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親を探す旅に出ただけなのになぜ世界を救うことに…?  作者: 黄昏の大陸
第3章 少年編 ~傭兵団の仕事~
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第7話 晩餐会!

 薄暮はくぼと呼ばれる時間帯に4人は、旧族長邸の門の前に到着した。

 西の空を向くと太陽が地平線に沈んでいたが人の姿が分る程度には明るさはあった。

 

 門番に晩餐会への招待状を見せると怪訝けげんそうに確認したのち門を開いて中に通した。

  門をくぐって敷地内に入ると三人の女の子たちがクスクス笑い出しだ。

 「あの門番の人怪しんでいたね!」

 「うん! 一人の男の子に可愛い女の子が3人も同伴しているからね!」

 「羨ましかったんじゃない?」

 「……何言っているんですか! 僕が銀仮面を被っていたからでしょ」


 ソティアスの姿は、黒竜の皮のゆとりのある上下に白竜の皮の外套がいとう履物も黒竜の皮で出来ていた。見た目は魔術師の正装だが素材が普通ではない、全てを揃えるには2億マルテ程掛かる為普通の人に揃えるのは無理だ。

 三人の女の子の姿は、ワンピースタイプの抑え目のドレス姿で。ラピスが薄い青色、ミールが紫色、エストが青色で、青系統で統一されていた。

 いつの間にがソティアスの腰に刀差しているのに気が付きエストが聞いてみた。

 「ねえ! その刀は?」

 「見てみますか?」

 刀を渡し鞘から抜いた瞬間、薄暗かった辺りに明かりが灯ったように明るくなりミールとエストは刀身に焼き入れされた波紋の美しさに言葉がなかなか出で来なかった。

 「「………………」」

 「ソティこの刀は?」

 「綺麗でしょ? 僕も気に入っています」

 「何処で買ったの?」

 「買えませんよ! 特別に作って貰った物ですから」

 「誰に?」

 「僕がお世話になっている村に東から流れてきた刀鍛冶がいるので、素材とお金を渡して作って貰いました。そんなに気にいったのならあげますよ」

 「えっ!? いいの? 貴重な物なんでしょ?」

 「確かに貴重ですね! 金竜銀竜の骨と火廣金ヒヒロカネの金属で打ってもらった一振りです」

 使われている貴重な材料を聞いた3人だけではなく食事会に招待されていた周りで聞いていた人達も驚いた。

 「ソ、ソティ……そんな貴重な刀貰って、本当にいいの?」

 「いいですよ! まだいっぱいありますから」

 ”無限倉庫むげんボックス”から同じ刀を出しミールにも渡した。

 「私にもいいの?」

 「はい、構いません。練習用で沢山打った物ですから……それでも買うとしたら一億マルテくらいすると思います」

 練習用の刀でも構わないと思った2人は、自分がドレスであった事に気がつき装備品収納の指輪に納めてソティアスにお礼を言おうとした際に周りが騒がしいので辺りを見ると大勢の人が4人を羨ましそうに眺めていた。

 「……この刀の名前は?」

 「残念だけど練習用に打った刀だから名前は付けられていない」

 ”無限倉庫むげんボックス”から同じ鞘に納められている一振りの刀を取り出し鞘から抜いて見せた。

 鞘から抜いて空に向けると刀身の波紋が金と銀の2匹の竜となり天高く翔け抜けていった様に見えた。

 集まっていた人々から悲鳴やら歓声やら色々な声が飛び交った・

 刀を鞘に納めると明るかった辺りが暗くなり話をしている最中にすっかり暗くなっていた事に気が付き食事の時間が迫っていた。

 

