Chapter 38 実行委員の仕事④
(承前)
先ほどまで地上げのように高圧的な態度を取っていた内田は、今村の姿を見るや否や、
「おぉ、今村か! 久しぶりだな」
やけにフレンドリーな態度に変わった。
「おう、久しぶり。というより、お前ら何してたんだ?」
「……」
今村に何をしているか聞かれたとき、内田は黙り込んだ。
「何もないのなら、さっさと帰るよな」
問い詰める今村。
「誠に会ったから挨拶してただけだよ、な」
「挨拶? 挨拶だけで怪我人が出るか、普通」
「……」
再び答えに窮する内田。その顔色は、殴りかかったときのそれよりも真っ青になっている。
「それにお前まだそんなことしてたんかよ。くっだらね。いい加減学校別れたんだから、ほっといてやれよ。本人も嫌がってるんだし。お前いい加減しつこいよ。それに、女子にも手出して──最低だね」
「何だと!? もう一度言ってみろ」
先ほどの恭しい態度とは一転、内田は声を荒げて聞いた。
顔を真っ赤にしている内田を煽るように、今村は、
「最低だね」
と言った。
「何だと! せっかく中学の同級生のよしみで丸く収めてやろうとしたのに」
「柳原、買ってきたもの持ってて。明日には返してね。帰ってていいよ。どうせ遅くなるだろうし」
右手に持っていた食料品を、今村は後ろにいた今村に渡す。
「わ、わかった。じゃあ、また」
突然のことに困惑しながらも、持っていたコンビニ袋を柳原は受け取る。
内田たちの攻撃をかわしたり受け止めたりしながら、今村は、
「あ、誠、九条、それと……」
と聞いた。
「葛城です」
青アザができた頬を押さえた葛城さんは答えた。口からは血が滴り落ち、着ているワイシャツを真っ赤に染め上げている。
「こいつどうにかしとくから、作業続けてて」
そう言って、今村はものすごいスピードでコンビニを出て行った。
「待て!」
逃げる今村を必死で追いかける内田とその取り巻きたち。
突然来た内田たちのせいで、作業は最初からになってしまった。けれども、さっきのように邪魔が入らなかったので、2回目はしっかりとできた。
コピーが終わったあと、僕は保健室へ立ち寄り、怪我をした葛城さんの処置をしたのだった。




