安州三首
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安州和澤踊諸夷
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鬪妙歌舞憤法師[穆拉比特之民初作淸眞徒履敎篤實憤安州妙藝排之]
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芳氣逐風荒野上
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殘英堆積想往時
【句形】
七言絶句、平起こり、上平4支(夷、師、時)
【語釈】
鬪妙――白居易・胡旋女「鬪妙爭能爾不如」
【訓読】
安州の和沢 諸夷を踊らしめ
妙を闘はする歌舞 憤法師を憤らしむ
芳気 風を逐ふ荒野の上
残英堆積して往時に想ふ
【大意】
アンダルスの穏やかな環境は往来する民族を踊りに駆り立てた。
それは大いに花開いたが、厳格な法学者たちを怒らせるものだった。[ムラービト族はムスリムとなって日が浅く、その教義に忠実だった。そのためアンダルスの文化を逸脱とみなし排除した]
今ではその香りはどこかに行ってしまったが、花弁は積み重なって当時の繁栄をしのばせるのである。
第二
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南國江邊秦二莊
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神僮勝相使花洋
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廣來蠻貊鹿鳴志
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兵燹終臻盡末芳
【句形】
七言絶句、仄起こり、下平7陽(莊、洋、芳)
【語釈】
秦二莊――アンダルスにはマディーナ・アッザフラー(花の町)という宮殿が存在した。
神僮――後ウマイヤ朝のアブドゥッラフマーン三世。それまでの称号アミール(首長)に代わってカリフを名乗り、アッバース朝に対抗した。
勝相――アルマンソル。本名はムハンマド・イブン・アビー・アーミル。侍従として仕え、カリフに代わって実権を握った。
兵燹――アブド三世が建設した方の宮殿はベルベル人部隊の反乱により破壊される。
【訓読】
南国の江邊 秦の二荘あり
神僮勝相 花をして洋からしむ
広く蛮貊を来たらしむ 鹿鳴の志
兵燹終に臻りて 末芳を尽くす
【大意】
グアダルキビルの川辺に二つの大きな宮殿があった。
アブドゥッラフマーン三世もアルマンソルも同じ名前でそれを造営した。
かつてはそこに諸国の使節が往来していたが、戦火によって最後の香りを終わらせてしまったのである。
第三
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濟濟才人多蔡精
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相聞公主足聴傾
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多巴臘奈婢能政
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善績方今住路名
【句形】
五言律詩、仄起こり、下平8庚(書、如、初、虚)
【語釈】
蔡精……蔡琰の意志を受け継ぐ者たち。
公主……ウマイヤ朝王族の血を引く詩人ワッラーダ。イブン・ザイドゥーンとの歌の贈答で知られる。
臘奈……ルブナ。奴隷身分の出身であるが当代きっての知識人でありハカム二世の元で秘書官を務めた。
住路名……2019年、ルブナの功績を称えてコルドバに彼女の名の付いた道路が敷設させた。
【訓読】
済済たる才人 蔡精多し
相聞の公主 聴傾に足る
多巴の臘奈 婢にして政を能くし
績を善され方今 路の名に住まる
【大意】
アンダルスにはワッラーダやルブナなど多くの才女がいる。




