「弟子が準備できた時に師匠が現れる」という話
# 「弟子が準備できた時に師匠が現れる」という話
よく聞く話ですが、そう都合よく現れるものでしょうか。
少し考えてみましょう。
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## 「という話」について
「という話」は、現実の事象や事件・事故を背景にした「虚構の推理」による考察です。#思考実験
事実と異なる内容であることを承知のうえ、いっしょに考えてみましょう。
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## 出典
出典は今のところ不明です。
英語ですと、〝When the student is ready, the teacher appears.〟となるようです。
世界各国の神話が似ているのと同じように、どの地域であれ「知」は収斂進化するのかもしれません。
cf.
収斂進化とは、異なる系統の生物が同じ環境に適応し、魚とイルカのように流線型など類似形態を独立に獲得する現象のことです。
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### ルイ・パスツール
フランスの細菌学者で、狂犬病ワクチンやコレラワクチンを発明したルイ・パスツールも「幸運は用意された心のみに宿る」と言っています。
〝Souvenez-vous que dans les champs de l'observation le hasard ne favorise que les esprits préparés.〟
――Louis Pasteur (Université de Lille, France, 1854)
出典は逐次調査していますから、先に進みましょう。
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## 弟子の準備
### 道具
弟子の準備とは何でしょうか。
パスツールは「心構え」だと述べています。
精神性はもちろんですが、必要となる道具を一通り揃えることが大切です。
包丁もないのに、料理人になろうとする人はいません。
『北斗の拳』のレイではないんですから、少なくとも包丁一本は必要です。
(レイの使う南斗水鳥拳は、指や手刀で何でも斬ります。)
弟子の卒業時には、師匠が包丁を贈るの伝統があるそうです。
#### 無銘の包丁
私の友人(焼鳥屋)も、師匠から包丁をもらったそうです。
見せてもらったのですが、無銘――「○○製」とかの名前がついていない包丁でした。
どことなく凛とした佇まいがありました。
「化け物ってどこにでもいるんだよ」
そう言う友人は、独立した後で、自分の腕に合う包丁をン十万円もかけて特注したんですが、その無銘の包丁には敵わなかったそうです。
「試してみろ」というので、比べてみたのですが、特注したものは友人用ですから、私が使うとダメな仕様です。
一方、無銘の包丁は、私が使ってもその技を発揮しました。
本当に「化け物はいるのだ」と実感させられました。
### 道具の目利き
「弘法筆を択ばず」という諺がありますが、達人ほど道具の目利きはしているものです。
〝職人たるもの、自分の道具に対する目利きができないようでは二流である(すべての記者にJISキーボードのワープロを持たせている某大手新聞社などは、私に言わせればシロウトの大集団である)。逆に親指シフトを使う物書きには、何はさておき一目置くことにしている。
「親指シフトですね?」
「あたりまえです」
これだけの会話で、2人のパソコン談義は終わる。親指シフトの職人は、みんな「あたりまえです」と返答する。この他愛もないような答えに込められた万感の思いは、コンピュータを使って日本語を紡ぐ仕事に自らを置いた人間でなければわかるまいと思う。〟
――戸島國雄(Mac Power 1994/9)P300 「それは世間によくある話」
#### 目利き
友人が持つ包丁四本を、弟子に価格順に選ばせることがありました。
正解したら、そのうち一本をもらえるゲームです。
正解した弟子は、白紙をもらっていました。
なぜか私も強制参加させられ、間違えました。
ただ、「この中でどれを選ぶ?」という質問には、躊躇なく、無銘の包丁を選びました。
理由は一つ。
特注品は友人専用なので、私の手には合わないからです。
目利きができれば、次に進めます。
#### 伯楽
相馬眼――馬の善し悪しを見抜く技術の代表が伯楽です。
気に入った人には駄馬の見分け方を教え、気に入らなかった人には良馬の見分け方を教えたそうです。
世の中には駄馬のほうが多いので、その見分け方のほうが実用的という訳です。
### 危機管理
同じように、人にも善し悪しがあります。
まったくの善人がいないように、まったくの悪人はいませんが、習慣として不幸を選ぶ人がいます。
先日、雨のなか地方駅前のバス停で待っていると、若い二人――女性上司と男性部下が話し込んでいました。
私は距離を取り、コンビニのお結び(高菜)を食べていました。
やっと来たバスが、操車場奥で人を下ろしていると、女性が乗り込もうと近づきました。
(バカじゃないのか?)
私はあわてて、声をかけました。
「――こっちに来るから」
男性が女性に声をかけ、バス停に戻りました。
(あーダメだな)
仕事で頭がいっぱいなのは分かりますが、操車場に入るのは危険行為です。
- 1. 危険を予知(認識)できていない。
-> 轢かれる危険性がある。
- 2. 環境を認識できていない。
-> 雨で視界不良。他の利用者(私一人)は動いていない。
危機管理がなっていません。
それに、二人は私が「単に案内した」と思ったようです。
女性が轢かれる可能性が高く、それを注意したのです。
ただ、「自分たちが危険行為をした」と自覚していません。
そんな状態の弟子がいたとしたら、師匠は見つけられるでしょうか?
それに、訪問先の担当者の知人が、私である確率はゼロではないのですから。




