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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す!  作者: ふりがな
第7章 行き交う者、理想郷を繋げる道標
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第95話 自由に振舞う獣と切迫する人種

うーむ、あれから3度目のゴブリン戦を経験した私。


というか、高等知性体なのに異常に争いが多くないか?

戦闘で倒れたゴブリンは塵となって消えている。


惨殺死体とかが残ったりはしないらしい。

もう何故かは分かっている。


この道のせいだった。

ここは異郷の道であり、様々な世界が繋がっている。


そして、ここを歩める者に死はない。

倒れても、魂は帰る場所を知っている。


放っておくと武装などを遺して、身体は出身世界へと帰っていくのだ。


もしかしなくても、この道でゴブリン戦が多いのは、

武器の性能テストでもしているのかもしれない。


初めは手を貸してくれていた天明さんとアテナさんだったが、

最後は私一人で対処した。


こいつら、地球より文明人なのに盗賊のように襲いかかってくる。


まあ、他にも獣を狩っている姿をよく見るが。


この道では倒したところで、出身世界に戻るだけ。

素材や肉など手に入らないのではないかな。


そして、4度目になりどうしてこんなに襲撃が多いのか?

その理由を聞いて見たのだが、


アテナさんの答えはシンプルだった。


「うーむ、それは簡単な理由だぞ。

 ゴブリン一族は他の旅人のように殊更に力があるわけではない。

 技術は目を見張るものがあるが、個人戦では他に劣るのだ。

 あと他の人種族でもこの道で戦闘になることは多い。」


「問題なのは持久力なんだ。」


その先を引き継いで、天明さんの解説が入る。


「元々、個の力が優れる人種族は少ないんです。

 世界を代表するような英雄や神々などでない限り、

 この道での滞在時間には限りがあります。」


「この道を進むことは、絶え間ない変化を身体に齎します。

 出身世界の近くを進むだけなら大丈夫ですが、

 遠くなるに連れ、変化を許容するだけの精神性や力が必要になります。

 それは対象によっては修行のようなものなんです。」


「体力的な疲労だけではなく、精神的疲労が積もり始めると、

 人種族のような存在はストレス的なものを貯め込みます。

 疲れてきた時に休めず、問題が発生すると、

 対処が荒っぽくなりがちですよね。

 術などが発展していると違うのですが、

 ゴブリン種族ではその手の行動は見られません。」


「そして彼らは有名ではありますが、この辺の出身ではないのです。」


アテナさんもそれに同意して、


「この道で余裕があるのは獣のほうなんだ。

 彼らは暴れることを目的としたり、逆に移動するためだったり、

 その理由は様々だが、比較的に自由に行動できる。」


「獣からの進化体は自然にこの道に入れるようになる。

 だからこそ、この道に入っても自我に影響は出ない。

 ただし、人種族はそうでもない。」


「まだ力不足でも科学や術、先人の知恵などにより、

 この道へ入り込むことができる。

 しかし、その代わりにここで過ごすための耐性が完全ではない。

 まあ、見れば分かる通り、

 ここで戦闘が多いのは、限界近くこの道を進んだため、

 理性に余裕がなくなったためとかだな。」


と言ってくる。


しかし、こんなに他の種族を襲っていて大丈夫なのだろうか?


「大丈夫ではないな。

 ただ、明らかに強い個体を狙うわけではない。

 ここでは実力がモノを言う。

 七果もかなり余裕が出てきただろう?

 そして、彼らもまた修行中なんだ。」


「死にはしないからこそ、お互いを高め合う関係だな。

 良く考えれば分かるが、彼らの技術力で地球を襲われれば、

 相当なことになるだろう。

 しかし、それはない。

 ここではお互い様なのだ。」


あああ___


そう言えば、天使も超える高度文明人だったか!


ふふ、と笑いながら、天明さんは、


「忘れてましたかぁ__

 ここではあちらが不利ですが、

 地球に戻ったら超科学なんかで文字通り消し炭にされますよぉ。

 でも、彼らにとっても貴重な経験ですから、

 恨まれたりしませんよぉ。

 そういうところが高度文明人なんですよ。」


「ただし、獣の中には執着して襲ってきたりしますからね。

 油断は禁物ですよぉ。」


うん?

ゴブリンたちが狩っているのはどうなのかな?


「あれも経験を集めているんでしょうねぇ。

 まあ対処できない相手を襲ってはいませんよぉ。

 それこそ、武装のテストか何かなのでは?」


そんな事を言っていると、再びの襲撃に出会うことに。


ううん、それにしても襲撃頻度が多すぎる。


何か早急に実力を上げなければいけない事情でもあるのだろうか?


すると、心を読んだようにアテナさんがある事を伝えてきた。


「アレではないのか?

 確か都行きの塔攻略に戦力を集めているそうだぞ。

 私のところにも連絡があったからな。」


うん?

ああ、ロキ達か!


天明さんも、


「あれって念話でずっと勧誘してきてますけど、

 本当に決行するんでしょうか?」


ううん?

念話?


「はあ、まだ知り合いは少ないからな、七果は。

 術系の携帯電話のようなものだ。

 便利だが、使えてもいいことはないぞ。」


アテナさんは歯切れ悪く解説してくれた。


「集え英雄よ!

 オーディン様の名の元にって。

 そんな誘いだ。」


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