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親を探す旅に出ただけなのになぜ世界を救うことに…?  作者: 黄昏の大陸
第3章 少年編 ~傭兵団の仕事~
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第11話 敵を欺くにはまず味方から

 声をした方を全員が振り向くとそこ立っていたのはソティアスとその後ろにルチルがいた。

 ソティアスとグランツの2人を抜かしてルチルを含め全員が驚いていた。

 

 「ソティアス殿、首尾はどうですか?」

 「もう問題ありません。裏切者は全員閉じ込め北と西の領軍を此方に寝返させる事に成功しました。目の前の領軍は味方です」

 「そうですか……ありがとうございます」


 ソティアスとグランツが普通に話している光景に全員の視線が集まっていた。

 

 ラピスと目が合った。


 「やあ! ラピス久し振り!」

 「久し振りって、6~7時間前に別れたばかりでしょ!」

 「ソティ君? どうして、ここにいるの?」


 「調略が終わったので戻ってきました」

 「調略って?」

 「北と西の領軍への此方へ降伏するようにきょうはく……もとい説得してきました」

 「脅迫? 脅迫してきたの?」

 「いえ! 説得です。皆さん泣きながら説得に応じてくれました」

 「脅迫……いえ! 説得って何してきたの?」

 

 ラピスの視線を逸らしてからしてきた事を答えた。


 「……最初は普通に説得したけど聞く耳が無かったので眼で説得しようとして……」

 「説得しようとして?」

 「領都の城を吹っ飛ばしました。それでも反応なかったので、さらに跡形も無くしたら……全員、頭を地面に付けて、ごめんなさい裏切りますごめんなさい、と最後は目に涙を浮かべて笑顔で説得に応じてくれました。で、最後は、今度敵方に寝返ったら……と優しく忠告してきました」


 「そうですか! 心の底から泣いていたのでしょうね……」

 「で、ソティアス、北と西どちらの領都の城を破壊したんだ?」

 「リュセ大将軍! もちろん両方です。両方とも同じ反応しかしなかったので、もっと頭を柔らかくするべきですよね?」

 「もう少しやり方は、なかったのか?」

 「時間が無かったので、他にもやる事があったので」

 

 ソティアスの言葉に全員が項垂れていた。


 少し落ち着いたラピスが怖い顔でソティアスに詰め寄ってきた。

 

 「ど、どうしたの? ラピス」

 「なんでソティがここにいるの? 調略って何? グランツ兄様は知っていたの?」

 「グランツ殿の作戦です。僕はやらされただけです」

 「なっ!? それは酷くないですか? ソティアス殿」


 ソティアスの言葉にグランツは、驚き困惑した顔を向けたがソティアスはそれを無視した。

 

 「結局は、昼のやり取り何だったの?」

 「敵を欺くにはまず味方からって言いますよね? もっともこの場合の敵とは、元国王達を脱走させる兵士と裏切る兵士を一網打尽にする為の作戦でした」

 「脱走させる兵と裏切る兵? 同じじゃないの?」

 エストの言葉に答えた。

 「最初は違いました。裏切る兵は王都に寝返った兵で、脱走させる兵は5年前の生き残りの盗賊です」

 「えっ!? 5年前の襲撃もグリフォス第三王子の仕業じゃあないの?」


 ミールは、驚きながらもソティアス聞いたきた。

 「僕も最初はそう思っていたけど……傭兵団の情報網を使って8年ほど前から調べ上げた結果わかった事は……」

 ソティアスは、少し言い難そうにしていた所、ラピスが先を促した。

 「結果は?」

 「5年前のイサーラ村と王都襲撃は、国王の指示で行なわれたことでした。勿論グリフォスもイサーラ村襲撃に手を貸していましたが王都襲撃は知らなかった様です。その為、王と第三王子の間で亀裂が入ったみたいです」

 ラピスは信じられないとソティアスの胸倉を掴んだ。

 「なんの為に襲撃を?」

 「イサーラ村襲撃は、村の宝を奪う為ですが奪った宝は盗賊が持ち逃げしました。宝を奪うだけなら盗賊だけで十分なのに竜まで待ちだしたのは、僕を殺す為だったんですが死なないで王都に帰ってきたので、あの状態で追い出す事にしたんです」

