表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ルアーナ嬢の執事~夜逃げした伯爵令嬢と元『剣聖』が始める国家運営~  作者: 八星 こはく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/23

第16話 旅行!?

「ノルベルトなら、そう言ってくれると思っていた」


 再び城に訪れたルアーナ達を見て、ミルコが微笑みを浮かべた。今日は先日よりも調子がいいのか、顔色がいい。


「実は、既に準備は進めてあるんだ。少しでも私が元気なうちに、きちんと後継を指名したかったからね」

「……兄上は今後、どうするんです?」

「すぐに君に全てを任せて隠居するつもりはないよ。けど、身体が持たなくてね。療養に専念させてもらえると助かる」


 喋り終えると、ミルコはこほこほ、と咳をした。


「でね、ノルベルト」

「はい」

「即位する前に、君には今のシルヴェストル王国の実態を、改めて知ってもらいたいと思っている」

「……はい」

「というわけで、ルアーナ嬢と旅行にでも行ってきなよ」


 そう言うと、ミルコはにっこりと笑ったのだった。





「昔から兄はこうなんですよ。穏やかではあるんですが、一度決めたことに関しては、俺の意見なんて聞きません」


 不貞腐れたような顔をするノルベルトは新鮮で、そうなのね、と頷きながらもときめいてしまう。

 あの後、ミルコが手配した馬車に強制的に詰め込まれ、ルアーナ達の旅行が始まったのである。


 旅行といっても、向かう先はシルヴェストル王国内だ。王都ではなく、少し離れた農村である。

 シルヴェストル王国は、王都以外はほとんどが農村なのだという。昔は肥沃な大地のおかげで農業生産力が強かったが、近年は天候に恵まれず、厳しい状況が続いているそうだ。


「ノルベルトは、今から行く村にも行ったことがあるのよね?」

「一応は。ですがこの国にいた頃の俺は、基本的に毎日剣の修行に明け暮れていましたから」

「格好いい……!」

「ただ訓練していただけですよ」

「それが格好いいのよ! 一つのことをずっと鍛錬し続けるなんて、すごいもの!」


 そして鍛錬し続けただけでなく、その結果、ノルベルトは見事『剣聖』となったのだ。


「努力もできて、その上結果も出せるなんて、格好いいに決まっているじゃない!」

「……ありがとうございます」

「わっ、もっ、もしかしてノルベルト、照れてるのっ!?」


 ノルベルトの頬が、ほんの少し赤くなっているように見えた。

 思わず指摘してしまうと、ノルベルトが顔を髪で隠すように俯く。


「ちょ、ちょっと、ノルベルト……」

「……なんですか」

「格好いい上に可愛いなんて、どこまで私を好きにさせれば気が済むのっ!?」


 ルアーナの絶叫で、馬車は派手に揺れたのだった。





 目的地に到着後、ノルベルトにエスコートされて馬車を下りる。すると、のどかな光景が広がっていた。

 点在する民家と、だだっぴろい畑。観光客らしき姿は見えず、農業に従事する人々ばかりだ。


(なんていうか、すごく田舎って感じだわ。でも、空気が澄んでいて、気持ちいい……!)


 周りの景色を見つつ、ノルベルトに案内されて村を進む。

 村で一番いい宿を手配してくれたらしい。街にある宿のように大きく立派な宿ではないものの、品のいい建物だった。


「一度宿で休んでから、村を散策してみますか?」

「そうね。でも、あまり疲れていないから、休まなくても大丈夫よ。荷物だけ置ければ」


 答えながら、ルアーナは少しだけ違和感を覚えていた。

 馬車を下りてからここへくるまでの間、ノルベルトではなく周りの景色を見るように心がけていたのだが、どこか違和感がある。


(でも、なにかしら……?)


 もどかしくて、再度周りを見回す。

 宿の周辺にはレストランや食料品店等、店が並んでいる。どうやら、住居以外の建物はこのあたりに密集しているらしい。


「……あっ!」

「どうかしましたか、お嬢様?」

「この村って、文字を書いた看板がないわよね!?」


 どの店も、看板に描いてあるのはイラストだ。分かりやすいし、可愛いなとも思っていたけれど、ルアーナが見慣れているものとは違う。だから違和感があったのだ。


「……ああ」


 呟くと、ノルベルトは少し気まずそうに言葉を続けた。


「この村は――シルヴェストル王国は、識字率がそれほど高くないんですよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