 「食事の時間が迫っているようですね! 中に入りましょうか?」

 「「「はい!」」」」

 4人が屋敷の中に入ると外のいた人々も入り始めた。

 晩餐会は屋敷の奥にある大部屋に用意されていて立食式で招待客、護衛役合わせて100人ほどが入れる広さがあった。

 大部屋への廊下を歩いでいると此方に気が付いた第四王子グランツが耳打ちしてきた。

 「……この晩餐会で決行します……」

 頷き部屋に入るとソティアスの服装に部屋にいた全員が注目した。

 食事会会場が騒がしくなって暫くするとラピス以外の王女達が入り第一、第二王子、5人の王女、国王が続き最後に晩餐会の主催者のグランツが入り挨拶を始めた。


 「……紳士淑女の皆々様方、今夜はわたくしグランツ・レイノ・イストリアが主催の晩餐会にお集まり頂き誠に有難う御座います。

 お集まり頂いた中にも聞き及んでいる方もおられると思いますが我々に残された場所は、イサーラ村を残すのみとなりました。

 残っていました北と東の領地は、戦わずに降伏し……今現在先陣を切る為にイサーラ村に向ってきています……」

 その言葉に知っていた者も知らなかった者も会場中が騒然となった。

 悲鳴やら怒声やら国王や王子達又は、大将軍の二人に責めよっていた者達が居た。

 タイミングを図っていたグランツが話を進めた。

 「皆様方お静かに! ……しかし、我々はそのまま滅ぼされる積りはありません……。

 我々の強い力となって頂ける方を我が妹……ラピス・レイノ・イストリアが我らが陣営に引き入れてくれました。

 名前を聞いた事がある方もおられると思います。……ご紹介致します……」

 会場中が静まり返っている最中、一人の男がグランツの傍まで歩き皆の方へ振り向くと知っている人達から歓声が上がった。

 「竜を一人で倒す男が団長をしている傭兵団団長竜殺しのシルバー・ペルソーナ殿です」

 「「「「「おおおおおおぉぉおおおおぉおぉお」」」」」

 「グランツ様よりご紹介頂きましたシルバー・ペルソーナです・……よろしく」

 一言で元いた場所に歩き始めた途端に国王の側近の将軍が怒鳴った。

 「貴様! 陛下、殿下方の御前で仮面を外さないとは無礼であろう!」

 「おい、かまわ……」

 グランツが言い終わる前に話に割り込んだ。

 「申し訳ありません……仮面は、竜との戦いに不覚をとり”竜の息吹ブレス”で顔が焼け爛れましてね……仮面を外した方が皆様に失礼に当たると思います」

 「もういい構わぬ! 」

 「ハッ! ……いけ!」

 「はい、失礼します」

 元の位置に戻るのを確認してから挨拶が続いた。

 「……もちろん彼一人が居れは勝てる訳ではありませんが、我々には必中の策がありますのでご心配無用です。

 今夜を最後の晩餐にならないようにしましょう! 明日の戦いに備え英気を養って頂く為に催させて頂きました。

 開催の挨拶はここまでに致しましょう! 今夜だけは諸々の事案を忘れて楽しんでください……では、我が兄であり第一王子カスール・レイノ・イストリアより乾杯の挨拶をお願いしたいと思います」

 

 「皆の者今夜はよく来てくれた。楽しんで行ってくれ……かんぱーい!」

 「「「「「かんぱーい!」」」」」

 

 乾杯の後、シルバーに扮したソティアスの周りに人だかりが出来ていた。

 半分が主人の護衛の為に来た男性、残り半分は出席者の娘が集まって来ていたので隣にいたラピスは面白くなさそうにその光景を見ていたがミールとエストは笑顔で眺めていた。


 共通していた話題は、シルバーとしての武勇伝や身に着けている服装に使われている素材を聞き屋敷の外で刀を見た人は、刀の話を聞いたがっていた。

 「シルバー様の身に着けておられるのは、すべて竜の皮なのですか?」

 「はい、自分で狩った竜の皮を職人に作成して頂いた物です」

 「まあ! 素晴らしいですわ!」

 武勇伝を聞いていた人達から歓声が上がり、聞いていなかった人達は、何事かと興味を持ったが近づいてはこなかった。

 「シルバー殿、腰の刀を拝見させては頂けませんでしょうか?」

 頷いてから腰の刀を渡すと受け取った男性は、周りを確認してから鞘から抜くとそのあまりにも美しい刀身の波紋を見た男性も女性も外にまで聞える歓声が起こった。

 その歓声があまりにも五月蝿かった為が第一王子とその側近が近寄ってきて刀を見た王子が興味を持ったのが後ろを歩いていた側近に目配せすると頷いてから刀を持っていた男に言い放った。

 「その刀をよこせ! 傭兵風情が持つには過ぎたる物だ!  カスール王子殿下が持つのに相応しい献上しろ!」

 「い、いえ……しかし……」

 刀を持っていた男は、困っていたので刀を受け取り側近の男に手渡した。

 「どうぞ」

 「フン!」鼻で笑いながら刀を受け取るとカスール王子に手渡すとカスールは、鞘から抜いて刀を眺めると「俺が持つのに相応しい品物だ!」鞘に納めながら歩き出し側近の男もそれに続いて歩きだした。

