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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す!  作者: ふりがな
第6章 翼持つ舟からの招待状
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第86話 古代史

昨日、名古屋市から帰ってきた私だったが、

小野寺所長にあちらで起きた事について報告した。


オリンさんとその子供についても説明した。

今彼女たちは、私のように寮を手配されている。

何でも彼女の古代の知識が参考になりそうということだ。


所長は研究員の無事を喜び、異郷の道という発見に驚いていた。


またオリンさんという明らかな異種族について、

とても関心を示していた。


もしかして、マッドな研究者のように、

人体実験的なことも言い出すかとも思ったのだが、

意外にそんなことはなかった。


この研究所は古代史や失われた記録などの研究がメインである。

実際、遺跡や遺構に調査研究チームを向かわせている。


しかし、生物学とかは研究していない。


オリンさんへの興味はどうも未解明の文献とかについて、

または、オリンさんが知るこの地球の歴史についての見解とか、

そんな知識面を知れればということらしい。


うん、この話について、私は不思議に思っている。


前から思っていたが、私の身を含めて色々な不思議に遭遇している。


以前の私だったら、絶対信じないようなことが普段の事のように、

この数か月起こり続けている。


骸骨の兵士など、この間の騒ぎでも出てきたが、

新たな学問が誕生しそうな勢いの不思議だと思うのだ。


まあ、皆、消え去ったわけだが、

色々な議論が繰り広げられてもいいはずだ。


祝勝会や復興企画はあっても、ああいう存在の脅威について、

不思議なほどに話題になっていない。


あの巨大で驚異的な蛇についてさえ、一時的に騒がれたに過ぎない。


何故?


確かに法律上の議論は難しいが、

市民生活を明確に脅かしたのだから、もっと騒がれていいはずだ。


今で言うと目と鼻の先に異種族であるオリンさんがいるわけだ。


今まで私は人間以外の知的生命体など知らなかった。

そんなのを信じたこともない。


だが、真面目に彼女らは宇宙人以上に不思議な存在だ。

何せ宇宙などより広大な異世界を渡り歩く存在なのだ。


私は所長にそこのところを聞いてみた。

天明さんやアテナさんは恐らくそこのところに疑問を持たないだろう。


しかし、小野寺所長は違うはずだ。

私も性別が変わったりしたし、この研究所の奥では霊的な物体の研究も、

行われている。


本当のところ、どうなのだろう。


きっと天明さん達がいたら、本当のところは分からないだろう。


すると、


「ううむ、そうだな、七果君の言うことも分かる。

 ただね、そういう存在については、

 もう知られているのだよ。」


という答えが返ってくる。


はあっ!

そんな馬鹿な。

三枝木さんのところではそんなことは言っていなかった。


今更だが、困惑する私に所長は続ける。


「もともとね、暗黙の了解としてそういうのは取り上げないことに、

 なっているんだよ。

 本来知られている歴史とは違う未知の存在達の痕跡。

 だがね、その痕跡を認識できる者とできない者がいるんだよ。

 なので、遺跡調査には相応の特殊な専門家が入る。

 ただ、まったく関係ないと思われる遺跡でも、

 事故は起こり得ることではある。

 そういうところで情報の格差が存在することは認めよう。

 しかしね、一般的に知られているような霊的能力とは

 関係が無いんだ。」


「君が見てきたように、あれらの存在は人間の霊ではないんだ。

 今のところ、亡くなった人間による霊現象は確認されていない。

 その理由も明らかになっているんだ。」


「そうだね、君は右藤和尚を知っているね。

 そして、天使の存在も知っている。

 宗教としての仏教などは人に対する教えを伝えている。

 だが、彼らは別でね。

 彼らは、本来この世界で認知されていない怪物たちを相手にするために

 組織された団体に所属している。」


「私達研究者も全ては知らされていないものの、

 古代史研究において、彼らの存在は切っても切り離せない。

 生きた遺物による事故や妖に出会う機会の多い、

 研究者を助けてくれるのが、彼らなのだよ。」


「彼らは私達が認識していないモノを持っている。

 実際、君が使っていた金剛などの目撃者はいる。

 ある意味、エネルギー体なので相対する者によっては、

 姿が見える時もあるんだ。

 衝突時とかにね。

 ぶつかり合うその時に、エネルギーが発せられるんだろうね。」


「この研究所の奥にある刀剣類も、

 同じような原理で観測しているのだよ。」


「君の言う本社のロボットも同じようなものを応用しているはずだ。

 研究成果については共有されているからね。」


「しかしね、今の科学技術では起こる現象に対応できないのだ。」


「遺跡などなら立ち入り禁止にすればいい。

 しかし、妖などの高等知性体が起こす事件事故には、

 通常では対処できない。」


「私達も研究は続けている。

 だがね、その研究もある段階から進まないのだよ。

 古代、色々な異なる世界からの訪問者がいた。

 それは、もう分かっている。

 今だこの星に残っている天使たちが認めている。

 彼ら自身は異世界からの訪問者ではなく、

 この宇宙の違う恒星系から来たそうだ。

 まあ彼らこそが異星人と言えるかもしれないね。

 彼らと人類は手を取り合って、今までやってきた。

 しかし、その力も限界が近い。」


「だからこそ、私達は古代史を研究している。

 その昔、この地では異世界からの訪問者に対処する何らかの方法が、

 確立されていたはずだ。

 そこには、天使たちも同意している。

 だがね、いつの間にかその関連の技術体系が失われてしまった。

 今回活躍したタロスや金剛のような技術は太古の昔に確立され、

 今は失伝したものだ。

 確かに日本にもその技はあったはずなのだよ。

 むしろ、日本の天皇制から見て、失伝したのは外国と比べても、

 つい最近のはずなのだよ。

 そう2000年から3000年ほどの間で確立され、

 もしかしたら戦国時代まではまだあったかもしれないのだ。

 私達はその体系そのものを再び確立しようとしているのだよ。

 成功すれば、公に発表したしても私達で対処できるものとなる。」


「今、公にしても対処方法は限られ、皆に行き届くことはない。

 残念だが、今対処できるのは政府の組織である霊的災害対応室だけだ。

 日本では、だがね。」


はあ、もしかして法律だけの問題じゃないのかもしれない。

今の話では、霊的災害対応室なる組織が日本で唯一対応できるらしい。


所長がこう言うということは、

それなりの権限がある人は知っていることらしい。


こんな事一般に知られたら騒ぎになりそうだが、

対応できる機関が唯一コレだけだと反対に絶望的すぎて広められない。


あの警察署で言われた「こういう事件では泣き寝入り」の意味が、

分かった感じだ。


「まあ、君らは霊的災害対応室から呼ばれているからね。

 たぶんだが、あのロボ関係じゃないよ。

 あれほどの事件だったけど、色々出てきただろう?

 まだまだ本気じゃないよ、彼らは。

 伊達に人類の護り手を自称していないよ。」


と最後に所長のお言葉をいただいた。

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