああ、良い感触だ! 人間を握り潰すってのもおつなもんだな! 特にそれがムカつく相手ともなれば、快感もひとしおだぜ!」
血の匂いが周囲に充満し、いつしか悲鳴すらも聞こえなくなった。
「そろそろ死んだか? ぺっしゃんこになった哀れな姿を見てやろうじゃねぇか! ギャハハハハハ!」
頭目が、ギガントメタルゴーレムの両手を広げて、中を確認する。
「ごぶっ! ……あれ……? ……何で俺が……潰されて……るんだ……?」
中にいたのは、頭目自身だった。
いつの間にかギガントメタルゴーレムの内部から、両手の中へと移動していたらしい。
「ゴオオオ」
「お、おい……何する……つもりだ……?」
ギガントメタルゴーレムが唸り声を上げながら、その巨大な指で、頭目の頭部を摘まみ上げる。
「う、嘘だろ……? や、やめろ……! やめてく……!」
ブチッ
頭部を潰された頭領は死亡、圧縮された身体と共に、地面に放り投げられた。
「ゴオオオオッ!」
主を失ったギガントメタルゴーレムは、両拳で自分自身を殴り始めた。
ソティたちの猛攻にも傷一つつかなかった異常な防御力を誇る鋼鉄の身体が、粉砕されていく。
「ゴオオオオッ!」
足、腹、胸、首、そして頭部が破壊された。
残った肩から先――両腕は、ふわりと空中に浮かび上がると、猛スピードで互いの拳をぶつけ合った。
と同時に、両腕も粉々に砕け散った。
……という幻を見せている間に、ソティたちが敵の隙を突いて倒してくれた。
いやぁ、良かった良かった!
俺の幻影魔法もバレなかったし、無事に勝てたし、人質も救出出来て、言うことなしだ!
「はっくしょん! ……ズビー……」
……っと、折角完璧な勝利だと思ったのに、締まらないな……




