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【ポンコツ系異世界日常コメディ!】魔人スカーレットは過労でしんどい   作者: 鳴尾リョウ


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第41話 魔人スカーレットは化石ハンター

 化石を見つけたい! 古代のロマン。




『少年が発見! 七千万年前のドラゴンの骨!』


 スカーレットがテレビを見ていると、そんなニュースが流れてきた。


 どうやら国が保全している自然保護区域で、父親と散歩していた少年がたまたま骨らしきものを発見。子どもが見つけた骨を調査機関に連絡して鑑定してもらったところ、七千万年前に実在したドラゴンの骨であるとわかったとのことだった。


「これだ!」


 スカーレットはソファからガバッと立ち上がり、別室で仕事中のじいやに迫った。


「じいや、化石掘りに行くわよ!」


「なんなんです急に?」


 彼女はテレビの内容を簡単に説明すると、すぐに車を出すように頼んだ。しかし、じいやは難しそうな顔で答えた。


「うーん、化石ですか……。確か素人が勝手に掘ったらいけなかったと思いますが……」


「えー、そうなの!」


 準備万端でつるはしを担いでいたスカーレットは落胆する。


「……うちにそんなもの置いてましたっけ? ……ちょっと待ってください」


 彼はそう言うと、スマフォを使い何かを調べ始めた。少し待つと「あった!」と言って、画面を彼女に見せた。


「『化石発掘体験』というものがあるそうです。これでどうですか?」


 詳しく見てみると、化石が発掘されたことがある地域で定期的にやっているイベントらしい。ウェブサイトには参加している子どもの真剣そうな写真が載せられている。しかし、スカーレットは不服そうだ。


「そういうんじゃないのよねぇ。なんかもっとガシンガシン掘りたいというか……」


「文句言わないでください。それにスカーレット様がガシンガシン掘ったら、地形が変わっちゃいますよ」


「まあねぇ」


 確かにじいやの言うことにも一理ある。彼女が全力で掘ったら、化石どころか採掘所一帯が更地になってしまうかもしれなかった。


「しゃあない。今回はこれで我慢するか」


「それじゃあ来週で予約しておきますね」


 彼は手早く予約を済ますと、さっさと仕事に戻った。



 化石掘り当日。


「いやー、遠かったわね。二時間くらい?」


 二人は車で、博物館のそばにある屋外採掘場に来ていた。


「スカーレット様、受付は済ませたのでこれどうぞ」


 じいやは安全のためのゴーグルと手袋を彼女に渡す。


「別にいらないけど」


「ダメです! 採掘には事故だってあるんですよ!」


「はいはい、わかったって」


 しぶしぶそれらを受け取ったスカーレットは、ちゃっちゃと装着した。


 採掘場はなだらかな地層に囲まれており、周辺にはサイズの異なる岩や石が転がっている。参加者はハンマーで転がっている石を割り、中に化石があるか確認するのだ。


 周囲の大人も子どもも、目を輝かせて化石を探している。お宝探しはいつだって、みんなの心をわくわくさせる。


「よーし、割って割って割りまくるぞー!」


 そうして意気揚々と彼女の化石探しが始まった……のだが。


 数十分後。


「あっれー、全然出ないんだけど……」


 スカーレットは落ちている石を片っ端から割った。拾っては割り、拾っては割り。周りの子どもたちがキャイキャイ楽しそうにする中、彼女は一言も話さずに一心不乱に石を割り続けた。それでも化石は見つからない。


 何十個目かの石の断面を確認し、はずれを確認するとついに彼女は我慢できなくなった。


「……飽きたわ」


 成果が出ない行為に飽き飽きしたスカーレットは、近くで同じように黙々と作業を続けているじいやに声をかけた。


「じいや、あたしちょっと休憩するけど、どうする?」


 彼は転がっている石を吟味しながら、こちらを振り向くことなく言う。


「私はもうちょっと粘ってみます。これ、水です」


 じいやは持ってきていた水筒をスカーレットに渡すと、再び作業に没頭した。


 彼女は水を受け取り休憩用に置かれていたベンチに腰掛けると、遠くで石を割り続けるじいやをぼんやりと眺めた。


「よくやるわ。ホントは自分が来たかったんじゃないの?」


 天気は快晴で雲一つない。楽しそうな参加者たち。カーンカーンと遠くから響いてくるハンマーの音。汗をかきつつ作業に集中していたせいか、休んだら眠たくなってきた。うつらうつらしていると、スカーレットはいつの間にか眠ってしまった。



「……様。スカーレット様!」


「はっ、寝てた!」


 空に少し赤みがかかった頃、じいやに起こされる。


「そろそろ終了時間みたいです」


「ああそう。ところで化石見つかった?」


 彼女が聞くと、じいやは手にした袋からもったいぶる様に石を取り出した。断面には何やら模様のようなものがある。


「ふっふっふ。植物の葉の化石です。休むことなく探し続けたかいがありました」


「へえー、すごいじゃない! いいなー!」


「どうします? 最後にもう少しだけ探しますか?」


 時間も良い頃合いだ。スカーレットは周りを見渡し、卵型の塊を適当に取った。


「これにしよう」


「えっ、それでいいんですか? 絶対化石じゃないと思うんですが……」


 言われてみればなんだか重いし、何なら石ですらないような……。


「まっ、記念だから。あとはお土産買って帰りましょう」


 その後、二人は博物館に寄って、お土産を買って帰った。



 城に帰ってきたスカーレットは、今日買ってきたお土産を部屋で確認していた。クッキーやキーホルダー、限定の化石を模したキャラクターぬいぐるみも買ってきた。


「結局、諦めきれずにこれも買っちゃったのよね」


 手にしているのはお土産売り場にあった採掘場の石。あれだけ現地で割りまくったがもう帰るとなると、最後の賭けとばかりに買ってしまった。


「今日は疲れたし、今度割ってみようっと」


 後にわかることだが、彼女のお土産の石からは貴重なセミの化石が発見される。全身のセミの化石が見つかるのは珍しく、地域の新聞にも取り上げられることとなった。


 もちろん、じいやがめちゃくちゃ悔しがったのは言うまでもない。


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