 その光景を見ていた人達は、ソティアスの傍から離れていった後で、エストが聞いた。

 「ソティいいの? あの刀渡して?」

 「いいよ……確かにあの王子が持つのに相応しい物だ! 一番最初に打った失敗作の刀はね!」

 「「「えっ!」」」

 「失敗作? なの? 確かに価値の分からない方には相応しい刀ね!」

 4人が刀を取られて笑っているのを見ていた人は驚きながらもその光景を眺めていた。

 

 食事会も終わりに近づいてきた時、あちらこちらから悲鳴が上がった。


 悲鳴のあとに部屋中を眺めると招待客の8割から9割近くの人が意識はあるが体が痺れている様で動く事が出来ずにいた。

 痺れている中には、国王、第一第二王子、第一第二王女とそれぞれの側近、貴族達が動けずにいたが宇コケる者も居たのに気がづきカスールがグランツに問いただした。

 「グランツこれはどういうことだ! なぜお前は動けるんだ!」

 「それはですね……私が仕組んだ事、だからです」

 この事を知らなかった者達はグランツの言葉に驚いていたがカスールだけが怒鳴り返した。

 「貴様もグリフォスの様に反乱を起こすつもりが! それとも其処に居るシルバーと言う傭兵に騙されているのか?」

 「落ち着いてください兄上! 今から説明いたします。ここに居る痺れている貴族達の正体は、グリフォス兄上に送り込まれた者達で此方の内情を逐一報告していました」

 「なっ! 証拠はあるのか?」

 「そうですね……其処に居る陛下の側近が何度がこの村から王都の王宮に入るまで監視していました。貴族達は王宮から戻ってきた際に西にある森の中で密談しているのを確認しています。イサーラ村に居る兵士の中の5百人ほども裏切者です。ここが決戦場になった際に内通する算段になっています」

 「ならば俺達まで動けない様にする必要はないではないが!」

 「……シルバー殿の力をお借りすれば、王都奪還も叶いますがあなた方が居られると邪魔なのです。奪還後あなた方が居られると次は、国民によるクーデターが起きます」

 「! 何故分かる! 国民がクーデターを起こすと……」

 「……心当たりがないと?」

 「ない!」

 「他の方も心当たりありませんか?」

 国王、第二王子、第一第二王女も頷いていた。

 「……兄上方は、村や町に行っては、女を年齢に関係なく襲っては強姦し姉上方は、ご自分より美しいと思った女性を拷問して殺すの繰り返し側近の方は、それを止めなければならない立場なのに一緒になってやっている始末……父上は、兄や姉達の行為の後始末をす為にその家族や親族達が直訴してきた罪のない者達を処刑してきた」

民の心はあなた方から離れているのです」

 側近たちが喚き始めた。

 「わたしたちは、無理やりやらされていたのです。やらなければ殺されていました」

 「脅されて無理やりでも行なって来た行為を消す事は出来ない!」

 四人の王子王女は、自分の母である王妃に助けを求めたが五人の王妃達は口を出す事も助ける事は一切しなかった。

 「母上! 何故助けて下さらないのですか?」

 「無駄ですよ兄上、母上達は納得して下さっておりますので」


 王妃たちは泣き始め第一王子の母でもあるマリー王妃が「ごめんなさい……あなたの育て方を間違えた私の所為でもあります……いえ、あなた方四人の育て方を間違えた私達が悪いのです」と泣きながら語った。

 「いえ、マリー王妃様、育て方が悪かったのは側近達です。現にマリー王妃様に育てられた私達は民に慕われております。グリフォス兄上は、やり方が悪かっただけで行為自体は悪かったとは思いません」

 今まで黙っていた国王が口を開き始めた。

 「わしは、下の者の報告を受けて処刑の許可を出しただけじゃ!」

 「真意を確かめるべきでしたね! 最初は報告を受け許可をしたかもしれませんが途中から賄賂を貰い報告を受ける前に許可を出していましたよね?」

 「ぐぅ! 全部お前が仕組んだ事なのか? そのシルバーと言う男に騙されているのではないのか?」

 「そう思いますか? 確かに色々な情報や助言を貰ったりしました。あと、兄上達に雇われていた暗殺者に襲われていた所を助けて頂きました。もちろんその前から知っている方でした……」