 「……なら王都襲撃は?」

 「……スラム住民の虐殺です。スラム住民だけでは怪しまれるので、他の都民も襲っていた様です。グリフォスは、これに異を唱えた様ですが結局王都を奪うのにゴブリンや盗賊などを使ったようですけど」


 ルチルは知っていた内容なので、驚いではいなかったが他の人は、グランツでさえ知らなかった為に珍しく驚いていた。


 「言い難い事ですが……この内乱のきっかけは、国王と第三王子の仲違い、親子喧嘩が発端です」

 「「「「「……」」」」」

 親子喧嘩の言葉にみんな呆れてしまった。

 

 「本当にお父様か?」

 「信用できないかもしれないけどね!」

 

 「そう言えば、敵を欺くにはまず味方から、と言っていたけどお父さんは知っていたの? この作戦」

 「も、もちろんだ!」

 ミールに聞かれたリキドは戸惑いながら答えたがソティアスがそれを否定した。

 「いや、父様は知らなかったですよ! 酷いですよね、素であんな事言えるなんで……」

 ソティアスは、最後まで話を続けないで、後ろを見て震えてしまった」

 「……」

 「お父さん! ソティ君に謝って!」

 「……す、すまん……」

 「……」

 リキドが気落ちし謝ったがソティアスは震えたままだった……が、ルチルが口を挟んだ。


 「ソティ……何笑ってんの?」

 「「「「「えっ!?」」」」」

 

 みんなは、ソティアスが泣いているのかと思ったが笑っていただけだった。


 「ソティ君なんで笑っているの?」

 「いえ! 父様が女の子3人に責められて小さくなっている姿を見ると面白くって、つい」

 「ソティどうして笑っていられるの? 父さんの事怒っていないの?」

 「……」

 リキドは、俯いていた頭を上げて顔をソティアスに向けた。


 「別に?」

 「なんで?」

 「グランツ殿が直接狙われたのは誤算でしたが、父様は計画通りに動いてくれたので、そのまま利用させて頂きました」

 「計画?」

 「ええ、多少練った計画が狂いましたが最初っから父様を利用して、僕を追い出してもらうつもりでしたので……」

 「最初っから俺を利用するつもりだったのか?」

 「はい、父様の性格を利用させて頂きました。王子に対する忠誠心をね!」

 ソティアスの言葉にリキドは顔を歪めた。


 「何故俺に話をしなかった?」

 「父様に演技無理でしょ? ばれた場合は、全ての軍を相手にしなければならなくなり面倒ですから話しませんでした。まあ、全ての軍を倒せと言われたら倒しますけど、流石に盗賊以外の人間を殺すのは抵抗がありますからあまりやりたくないですね」


 まあ、実際盗賊以外殺したことないし……


 「父上や兄上姉上はどうされたのですか?」

 「西門を抜けて森に入った所を鉄壁で閉じ込めています。同じく裏切りの兵士達も閉じ込めています」

 「処分はどうしましょう?」

 

 処分って言っても……死刑か奴隷しかないと思うけど?


 「自分で決めてください。でも一度許したのにもかかわらず裏切ってますからね……グランツ殿舐められていますよ」


 ソティアス殿もよく言ってくれる。確かに一度は許しているし……確かに2度目も許したら……裏切っても許されると思われても困るし……処刑しかないかな?


 「処刑します!」

 「ですね」

 「グランツ兄様?」

 

 グランツ殿決心したか……


 その時2人の兵士が飛び込んできた。


 「北と西の領軍に動きがあります」

 

 「ソティ?」

 「やっと領都から早馬が届いたようですね、撤退ですか?」

 「い、いえ、此方に向かって来ました。鉄門の傍まで来ています」

 「ああ、そう……」


 あれ? やっぱり状況的には、向こう側が有利だから口だけだったか」


 「どうなってるの? ソティ!」

 「説得をやり過ぎたがまだ向こう側が有利なので、見せかけの降伏だったようですね」

 

