Chapter 37 実行委員の仕事③
「誠くんだねぇ。この前は顔を真っ青にして逃げてどうしたんだい?」
小馬鹿にするような口調で、内田は聞いてきた。
「何なの、貴方たち!?」
今にも噛みつきにかかろうとしている犬のような目つきで、葛城さんは内田を睨みつけた。
「辞めとけって」
殺気立つ葛城さんを九条は抑える。
「明、手放して!」
葛城さんは強い口調で言い放った。
覚悟と決意。放たれた言葉とそのときの気迫に負けたのか、手を放す九条。
「君には用がないんだ。用があるのは、そこにいる根暗そうなやつだよ」
「そう。大体あなたたち、東条くんの何なの?」
「そう殺気立たないでくれよ。俺はただ久しぶりに会ったお友達に挨拶をしに来ただけなんだぜ」
「お友達? ふざけないで。私にはそう見えないわ。現に東条くん怖がってるじゃない」
語勢を強めて葛城さんがそう言うと、内田は大笑いしながら、
「怖がってる!? 喜んでるの間違いじゃないの」
と言った。それに同調するように、内田の取り巻きたちは、
「誠女に守られないとダメなの。ザッコ」
「弱虫、卑怯」
と僕に向かって散々悪口を言う。前にいる葛城さんと九条越しに、刺さってくる言葉の刃は確実に僕を傷つけてくる。
僕の悪口を聞いた葛城さんは、握りこぶしを作って、
「これ以上東条くんをバカにしないで」
と言って内田の頬を思いっきり叩いた。
吹き飛ぶ内田。
それを見かねた取り巻き二人が支える。
立ち上がった内田は、
「ちょ、危ねぇだろ! このアマが」
力一杯葛城さんを殴りつけた。
「きゃっ!」
葛城さんは、近くにあった本棚に激突し、思いっきり倒れる。
彼女の口から、真っ赤な血がぽたぽたと滴り落ちる。
「女に手出すとか、お前クズにも程があるよ」
先ほどまで黙っていた九条は、今までに見たことがないほど恐ろしい形相で、内田に殴りかかろうとする。大惨事になる前に止めなきゃ。
「こら、辞めろって。相手は三人。僕が犠牲になればいい話だ。九条、代わりにコピー頼むよ」
僕は内田に殴りかかろうとした九条を押さえつけた。
「お前がバカにされたうえに青葉まで傷付けられて、いい気なんてするかよ」
「バカ、お前が殴りかかっても騒動を余計大きくするだけだよ。そうなる前に僕が出ればいいだけ」
「お前にはプライドとか誇り、面子ってもんはないのか!?」
「あるに決まってんだろ!」
暴走中の九条を押さえつけているときに、
「仲間割れか。こっちにとっては好都合だぜ!」
内田が僕の顔面を目がけて殴りかかろうとしてきたところへ、
「内田、久しぶりだな」
右手にお菓子やらジュースやらが入ったレジ袋を持った今村が、左手で彼の拳を止めた。