 グランツは、手招きをして傍に呼ぶと国王に挨拶を始めた。

 「……陛下お久しぶりです。五年振りになりますが僕の事をお忘れになられましたか?」

 「・……誰じゃ! 貴様は!」

 仮面を外してその素顔を見せた。

 「五年振りとはいえ酷いですね! 僕の事をお忘れですか? それとも生きているとは思いませんでしたか?」

 「なっ!? 貴様はソティアス……生きておったのか……いや、命だけ取らないでやった恩を忘れたか! 恩知らずめ!」

 「父上! 恩知らずはあなたです。盗賊や竜に襲われたイサーラ村を救いその後で、文字通り命を懸けて王都を救った恩人を敵の虚言に乗ってソティアス殿の全てを奪い下着姿で王都を追い出した結果がグリフォス兄上のクーデターを招いたのですよ! 追い出した後でソティアス殿が死んだと各ギルトへ報告し”おマルテカード”内のお金を奪った。指輪の中身までは奪えなかったみたいですけどね……あなた方のやっている事は盗賊の類と同じなんです」

 グランツは、国王の指に装着されていた指輪を奪いソティアスに渡した。

 指輪の持ち主であるソティアスに反応した指輪の中身の全てを”無限倉庫アイテムボックス”に入れてから指輪の全てを破壊しグランツにお礼を言った。

 「グランツ殿ありがとうございます。他の物はどうでもよかったのですが……イルマ母様だけは、取り返したかったのです」

 「はい、エストさんから聞いておりましたので、機会を伺っていました。少しでも恩をお返ししたかったのでよかったです。それより指輪を破壊して良かったのかい?」

 「指輪の全てを魔術で出来ますし他の方が使える品物ではありませんから……陛下、命を救って頂いた恩をお返ししましょう! 本来ならあなた方の行なって来た行為の全ては、処刑されるべきものなのです……」

 言い切る前にグランツが掌で制止させた。

 「ソティアス殿、私の仕事です……父上あなたには退位して頂き兄上姉上には、王位継承権を剥奪し家名レイノと姓名のイストリアを奪い一市民として国外追放と致します。明日の戦いが終わるまでは、屋敷の地下にて監禁させて頂きます。……紋章師やってくれ!」

 「ハッ!」

 紋章師が返事したあとで、国王と王子王女達の”身分ワァンセェルフカード”を書き換えた。

 「終わりました」

 「よし! 五人を地下に運んでくれ!」

 「「「「「ハッ!」」」」」

 「グランツ! 貴様が次の王になるつもりなのか?」

 「わかりません! 王都奪還後……国民達が許してくれるのなら考えます。父上兄上姉上方暫くゆっくりお休みしていてください」

 五人は、痺れて動かない体を無理やり引きずられる様に運び出された。

 

 部屋から出るのを確認してから貴族の方へ向き話を続けた。

 「次にあなた方の処遇ですが……」

 「どうせ奴隷落ちなんでしょ!」

 「俺達は、王都への送還でしょ!」

 首を左右に振った……グランツの話に貴族、護衛と側近だった者達の全員が驚愕した。

 

 「……残念ながらあなた方を許す事は出来ません……公開処刑とさせていただきます」

 「「「「「なっ!」」」」」

 「そんな馬鹿な話! 理由を言え!」

 「無論です。誰が何の罪かは言いません複数に係わっている方もおられるので、兵士達に裏切りを示唆又は強要、脅しをした罪。罪のない国民に対し暴力や殺した罪。賄賂を払うように強要した罪。難民達を無意味に傷づけ子供達を闇奴隷商人に売り私腹を肥やした。他にもあるがこれくらいでいいでしょ」

 「しょ、証拠はあるのか!」

 「あります……ありますが出す必要は無いでしょう! あなた方のご家族から話を伺っておりますし」

 自分の家族を睨みづけた。

 「まあ、そう睨むのはやめてあげてください。本来ならあなた方の罪の重さにより三親等から五親等まで処刑される所を取引しただけなのです。あなた方だけで家族は許されるのだから喜ぶべきでしょう」

 部屋中に不安や驚き恐怖、怒りや悲しみ等様々な感情が流れていた。

 