 こうなったら攻めてきている人には悪いけど、見せしめになってもらうかな? 探知で調べると全ての領軍が攻めてきているようだし……戦争だから死ぬ覚悟は出来ているだろうし、仕方がないね


 「”ホウル”開!」


 ソティアスのいきなりの言葉に全員の視線が集まり注目を浴びていた。


 「いきなりどうしたの?」

 「罠を発動させました」

 「罠?」

 

 探知で確認すると両領軍の8割が落とし穴に落ち絶命していた。


 ……思った以上に落ちたな……5割くらいで良かったのに


 「ソティ?」

 「ああ、ごめん、落し穴です」

 「罠って、落し穴なの?」

 

 罠が落とし穴と聞いて溜息が周りから聞えてきた。

 なぜがリキドがソティアスに怒気を含み責めよってきた」


 「ソティふざけるな! 落とし穴ごときで何人殺せるって言うんだ! 1人か! 2人か!」

 

 リキドの言葉に頷き同意している者が多数いた。


 「何人殺せるか、ですか……」


 報告の兵士が駆け寄ってきた。


 「報告します。いきなり現れた穴により……およそ9千人が落ち、死んだものと思われます」


 その報告により時間が少し止まってしまった。


 そりゃあ、驚くよね? 自分でも吃驚だし


 「どうやったのソティ?」

 「どうって、みんなが馬鹿にしていた落し穴ですけど?」

 「「「「「……」」」」」

 「まあ、僕の予想では5千人ほど落ちればと思っていたんだけど……まさか、ここまで巻き込まれるとは、運の無い人達ですね」


 全員、固まったまま動かないし、どうしよう

 

 「取り敢えず確認に行きましょう」

 「そうですね」


 グランツがやっと口を開いた。


 全員で東門の先にある鉄壁へ転移すると其処に広がっていた光景にソティアスも含め全員が絶句した。


 「こ、これは、ちょっと酷いですね」

 「自分でやって、その言葉ってどうなの?」

 「うん、まあ、そうなんだけど……」


 穴の深さは約10mで、味方同士の剣や槍が突き刺さっており、仲間で殺し合った感じになっていた。酷い者は、上からも下からも無数に刺されていた。


 「生き残った領兵や王都兵は、撤退を始めた様です」


 撤退かあ! もっと早く撤退しろよ! もう一度領都に行かないと駄目かな


 「ねえ! ソティ君、これどうするの?」

 「焼いて埋めます」


 ソティアスはそう言ってから兵士が落ちて死んでいる穴に”フレイム”を放ち骨も残さず燃やし、後に残ったのは、灰だけだった。


 開いていた穴を綺麗に埋めなおした。


 「父様、リュセ大将軍……すいません……でした」


 いきなりソティアスに謝られて2人は、意味がわからなかった。


 「どうした急に?」

 「ソティ?」

 「いえ、敵に寝返ったとはいえ……もともとは部下だった人達を殺してしまって……」

 「ああ、なるほど」

 「それは構わん、兵士になった時に宣誓している……自分の命は国の物、と自分の思う国の為に戦い死んだのなら悔いはないだろう! いつ国の為に死ぬがわからないからこそ他の市民に比べて給金が良いのだから」

 

 じゃあなんで、領都が襲われたときに戦わずに降伏したんだ? 死にたくなかったからじゃ?


 ソティアスが何に対して疑問を持っているのがわかったグランツが教えた。


 「命は国の物と宣誓してもやっぱり死にたくないのが人間だから仕方がないよ」

 「それって、王に対して嘘の宣誓にならないの?」

 「なるけど……戦争になって見ないと分からない事だからね」


 そんな甘い事でいいのか? 僕が兵士になる訳じゃないからいいか……


 「明日から王都に向かう事になるからみんなは寝た方がいいよ!」

 「ソティは、どうするの?」

 「僕は、メリスとイシスを連れてから家に戻ります。もう近くに敵兵はいないから大丈夫だからね」


 全員頷いて各家に戻りソティは、転移しメリスとイシスを呼びに戻り2人を連れて家に戻った。




 最後までお読み頂き有難うございます

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