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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す!  作者: ふりがな
第6章 翼持つ舟からの招待状
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第88話 二人のラファエル その1

霊的災害対応室の関場さんと会い、

政府の妖異対策要員としての登録をすることになった私達。


これについては選択の余地がなかった。


彼らは政府の人間であり、その方面では特殊な権限があるようだ。


日本は民主主義を尊び、基本的人権などの保護があるはずだが、

彼らの提示した招集条件は、正に緊急事態での出動である。


国として国民の安全のためなら、

ある程度の協力要請を押し通せるらしい。


ちなみに、協力したからと言って、

私達に捜査権とかが付与されるわけではない。


あくまで私達は緊急事態下における民間の協力者という立ち位置だ。


何が違うのか?


例えば、今回、大津市に入る前、色々な事があった。


規制線があったり、その為に車を遠回りさせたり。


そういう警察などにより現場入りが出来ない場合でも、

協力者として登録しておけば、

優遇措置として見逃してもらえるらしい


更に言うなら、京都の事件がしばらく前にあったが、

ああいう事件でも正当な理由があるならば、警察の捜査から外される。


そう言えば、あの竜などが出た事件も、

停電や家屋の損壊があったが、一時期の騒ぎで終わっている。


当時、不思議ではあった。

そして、今回の件もどうやら何かの情報操作があったりするらしい。


最初の炎を放つ蛇についての画像とそれに立ち向かう有志連合。


そんな論調で初めは議論されていたテレビやネットの情報だったが、

今は多数のあり得ない映像が、動画サイトに溢れている。


あの場で撮影できたのは、

地元を中心に活動しているローカルテレビ局と自衛隊、

そして、警察関連の人だけだった。


もちろん、有志連合の人が撮影しているかもしれないが、

それにしては撮影角度などがおかしい。


あり得ない角度や距離感の様々な画像がネットに流されている。


多くの映像が、有志連合の活躍を讃えている。

しかし、一方でその大量の情報が事件への興味を失わせているようだ。


あの時、あの場にいた私達は知っているし、

疑いようがない事実だと断言できる。


だが、反対に大量に流される一連の動画や画像によって、

あの場を知らない一般の人に何かの印象操作が行われている気がする。


本物の映像なのか?

そんな疑問を持たせるのが目的なのではないか?


普通ではないことが起こったし、証拠となる映像もある。

しかし、その事実は皆が証言できるわけではない。


大多数の人は今回の件について、初めの衝撃的映像を見て知った。

その後、垂れ流される多数の映像。


人はどの映像も本物だと思って見ているが、

映像の幾つかに偽情報を見つけたら?


今の風潮ならその興奮が反転して疑惑へと変わるかもしれない。

もともと、それが目的でこんな事が行われているのかも。


ラファエルさんが指定したメルカバール・カンパニー日本支社に、

向かっている私達。


タクシーの中で、私はスマホで動画サイトを開いている。


今回の一連の事件に関する動画が所狭しと並んでいるが、

一応に再生回数が伸びていない。


粗製乱立された画像と一見本物らしい映像、そして都市伝説。

人の関心を意図的に失わせようとしている感じがする。


天明さんとアテナさんにも相談したが、

二人ともそれに関して、情報操作は必要と言う結論を出した。


対抗策が今だ確立していないのだから、

秘密も時には必要と言うことだ。


はあ、確かに私も以前ならすぐに興味を失っただろう。


その出来事が生活に直結するわけではないし、

否が応でも、日常というのはやってくる。


私達は東京でも有数のオフィスビルが立ち並ぶ六本木の一角に、

辿り着いた。


その建物は、他に劣らぬ高層ビルだった。

まあ、ここは東京だ、高層ビルなど珍しくもないかもしれない。


しかし、このビルは一際異彩を放っている。


何がって?


ビル全体に映画や俳優のポスターが華々しく、

飾られているのだ。


ここはオフィスビル街のはずだが、

その高層階を生かし、壁面を使って様々な映画作品を紹介している。


改めて、ラファエルさんの指示した場所を確認する。


メルカバール・カンパニー。

欧米で映画製作や様々なドラマに出資しているらしい。


この日本支社は、動画配信事業を展開したり、

最新のゲーム作品をも手掛けている。


うん、もしかして私達の勤める企業のライバルに当たるのでは?


同じくビルを見上げている天明さんとアテナさんの顔を見て、

私は溜息を付いた。


遂に神様たちにも日本のオタク文化が伝わってしまったのか!と。

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