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明かされる任務

「ねぇ、ジグ?あなたは少しは大人しくしてられないの?」

リーナが髪をかき上げながら、ジグに問いかける。

笑顔だったが目は笑っていない。

「あれは、向こうから喧嘩売ってきたんだ、俺は買っただけだ。」

「だからってあそこまでやる必要ないでしょう?彼ら自信なくして下手したら冒険者やめるわよ。最近Dランクに上がったばかりだったのに…。」

ちなみに冒険者ランクは最高がSで最低がGでありジグは最低のGランクである。一般的にはDランクから一人前の冒険者とみなされるのであった。


「あんぐらいでやめるなら、最初からその程度だったって事だろ。」

「はぁ、もういいわ。じゃあ任務の話をするわよ。」

「…いいのか?リーナ。」

ジグはチラリと横に座っているミルムを見る。

「正式に許可は貰った。」

リーナの代わりにミルムが答える。

「意外だった?」

ニヤリと笑いながらミルムがジグを見る。

「いや、別に。」

(意外でした。すいません。)

ジグもミルムの実力は認めていたが、こうもあっさりリーナが認めたのは意外だった。

「まぁそういうわけだから、今回からは二人で上手くやるのよ。」

「おう。」「了解。」


「今回の任務は護衛、護衛対象はルーゼン王国第一王女アニエス・ルーゼン。期間は一週間後の王女の成人の儀式の始まりから終わりまで。ただしこの任務は誰にも明るみに出してはいけない。それと成人の儀式は無事に達成させる事。」

(王族の護衛か…!こりゃまたでけえ案件だな。)

「これは支度金と前金。」

リーナは金貨の入った袋をテーブルに置き、ジグはそれを確かめた。今回は二人分とは言えいつもよりかなり多い。

「質問はあるかしら?」

「ねえよ、行くぞ、ミルム。」

「おー。」

「頼んだわよ、お二人さん。」


ジグはギルドから出て、酒瓶を取り出し一口飲んで一息つく。

(護衛か…第一王女って事は、王位継承権を持ってる。まさかアニエスってのがこの国を変える切っ掛けになるのか?リーナはアニエスを次の国王にしようとしている?)


ジグはリーナに心から感謝していて、信用はしていた。

リーナと出会わなければ自分はあっさりと殺されていただろう。

リーナは一人の人間として人間らしい暮らしを与えてくれて、ジグに愛情を注いでくれた。

リーナにも色々と打算があるのはもちろん理解はしているが、

リーナのおかげでジグは人間の温かさを初めて知ったのは紛れもない真実だった。


ルーゼン王国を出たのも元奴隷の自分がリーナの周りをうろついていたら何かと都合が悪いと思ったからだ。

だからリーナの国を変えたいという願いをジグも叶えてやりたかった。


(まぁ俺にできる事は任務をこなす事だけだ。政治の事はさっぱり分からん。)

「ジグこれからどうするの?」

「護衛対象を見つけて、監視する。後はダンジョンのマッピングだな。」

「それだけ?」

「まぁ細かい事は色々あるけどな。俺らの仕事はとにかく護衛対象を護る事だ。」

「まぁ、そだね。てかジグ飲みすぎ。」

ミルムは酒瓶を取り出したジグを咎める。

「いいんだよ、俺は酔わないから。」

そう言ってジグはぐびりと酒を飲んだ。

確かにミルムはジグが酔っ払っているところは見たことがなかった。

いや少し酔っ払ってもすぐに元に戻っているというのが正解だ。ここでミルムは少し考えを巡らす。

(まさか。わざと酔って自分で解毒魔法(アンチドート)を使っている…?)

なぜそんな事をするのか。決まってる、ジグは鍛錬をしているのだ。

以前ジグは言っていた。

魔法は使えば使う程洗練されていき魔力も高まっていくと。

(だから常に魔法を使っている。今は解毒魔法の鍛錬中?でも魔法を使ってる素振りは全く…。)

ミルムも身体強化の魔法を使うが、詠唱しないと使えない。

というか無詠唱は超高等技術で使えるのはほんの一握りの魔法使いだけだ。

それに無詠唱といえど魔法を放つ前には体から魔力が放出される。それがジグからは全く感じられなかった。

(もう十分すごいのに、常に鍛錬してるんだ。)

証拠はなかったがミルムは確信した。


「どうした?ミルム?」

「やっぱり、すごい。ジグは。私も鍛錬しないと。」

そう言っていきなりミルムはジグを自分の肩に抱き抱える。

「おいっ!?何っ!?」


ジグは痩せているとは言え60キロ以上はあるが、ミルムはジグを軽々と肩に担いでいた。


「魔法はジグには勝てない、むしろそれでいい。私は力とスピード。足りない部分を補い合うそれが相棒。でも…。」

そしてジグを抱えたまま猛スピードでミルムは走り出した。

「ちょっ、何言って…!てか速っ!怖っ!」

「努力で負ける訳にはいかない。」

「何なの…?」


ジグは担がれながらうなだれ、諦めた。

こうなったらミルムはてこでも動かないのは良く知っていた。


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