第72話 レベルアップ
今日は朝飯食って、再度ルナ迷宮を27階層からの攻略だ。ちなみに現在のみんなのステータスを、朝食時に調べてみた。
―――― ステータスオープン ――――
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名前:アルフレッド(月見里拓郎)
年齢:16歳(28歳)
性別:男
経験値:894771
レベル:38
冒険者ランク A
体力:1307/1307
魔力:10/10
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名前:ジェームス
年齢:16歳
性別:男
経験値:214666
レベル:28
冒険者ランク C
体力:1725/1725
魔力:3/3
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名前:エミリー
年齢:16歳
性別:女
経験値:209820
レベル:27
冒険者ランク C
体力:395/395
魔力:1658/1658
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名前:ミラベル
年齢:16歳
性別:女
経験値:209818
レベル:27
冒険者ランク C
体力:305/305
魔力:2322/2322
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みんな確実に経験値が増えているし、レベルや冒険者ランクも上がっている。
俺がAランクになっているのも嬉しいのだが、俺の魔力量が上がっているのも何気に嬉しい。
(いつか自分の魔力で魔法が使えるようにならないかな?)
「みんなはかなりレベルアップしただろう?」
「20回以上は有ったかなあ?」
「そんなもん、覚えてねーよ」
「25回」
みんなそれぞれの回答だ。ミラさん、惜しい。
「今日からは27階層に入っていくけど、多分今日あたり30階層に行くことになると思うんだ。そうするとパーティランクがBランクになっている必要がある」
「今はCランクだもんね」
30階層からは、Bランクパーティーでなければ行く事が許されていない。
無視して入ることもできるが、発覚した場合にはペナルティーが課せられる。冒険者の命を守るためのギルドのルールなのだ。
「そう。でも、みんなのレベルも25にはなっているようだし、俺のランクも上がっている可能性があるから、パーティランクも上がっていないか確認してみようと思う」
各人のステータスは俺にも把握できているが、パーティのランクとなるとギルドで調べなければ判らない。
「しかしさあ。俺たちのレベルアップって異常じゃね?」
「俺たちのレベルやランクアップのスピードは、他の人たちと比べれば確かに異常だよ。これはギルド長とリリアンさんと俺たちだけの秘密事項だから、ほかの人には内緒だぞ?」
「分かってるわよ、私だって何だかズルしてるっぽい自覚があるもの」
「……俺もだよ」
ズルしたって何したって、法を守り他の人に迷惑を掛けなければいいのだ。ステータス魔法では俺もAランクになっているはずなので、迷宮に行く前に冒険者ギルドへ立ち寄った。
「今回の更新で、アルフレッドさんの冒険者ランクがAランクになりました。これに伴ってだと思われますが、月盟の絆さんのパーティランクもBランクに上がりました。ルナ迷宮30階層からの攻略が許可されます……」
リリアンさんがカードの更新をしてくれた。
今朝のステータス確認でAランクに上がっていることが分かったが、パーティランクもちゃんと上がっているようで安心した。
「でもアルフレッドさん、皆さんのランクの上昇速度は異常なんですからね。いくらアルフレッドさんやジェームスさんの専用武器が強いからって、31階層より先はストーンゴーレムクラスの魔物が複数出てくる難関エリアになってきますので、くれぐれも無理はせず用心なさってくださいね」
リリアンさんが他の冒険者に聞こえない様、小声で俺たちを諫めてくれている。
「ご助言ありがとうございます。もちろん無理はしませんよ。パーティのみんなでよく相談をしたうえで先に進むようにしていますので」
実は、ミラに続いてエミーにも今日は魔道ロッドを持たせている。魔力の消費は同じでもその魔法の効果を2倍、4倍、8倍に引き上げる魔道具だ。
今回二人に持たせた魔道ロッドは、ミラの魔力切れの教訓を生かして、自身の魔力量が2割を切ったら警告を発するように改造している。これでロッドを使っている時にうっかり魔力切れで倒れるということは無さそうだ。
新しい武器の開発を行うと、王宮騎士団に届け出が必要になるが、魔道ロッドはまだ開発中の段階なのでギルド長にはまだ話していない。
ミラとエミーに使用してもらい、一通りの確認が終わった時点で届け出を出そうと思っているのだ。だから、受付のリリアンさんは彼女らが持っているロッドが魔道具だとは知る由もない。
ルナ迷宮の入り口で、俺は重要な事をパーティのみんなに話をした。
「みんな聞いてほしい。俺が持っているこの“魔道ガン”という武器なんだけど、この武器を俺が使うと魔力が無い俺でも魔法を使うことができる」
「やっぱりね、昨日スタンの魔法をアル君が発動させてたからどうなってるんだろう? って思ってたのよね」
「昨日の魔物へのスタンはエミーじゃなかったのか?」
「そうよ、私はまだ短縮ができないもん」
「アルは何でもアル(アリ)」
「……」
ジムとエミーが可哀そうな子供を見る目でミラを見ている。するとミラの顔がだんだん赤くなってきて耐え切れず顔をそむけた。
(ミラってこんな可愛いところがあったっけ? ごめんなミラ、俺は反応ができなくて)
「コホン。えーっと、それで……俺は今日から必要な時には魔法も撃とうと思っているし、昨日魔道ガンの力不足も感じたので、魔道ビーム機能も追加してきた」
「魔道ビーム機能って?」
そうか、スタンピードの時に魔道ビームライフルで魔物を一気に屠ったということを、ここにいる誰もが実際に見ていないので知らない訳か。
「ルナ迷宮でスタンピードが発生した時に、ルナの町の前で俺が魔物を殲滅したって話知ってるよね?」
「それは前にアル君から聞いたわ」
「その時に使った武器が魔道ビームライフルなんだ」
「それって、国王からの依頼を受けて、ルノザール領主様が作ったっていうあの伝説の武器じゃないのか?」
俺が何でその伝説の武器を使えたのか? みんな解らない顔視しているな。
「そう、その武器は、俺が作ったんだよ」
「「「えっ」ええー?」」
皆さん、大変いい反応です。
「そう。それでその時に使った機能が魔道ビーム機能。高出力の雷魔法を一直線に放出して、複数の大型魔物も一気に倒す事が出来る高火力の武器だよ」
(みんな知らなかったようだ。国王様の箝口令ってすごいな)
「だから、周りに冒険者が居ない時に限り必要な時は、俺はこの機能を使う。国王陛下からは厳重な箝口令が敷かれている機能だからみんなもうっかり口外はしないように頼む」
何だかミラの目がキラキラしている。多分自分が使いたいって言うだろう。
「アル、それあたしも――」
「あー、それは今はダメだ。今は俺専用の武器として登録しているから、他の人が使っても何も動作しない」
万が一、悪い人の手に渡ってしまった場合の事を考えると、登録者以外は使えないという機能は必要不可欠だ。
「チッ」
(ミラさんや、あなた今舌打ちしませんでした? 聞こえましたよ?)




