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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す!  作者: ふりがな
第5章 信じるは絆、太陽が昇る時
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第69話 我が全てを賭けて 前編

三枝木さん達と合流した私達は、

タロス等が格納されたトレーラーに乗って現場へと移動し始めた。


前方の戦車隊も状況を把握しているのか、

持ち場から移動し始めている。


現場の中継はまだ続いている。


現れた8頭の巨大蛇は、その頭の一つから近くにいた女王卑弥呼に、

炎の息吹を放つ。


間一髪、軍団から飛び出た大天狗が女王を救い出す。


女王は大天狗に抱えられながら、

軍団に命令を下す。


「今、我らは悲願を果たす!

 皆、奴を地獄へ送り還せ!」


その言葉を受け、巨人達が現れた蛇へと攻撃を仕掛ける。


しかし、蛇はその身体を包む燃え盛る炎に守られている。


そこへ、軍団から前進してきた4つ頭の多頭蛇が、

その口から水流を発射した。


炎で身体を覆われた巨大蛇は、その巨体をくねらせ、

水流自体を嫌がっているようだ。


しかし、隠しようのないその巨躯では、

水流を防げない。


その間に巨人達の棍棒が、巨大蛇を打ち据える。


ただ、巨大蛇は卑弥呼側の多頭蛇の倍くらいある体長だ。


一番細い尾の部分ですら、5メートル以上の太さがあるし、


各頭が繋がる胴体部分に至っては、

その大きさが10メートルを超えている。


何せ蛇の頭の一つ一つが3メートルを超えるのだ。

口を開ければ小さな家屋を丸呑みできる大きさである。


意外に大したことないなって?


良く考えてほしい。


今現在、地球上に10メートル近い蛇は見つかっていない。


確かに古代にはいたらしいが、

今の常識ではもはや絶滅しているとされているそうだ。


この蛇の胴体は7,80センチくらいの太さであり、

その口で人間を丸呑みできるかもだ。


そこから分かるだろうが、卑弥呼側の蛇はその胴体の太さ自体は、

1メートル強くらいなのだ。


蛇と言うのはあくまでその体長の長さを大きさの尺度としている。


10メートル級の大蛇と言えど、人間を一飲みくらいが限界なのだ。

もちろん、卑弥呼の多頭蛇もその頭が繋がる部分は大きい。


だが、やはり蛇なのだ。


いわゆる尾を含む体長は数十メートルあるのだが、

その頭の大きさなどは1、2メートルくらいなのだ。


そんな頭が4つもあるし、各頭が横に展開するので、

その大きさは誇張されやすい。


しかし、卑弥呼の多頭蛇を超える巨大蛇は、

その頭一つが3メートルを超える。


想像し難いのであれば、部屋くらいの大きさの顔が、

4、5メートル間隔で8つ並んでこちらを睨んでいるところを

考えるといい。


要するに、この大蛇は一体で大通りの幅くらいに頭を展開できるし、

展開次第では巨人達を包囲殲滅できるのだ。


5メートル以上の巨人すら、

その大きな頭により一飲みに出来る巨躯である。


多頭蛇の水流を嫌がる巨大蛇だが、その頭は群がる巨人の横側へと

廻っている。


猛然と炎を放ち、噛みつく3つの頭。


多頭蛇の攻撃から離れる素振りを見せながら、

側面へと頭を展開して攻撃を繰り返すその姿は、

正しく災厄と言っていいモンスターだ。


激しく、そして狡猾に立ち回る巨大蛇に対し、

卑弥呼側から妖たちが襲いかかる。


包囲攻撃してくる蛇の頭に、大天狗や大鬼が反撃を開始する。


その手に大太刀を握る鬼たちと長い槍を構える天狗たち。


巨人の側面を狙う頭に対し、攻撃を仕掛ける。


炎を纏う巨大蛇だったが、妖たちは臆せず特攻する。


そして、それを見ていた岐阜の護り手たちも動き出した。


大通りの建物から対戦車ミサイルや重機関銃による十字砲火が、

長い尾の部分を襲う。


複数の首が繋がる本体と言える部分を狙うには、少し位置が遠い。

しかし、尾であろうとダメージは与えられるはずだ。


例え5メートルある尾と言えど、

集中砲火を喰らえば、千切れ飛ぶはず。


しかし、砲火の打撃はなかなか通らなかった。

ただそれでも、尾の傷は広がっていく。


やれる!!