 「公開処刑の日時は、明日の早朝とする。明日の朝までここの隣の部屋に監禁させて頂きます」

 日時を聞かされ処刑される者は、落ち込み家族は、悲しみを強めた。 

 「……何故公開処刑なのですか?」

 「……兵士には、裏切るとこうなる事を知らしめる為、公開処刑にしなければ国民達は納得しないし協力してもらえない……難民達の力を借りる為には必要な事なのです」

 「「「「「……」」」」」

 「明日の朝会いましょう! これから一ヵ所行く所がありますので失礼させて頂きます」

 「……グランツ王子、本当に家族に危害は及ばないのでしょうか?」

 「ご安心ください。お約束いたします。爵位もそのままです」

 「……お願い致します」

 「皆様、最後のお別れの時間は、明日の朝取りますので、今夜は近づかないようにして頂きます」

 体が痺れている貴族と護衛達が隣の部屋に移動させられ部屋の中と外、建物の外にも監視を置かれた。

 

 「ソティアス殿、一応終わりましたね!」

 「はい、お疲れ様でしたグランツ殿。この後すぐに難民達に会いに行きましょう!」

 二人が話をしている最中にマリー王妃を先頭に他の王妃王女達が近寄って来た。

 「グランツ殿、私達はこれからどうなるのでしょう?」

 「と、言いますと?」

 「私達は、邪魔になるのではありませんか?」

 「ああ、なるほど……今まで通りで構いませんよ! 最初は、妹達には私が信用している者達へと嫁に行って貰おうと考えていましたがラピスに止められました。姉様達のいない所で勝手に決めていい話ではないと……ソティアス殿を引き入れ役を頼む際に約束させられました。

 ソティアス殿に力を借りる為の条件にも四人以外の王女には手を出さない事と明記されておりますので」

 「なっ! 僕は、他の王女達の王位継承権はそのままで構わないと言っただけです」

 「……同じ事では?」

 2人のやり取りにラピスがクスクス笑いながら近寄って来た。

 「くすくす! ソティもお兄様も細かい事はよろしいではありませんか」

 その言葉で、2人もその通りだと思い笑い合った。

 王女達は、ソティアスの黒髪黒眼の神秘的な姿や笑顔に一目惚れをしたみたいに頬が薄赤く染まっていたのに気がづいたラピスが牽制した。

 「お姉さま方! ソティは駄目ですよ! 私の婚約者ですから」

 「ち、違います! それにあなたとソティアス様の婚約は破棄になったのでしょ?」

 「私とソティの婚約は、お母様が決めてお父様が勝手に破棄したのです。ですよねソティ!」

 目を逸らした。

 「ソティ――――――!」

 「冗談冗談、でも無理やりとは言え破棄は破棄、多額の慰謝料も取られましたし……」

 「! お母様! ソティが酷いです」

 「ソティアス様、それならばもう一度婚約を結べはいいだけの話ですよ! ですよねグランツ殿」

 「ですね! 婚約ではなく結婚したらいいのではないですか?」

 「お兄様! いい考えです」

 「グランツ殿一体何を言っておられるのですか? 僕達はまだ15才になっていないので結婚はできません……ではなく、そんな簡単なものなんですか?」

 「王族の結婚では珍しい事では無いよ!」

 「ソティ! 嫌なんですの?」

 「こ、この話は後にしましょう! グランツ殿早く行きましょう」

 「……わかりました。参りましょう」

 部屋中に誤魔化した雰囲気が流れたがグランツは頷き確認すると二人だけで転移した。

 転移した場所は、昼間に狼人族のイシスと出会った公園だ。

 「夜に来るとさらに酷く感じる場所だね! 見方によっては月の光に照らされて神秘的な雰囲気が有るような無いような……ここにきて何するんだい?」

 「難民達の住む場所を建てでから行った方がいいと思います」

 

 

  公園内に”無限倉庫アイテムボックス”から出した木をあちらこちらに置き最初にいた場所まで戻ると”創造建築クリエイション”をお唱えた。”創造建築クリエイション”は、唱える者が頭の中で思い浮かべた建物が出来上がる魔術で魔力が高い者ほど早く立てる事ができ上級者になると材料が一切無くても出来るようになる。

