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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す!  作者: ふりがな
第5章 信じるは絆、太陽が昇る時
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第73話 霧に包まれる太陽

滋賀県側から京都に入った私達は、

昨日の内に研究所の社員寮へと帰りついた。


大津の規制線は既に解かれていた。

まあ、卑弥呼の軍団が岐阜市へと接近していたので、

一時的に、ここの人員もそちらへと回されていた。


朝のニュースでは、

滋賀と岐阜で起きた出来事が大きく取り上げられている。


昨日は小野寺所長への報告もしていた。


今回は所長も深く関わっているので、

事の顛末を知りたがるのは当然だった。


というか、所長は大津で別れたのだが、

警察への事情説明に色々難航したらしい。


実は、駅前の出来事を目撃していた人がいたのだ。


その人は、大津市の警察官だった。

当たり前だが、犯人グループがいると思われる駅前を、

警察が偵察しないわけがなかった。


目撃者はその人だけだったものの説明は難儀したらしい。


古代装束の犯人と刀を持った少女の人知を超えた戦い。

そんな出来事を説明できるわけがない。


実際、警察のほうも目撃した警官の報告を信用していなかった。


しかし、その後の犯行声明やら岐阜市への侵攻など、

異常事態の発生にその報告の信憑性が増してきた。


小野寺所長は、私達を送り出した後、

帰宅したのだが、翌朝再び呼び出されたらしい。


しかし、戦った私達は名古屋へ向かって出発した後だった。


昨日は警察の詰問に対し、のらりくらりとはぐらかしていたそうだ。


幸いかどうかは分からないが、

テレビのニュースで話題になっているのは、

有志連合の人達と謎のロボであるタロスだった。


ただ、私達が映った動画も一部流れていた。


ネットでは、都市伝説のように噂されている。


曰く、宇宙人が謎の怪異に対処するため、降り立ったとか、

日本に謎の政府組織があり、その由来は陰陽師から受け継がれているとか。


卑弥呼の軍団の中に妖などがいたから、タロスの正体は式神だったとか、

かなり盛られて噂が広がっている。


うん、女王卑弥呼が前面に立っていた為、純和風な都市伝説になっている。

事実は和洋折衷なのだが。


さて、今日は天明さんご推薦の和菓子屋に行ったあと、

久しぶりに大阪に繰り出す予定になっている。


何の用で?

うん、美味しいお肉を堪能するためだ。


今回、大変だった、それを前面に掲げ主張した天明さんは、

小野寺所長から休暇と臨時ボーナスを勝ち取ったのだ。


どうか、今日のお会計が予算内で済みますように!


まだこの身体になる前の出来事が、

ひしひしと思い出される今日この頃だ。


ーーーーー


東京、二人の女性がある場所を訪れていた。


その場所は大都市部とは思えないような森林に恵まれた、

山間部だった。


一人は20代で、もう一人は10台後半であろう女性。

名古屋の決戦から避難してきたあの姉妹?である。


二人はここまで、電車とバスを利用してやってきた。


少女が口を開く。

「ここのようじゃな?

 どこかに入口があるはずじゃが。」


その言葉に女性のほうが答える。

「妹は本当にここにいるのでしょうか?」


「ふう、答えは行ってみれば分かるじゃろ。」


そう言って、女性の手を引く少女。


しばらく進むと苔むした石段が見えてきた。


辺りには、霧が出てきていた。

もう朝を過ぎ、昼に近づいている。


周りの様子は明らかに不自然だったが、

迷わず進む少女と女性。


すると神社のものと思われる鳥居が見えてきた。

この場所にそんなものは建てられていないはずなのだが。


更に石段を登り、鳥居を潜る二人。


すると、彼女たちの前に、一人の侍姿の男性が現れた。


「邪馬台国女王卑弥呼殿とかぐや殿でよろしいか?

 ようこそ、派手な宴はできぬが歓迎する。」


その声から彼はまだ若い青年なのだろうと予想できる。


「私の名は建速須佐之男命。

 貴女の妹だった壱与姫の兄にあたる。」


青年は女性二人が驚く様を見て、微笑みを浮かべる。


「そんな、私には壱与以外に親類はいません。」


卑弥呼と呼ばれた女性はそう言い募る。


「失礼した。

 卑弥呼殿、

 貴女の妹君は私の妹に当たる建速須佐之姫命の転生体なのだ。

 訳あって妹は輪廻の中に取り込まれていた。

 その輪廻にあって、

 貴女の妹として転生を果たしたのが壱与殿なのだ。」


「我が一族は、故合ってあの蛇と敵対していてな。

 当時、蛇の復活を阻止するため、妹は貴女の元を去ったのだ。」


「だが、今その因縁に終止符が打たれたようだ。

 時期を見て、妹は貴女の元へと帰るだろう。

 もう、継承も果たされたしな。」


「ただ、その前に貴女には会ってほしい人がいる。」


こちらへ、とスサノオを名乗る青年は境内の奥へと二人を誘う。


そこには、穏やかな光を纏う一人の女性が立っていた。


「こちらは我が姉、天照だ。」


女性を紹介した青年は脇へと下がる。


「こんにちは、いや、おはようかな?

 わたしはアマテラス。

 まあ、今はこの地で神をやってる。」


「卑弥呼さんにかぐやさん、

 少し私の話を聞いてくれるかな?」


そうフランクな調子で語り掛けてくる天照を名乗る女性。


敵か味方か、暗躍する召使いと

着々と進む神々の計画、その全貌はまだ見えてこない。

いつもお読みいただき、本当に有難うございます。今回で第5章は終了となります。

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