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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す!  作者: ふりがな
第6章 翼持つ舟からの招待状
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第91話 天を征く箱舟

いつもお読みいただき、本当に有難うございます。ただいま色々なストーリーが同時進行中ですが、設定はともかくお話にするのは難しいです、、

今はまだ早朝、朝霧が出て周りを覆っている。


全体像は分からないが、神社に続く石段を登っていくと、

スーツ姿のもう一人のラファエルさんが待っていた。


今回はサリエルたち天使な外国人の姿はなく、彼一人だった。


「よう、早いな。」

私達を連れてきたワイルドなラファエルさんが挨拶をする。


「皆さん、おはよう。

 今日は協力に応じてくれて有難う。」


そう返事を返してくる紳士なラファエルさん。


正直、雰囲気は違うのだが、同じ顔で同じ存在らしい彼らを、

説明するのは難しい。


「では、皆さん着いて来て欲しい。」


と私達に告げて、

ここまで付き添ってくれたワイルドなラファエルさんに、


「外を頼む。」


と一言声を掛ける。


そして、私達を先導する紳士なラファエルさん。


うむ、名前を何故変えないのか?


本人たちは分かっているのだろうが、

私達には分かりにくいことこの上ない。


さて、神社の中へ。


鳥居を潜った私達を出迎えたのは、

一人の若い男性と気品の漂う二十代半ばだと思われる女性だった。


驚いたのは、二人とも武装していることだ。


「こんな姿で出迎える非礼に対し謝ろう。

 だが、何分、この会談は慎重を要する議題が含まれる。

 私達としても警戒が必要なのだ。」


そういう男性は大太刀を腰につけ、その身体は鎧を纏っている。

また女性のほうも大きな和弓を手に持ち、所々に防具を着けている。


「私の名は建速須佐之男命。

 以後、見知りおきを。」


そう言って、話の主導権を女性に譲ろうと、

少しその身を後ろに下げる。


前に出ることになった女性が、口を開く。


「ようこそ、皆さん。

 わたしの名は天照。

 この名を知っている者もいるでしょう。」


「早速ですが、貴方がラファエル殿でいいのかな?」


と聞いてくる。


ううん、天照かあ。

交渉相手って、今度は日本の神様だったのかあ。

あっちはスサノオさんかあ。


その名を聞いて、ちょっと呆けている私だったが、

ラファエルさんは構わず話を続ける。


「そうです。私はラファエル。

 天照殿、私達の要請にお答えいただき感謝します。」


その言葉と共に私達の自己紹介もしてくれるラファエルさん。


そして、会談が始まる。


「それで私達の望む舟について、お答えいただけるでしょうか?」


そう単刀直入に切り出す彼。


その問いに対し、


「貴方達が求めている舟については、今この地にあります。

 ただ、受け渡しには条件があります。」


ううん?

何か事情があるのだろうか?

そもそも会談って双方の腹の探り合いになる場合が多い。


より有利な条件を得るため、情報は小出しにするものだが。


これでは会談というより、何か緊急の現場での情報交換のようだ。


天照を名乗る女性は、更に言葉を続ける。


「貴方達の事情は先の接触で分かりました。

 ただそれに当たり、わたし達の要望も聞いてもらいたい。

 貴方達の目指す地にある遺跡の解放のため力を借りたい。」


ラファエルさんは、


「それは重要なのですか?」


と聞き返すが、女性は、


「とても」


そう簡潔に答える。


「そうですか。

 力をお貸ししたいが、私達もあの地では十全に力を振るえません。

 少しの猶予をいただきたいのですが?」


ラファエルさんの答えに、女性は頷く。


「それで構わないよ。

 準備が整ったら知らせてほしい。」


「交渉は成立かな?」


その言葉に握手を求めるラファエルさん。


「ええ、私達も同じ思いですからね。」


握手を戸惑いながら受ける女性。


その目がこちらを向いた。


「ふうん、継承者は貴女かな?

 少し会ってもらいたい者がいるんだ。」


そう言って、下がっていた男性に合図を送る。


そうすると、境内奥から妙齢の女性二人が現れる。


20代くらいの女性と10代後半に見える少女。

姉妹だろうか?


「ああ、壱与!」と感極まったかのように、

声をあげる女性。


しかし、それを抑えるように前に立つ少女。


「違う!」


そんな鋭い少女の声が響く。


すると、天照を名乗る女性が柔らかに声を掛ける。


「卑弥呼さん、彼女が説明した継承者です。

 貴女の妹さんは今、かの地で待っています。

 改めてわたし達に協力してもらえますか?」


「ああ、そう。

 貴女が受け継いでくれた方なのですね。

 貴女のお蔭で妹は定めから解放されました。

 どうかお礼を言わせてください。」


??

訳の分からない私だったが、とりあえず頷くことにした。

しかし、何か既視感のある女性だな?


「姉上、そろそろだ。」


と声を掛けるスサノオさん。


天照の名を持つ女性は、ラファエルさんを奥へと誘おうとする。


だが、そこに鳥居の前で見張りをしていた、

もう一人のラファエルさんがこちらに向かって警告の声を発した。


「まずい、来たぞ!」


”主への反逆者を確認”

”現地を封鎖完了”

”反乱勢力の鎮圧行動を開始”


覚えのある頭に直接響く声。


その声の意味を私達が理解する前に、

光を放つ巨人が5体、神社を取り囲むように降臨した。


その巨人の姿は今まで遭遇した存在の中でも異質だった。


その体躯は5メートルくらい。

だが巨人というには胴体がないのだ。


2メートルを超える輝く光の球を中心に、

ローブのようなものを羽織っている姿。


手と足の部分には装具を纏っている。

その手に幾何学的な長い杖を構えるが、

ローブの中に光球以外は何も見えない。


まるで、姿なき巨人が装具を身に纏い、

その心臓が光球のように輝いているようだ。


この地を囲んだその異形の巨人が何者なのか?

二人のラファエルは知っていた。


かつて、彼らの移民船と護衛艦に致命的打撃を与え、

地球の文明をリセットした来訪者の先兵たち。


正に今、その力が再び振るわれようとしていた。

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