 唱えてから5分後、思い浮かべた建物ができた。

 公園の敷地内いっぱいに三階建ての長方形の形をした建物が出来上がっていた。

 建物の正面に魔晶石で水飲み場を作り建物内には灯りをともす魔晶石を各階に3カ所に設置し建物を出で南門へ向かう事にした。

 建物を出ると3人の女の子がドレスを着替えて走って此方に向かって来ていた。

 建物から出出来た二人の男を見かけるといきなり怒鳴り散らしてきた。

 「置いて行くなんで酷いじゃない!」

 「そうよ! なんで置いていったの?」

 「ソティ君恥ずかしかったからと言って置いて行くのはよくないと思うよ!」

 その後も暫くぎゃーぎゃーわーわー喚いていたが落ち着くまで反応しないで待っていた。喚き疲れたのが大人しくなったので声を掛けた。

 「早かったね三人共! 家まで戻ってはいない、よね……王女様達の服を借りてきたのか……」

 

 「それで、何故置いて行ったの? 邪魔だから?」

 「それは違う……一緒に来てもやる事が無いからだよ! ここまで来たなら追い返したりしないから来るなら話は後で、とにかく時間が掛かり過ぎているから急ごう!」

 銀仮面を装着してから南門に転移した。

 転移した先には、東西南北の門近くにいた難民達、人族半人族獣人族亜人族の姿があった。

 これほど他種族の人間が一ヵ所に集まり食事をしたり話をしている姿は珍しい、その場に転移しその光景を見た5人は、驚きを隠せないでいたが気がづいたルチルが5人の元へ近寄って来た。

 「遅かったんじゃない? まあ、その遅れのおかげでここに居る多種族同士の親交を深める事が出来たんだけど……そちらの首尾は上手くいきましたか? グランツ様」

 「ああ、上手くいった。こちらも上手くやってくれたようだな……ありがとう」

 「いえいえいえ、グランツ様! 頭を上げてください。我々の仕事では簡単な部位に入りますので、お気にしないでください。……準備は終わらせてあります。話をする際に集めるだけです。話をされますか?」

 頷いたのを確認してから「皆さん! 集まって下さい!」の呼ぶ大声で難民全員が集まって来たのを確認してからソティアスが土魔術で台を作り全員から見えるようにした。

 シルバー・ペルソーナの姿が確認できた狼人族から大歓声やお礼の言葉が飛び交っていたが手で制止しながら銀仮面を外すと静かになった。

 「皆さん! 集まって頂きありがとうございます。食事をしてお腹は膨れましたか? 体は温まりましたか? 怪我のしている方は後ほど治しますのでお待ちください。全ては、此方に居られるお方の命によるものです。ご紹介させて頂きます……イストリア国第四王子グランツ・レイノ・イストリア様です」

 紹介された存在に難民達は驚きと困惑に支配されていた。この空気の中で演説をするには、かなりの勇気が必要だかグランツは気にせず台に上り。

 「皆さん、私がグランツ・レイノ・イストリアです。最初に全員に謝らせて頂きたい。ここより北の大陸から我が国を頼って来られたのに、村に入れる事もせずなんの手を差し伸べる事も無く……さらには、貴族達による奴隷狩りなどが行われ多くの子供達が奴隷に落とされることとなった事に対して私は、助ける事が出来ずにいた! 助けるべき力が無かった……本当に申し訳なかった……」

 王族が難民達に謝罪する姿が信じられずに難民達の中でざわめきが起き騒然となった。

 演説が再開するとまだ静かになった。

 「……だが、今の私には、ここに居る全員を助ける力が出来た。……今現在この瞬間からここに居る全員を難民ではなくイストリア国の国民として受け入れる」

 この言葉により大歓声が起こった。

 暫く待っても歓声が収まらないので手で制した。

 「しかし、知っていると思いますが我が国は現在内乱状態にあります。戦いに敗れると私達は処刑されあなた方は、殺されるが奴隷に落とされることになります。敗戦側の人の奴隷商人に売る行為は不当に当たらないからです」

 先程の大歓声が嘘のように静まり返った。

 「しかし、安心して頂きたい我々は負ける心算つもりはありません。……此方の方のお名前を聞いた事のある人もいるかと思います。竜殺しのシルバー・ペルソーナ、本名は、ソティアス・フォルティス殿、6年前のイサーラ村襲撃の際盗賊と魔獣魔物の連合軍2万弱と”古竜エンシェントドラゴン”と”黒竜ブラックドラゴン”数十匹を倒しその後、王都襲撃の盗賊団を1人で蹴散らした英雄が我が軍に力を貸して頂けます」

