第11話 父リキドの仮病?
コンコン
「……うーん」
「コンコン……ソティアス様、朝早くに申し訳ありません……よろしいですか?」
「マナさんですか? どうぞ……!?」
「ソティアス様、実は、妹のサナの姿が見当たらないのですか」
「……サナさんですか?」
「はい」
「……えーと……僕の隣で寝ているみたい……です」
「……ソティアス様……まさか」
「い、いえ! 僕は知らないです」
「すみません冗談です。昨夜ソテイアス様は、誰よりも早く部屋に戻りましたから……おそらくサナが潜り込んだんでしょう」
「何故そんな事を……」
「おそらく……ソティアス様の傍なら安心だと思ったんでしょう」
「安心って……サナさんとマナさんは、同じ部屋ですよね」
「はい」
「姉よりも僕の方が安心と思ったんですか?」
「……私は、サナが大変な時……死に掛けた時に助ける事が出来ませんでしたがソティアス様は、無関係で奴隷である妹を……助けても何の得にならないサナの命を救ってくれました」
「……」
「此れで安心できない女の子は……いません」
「命の恩人かもしれませんが……体力が回復したら学校で勉強しながら働いてもらわないといけません」
「勉強もさせて頂けるのですか?」
「2年後、此処に残るにしても出て行くにしても知識は必要ですから……マナさんも時間のある時は勉強して下さい」
「はい、有難う御座います」
「サナさんは、此の侭寝かせて置いて朝市に行きましょうか?」
「……!? えーと、ソティアス様も行かれるのですか?」
「今日は、初日ですから僕とメイドさん全員で行きましょう」
「はい」
「他の3人を起こして来て下さい……玄関前に集合しましょう」
「分かりました」
ソティアスは、マナに他のメイドさん3人を起こしに行ってもらい、サナをそのままに玄関に向かった。玄関に着いたソティアスだったが食堂に人の気配があったので見に行くと父リキドが寝ていた。
「……!? 父様……父様、こんな所で寝ると風邪引きますよ」
「ハ、ハ、ハークション!!! うーん!? ソティおはよう」
「風邪……引いたみたいですね」
「ソティ……頭が痛い」
「はいはい、”軽病治療”……どうですか?」
「まだ……気持ち悪い」
「二日酔いみたいですね。酒の毒も抜きますか?」
「ウプッ! たのむ」
「”解毒”……治りましたか?」
「……まだ頭が痛い」
「これ以上は無理ですね……寝不足じゃないですか?」
「最近、公務が忙しくてな……碌に寝ていない」
「朝食まで寝ていて下さい」
「ああ、部屋は?」
「二つ隣の部屋に布団を引いてあります」
「分かった。寝ているから……頼む」
ソティアスは、父リキドを部屋に寝かせてから玄関に向かうと四人のメイド服を着た女の子が待っていた。
「「「ソティアス様、おはようございます」」」
「おはようございます……早速行きますか?」
「「「「はい」」」」
「ソティアス様が作られるのですか?」
「手伝ってもらうけどね……慣れてきたら四人でお願いします」
「「「「はい」」」」
「今朝のメニューは何ですか?」
「ソーセージと野菜のホットドックとたまごスープとミルクにしようかと」
「結構、贅沢ですよね」
「そうですか? 村にいた時は当たり前の朝食でしたよ」
「一家族でしたら普通かもしれませんが……ソティアス様の所のような大人数で差別なく同じメニューでは贅沢かと思いまして」
「成程……必要以上の贅沢は困りますが、皆の栄養などを考えると最低限此れくらいは構いません」
「かなりの”お金カード”が掛かると思います」
「今の所は心配する必要はありません」
「はい」
「昼からは四人で買い物をお願いします。後で全員の”アルジャンカード(マルテカード)”に入力しますので支払いもお願いします」
「私達に”お金”をお預けになるのですか?」
「何がおかしいですか?」
「いえ……奴隷にお金を預けるなんで聞いた事がありませんから」
「昨日言ったと思いますが、僕は奴隷扱いしないと」
メイドの四人は、ソティアスの言葉に本当に驚いていた。
市場に着きソーセージ、野菜、卵、ミルクを人数分買い家に戻り厨房に入るとソティアスとメイドの四人で、ソーセージドックと野菜ドックを各一つずつとたまごスープ、ミルクを食堂に並べて全員を呼んでくるように頼むとソティアスは、父リキドを呼びに行った。
「父様、朝食の準備が出来ました。起きて下さい」
「頭痛いからもう少し寝てるからいい」
「大丈夫ですか? 起きて王宮に行かないと駄目ではないのですか?」
「今日は、休む」
「何を言っているのですか」
「ソティ……王宮に行って休む事を言って来てくれ」
「……何を企んでいるのですか?」
「……別に何も企んでいない」
「本当ですか?」
「あぁ」
「……分かりました。朝食後に王宮へ行ってきます」
「頼む」
「朝食はどうしますか?」
「後で頂く
食堂に戻ると全員が席に着いてソティアスを待っていた。
「別に僕を待っている必要は無いですよ?」
「そう言う訳にはいきません」
「そうですか? 僕のいない時は食べて下さいよ?」
「はい」
皆で朝食を食べた後、今日の予定を話した。
「技術者の四人は、暫く魔獣魔物の解体をお願いします。人語の読み書きの出来ない人は読み書きを習って下さい。メリス通訳をお願いします。人語の読み書きが出来る人は、算術を習って下さい。メイドさんの四人は、家と学校の掃除と昼食の準備をお願いします。午後は晩御飯の準備までは自由にして下さい。休憩してもいいですし学校で勉強でもいいです」
「「「「「はい」」」」」
「ソティ、私と姉さんは?」
「午前中は剣術が魔術の自主練をお願いします」
「ソティは?」
「僕は、王宮へ行ってきます」
「王宮に? 何故?」
「父様の用事で行って来ます」
「父さんの用事?」
「はい、父様が休むと言いに……何が企んでいると思います」
「……何故そう思うの?」
「父様、明らかに仮病です。治療魔術で治っているのに頭が痛いと言っていますし……態度がおかしいと言いますが昨日から少し違和感があります」
「違和感? 久しぶりに会ったからじゃないの?」
「昨日から宮廷魔術師と何度か言っていました。今まで一度も要った事無いのにです」
「うん、それは少し変かも」
「私達も行こうか?」
「いいえ……おそらく面倒な事になると思いますので一人で行きます」
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
ソティアスは、今日の予定を話した後、片付け等を頼んでから家を後にし王宮へ向かった。