 ソティアスのシルバーの名前を知っている者達から歓声が戻った。

 「そこで、あなた方にお願いがあります。戦争が嫌で逃れてきたことは知っています。なので、殺し合いをしてくださいとは言いません。後方での支援、主に食料の配給や怪我人の手当て等をお願いしたいと思っています。

 兵士になってもいいと言う方の希望も受け付けます。

 王都を奪還した場合、多くの貴族が居なくなるので、功績により貴族に取り立てる事をここに約束する。

 不当に奴隷に落とされたあなた方の子供達や同胞達を1人でも多く見つけ出し返す事も約束する。

 最後に……明日未明からここは戦場になりますので、全員が入れる建物を用意したので今から其方へ移ってください。

 最後まで私の話を聞いてくれてありがとう」

 話が終わると大歓声と拍手がその場を支配した。台から降りて暫くしてもぜんぜん収まる気配が無いので、ルチルが台に上り両手で制止静かにするように怒鳴ってやっと収まった。

 「此れから建物に案内するので私に着いて来てください」

 ラピスに続いて歩く人々が居た中に5人だけその場に残っていた。

 

 「ねえ! 私達はいかないの?」

 「まだやる事が残っているから終わったらいくよ!」

 そう言ってから探知魔術を唱え村の外に人が居ないのを確認してから”鉄壁フェールウォール”を唱えた……すると村の壁から15メートル先に10メートルの高さの鉄の壁が村を囲う様に一分ほどで出来上がった。魔術を唱えた本人以外の4人が何が起きたのが分らずに唖然としていた。

 「……ソ、ソティ、君!? 一体何をしたの?」

 「何って! 土魔術の”土壁アースウォール”に鉄を合わせて”鉄壁フェールウォール”を創造して作っただけです」

 「……簡単に言っているけど……誰でも出来る物なの?」

 「出来ると思います、あ!」

 「……何の、あ! なの?」

 「詠唱ができれば! の、あ! です。僕は詠唱を唱えた事が無いのでわかりません。誰が唱え方を考えないですかね!?」

 「無理だと思うよ! そんな見た事も聞いた事も無い魔術、出来たとしても10、20年は掛かると思うよ!」

 呆れながら歩き始め皆がいる新しく建てた建物に向かった。

 明日の戦いの事をそれぞれ心の中で思い浮かべ月の光に照らされて5人は歩いていた。特にラピスの金髪に見る角度により青、紫、藍色に見える瞳がとても美しく神秘的でソティアスは見惚れてしまってた。それに気が付いたラピスの顔が薄赤くなってしまった。

 「どうしたのソティ! 私の顔をじっと見て、顔に何が付いてる?」

 「えっ! あっ! いえ、あの……月に照らされたラピスが……とても美しかったので……」

 それを聞いて顔が真っ赤になってしまった。2人を傍から見ていた残りの3人の顔も赤面してしまっていた。暑い夜がさらに暑くなってしまった夜だった。

 それ以降喋る事ができなくなり建物に着くまで5人は、赤面し沈黙が続いた。

 「ソティが柄にもない事を言うから……聞いていたこっちが恥ずかしくなったじゃない!」

 「ご、ごめん! ラピスもゴメン!」

 「ううん、いきなりで吃驚びっくりしたけど……嬉しかった……」

 赤面している5人にルチルが気が付き走って来た。

 「どうしたの皆! 顔赤いけどそんなに暑い?」

 「……何でもないよ……怪我人を集めて置いてくれた?」

 「? うん、1階の手前の方に……狼人族の様に重傷人はいないから」

 ソティアスとルチルの二人が中に入りグランツが館に戻るのでミールとエストが護衛に着いてする事の無かったラピスも付いて行った。

 怪我人は、軽傷の者ばかりで、全員”治癒ヒール”で治った。

 「朝まで、ゆっくり休んでください。……ルチル後お願いします」

 外に出ると3人の女の子が戻ってきていたので、4人で転移し家に戻った。


 戻った時間が遅かった為がメリスとイシスは、寝ていた。

 4人もそれぞれの部屋に戻り寝る事にした。

 


 

   

 

  

 

 

 

 

 

 

 

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