前面で卑弥呼の軍勢が突貫する中、

後方では砲火により傷だらけとなる巨大蛇。


ダメージは確実に通っている。


そして、卑弥呼の巨人たちは、

遂に頭の一つを叩き潰すことに成功した。


怯む巨大蛇だったが、断続的に水流を放つ多頭蛇に対し、

炎の息吹を放つ。


多頭蛇はその攻撃を避けようと身をくねらせるが、

鬼たちが群がる頭をさらに迂回した頭の一つが多頭蛇を捉える。


一撃で頭の一つを食い千切られる多頭蛇。


水流の牽制が中断したと同時に、

巨大蛇はその身に纏う炎を更に燃え上がらせた。


潰したはずの頭と傷だらけになった尾がみるみる復活していく。


攻撃していた皆が唖然とするが、

そこに、路地から出てきた重機の一団が現場へと突入してきた。


複数台の大型のブルドーザーが、

互いに蛇の頭が繋がる胴体部分を挟み込むように突っ込んだ。


重いエンジン音を轟かせる重機たち、

他の路地からも大型トラックが尾の部分に体当たりした。


更にクレーン車が突進しながら、

吊るしたワイヤーを頭に絡ませるため、アームを振り回す。


複数のワイヤーが、蛇の頭を巻き込んで絡みつく。


クレーン車はそのまま胴体後方に突っ込み、

搭乗者は、車内から脱出した。


暴れる巨大蛇、クレーン車は横倒しになるも、

ワイヤーが切れない。


さらに、大型ブルドーザーは今なお胴体を締め付けている。


頭は首の繋がる胴体を抑えられ、

首の根本に位置するブルドーザーに対して攻撃が行えない。


その中、作戦行動中の陸自部隊が携帯式のロケット砲を持ち、

移動を開始。


民間の協力者とも作戦連絡の為、端末は繋げてある。

そこに、ある連絡が入っていた。


全速力で走る隊員たち、

その間も更に路地から重機の特攻が続いた。


ショベルカーのアームが次々と各首の根本に絡みつく。


数十トンある重機たちに抑え込まれる巨大蛇。


そして、今も妖や巨人たちの攻撃が続いている。


巨大蛇は、更なる力を解放しようと

声なき咆哮を上げようとする。


しかし、そこに移動し終えた陸自部隊が砲の狙いを定めていた。


携帯ロケット砲が次々に火を噴く。


狙いは、巨大蛇ではない。


巨大蛇の近く、大通りの一角で炸裂したロケット弾。


その瞬間、大きな水柱が空高く吹き上がった。


そう連絡にあったのは、水流に対し反応を見せる巨大蛇に注目した

民間の協力者が水道管を破裂させる提案をしてきたのだ。


辺りは水浸しになっているが、

果たして巨大蛇の動きが緩慢になっている。


卑弥呼の軍団の攻撃を受けても、回復する様子がない。

それに今まであったブルドーザーなどの重機への抵抗も弱くなった。


いける!


そこへ、陸上自衛隊の虎の子の戦車隊が到着した。

戦車隊は、そのまま全速で巨大蛇の頭側面へと突入した。


重機の運転者はブレーキを引き車体を固定、次々に脱出する。


水が溢れる道路、

思うように逃げられない作業員たちだったが、

妖である天狗たちが、彼らを救ってくれた。


巨人達が懐に押し寄せ、乗員のいなくなった重機と共に、

蛇の巨体を押さえつける。


側面に辿り着いた戦車隊は、蛇の頭部に向け発砲する。


その一撃で半数以上の頭を失った巨大蛇。


次弾を装填した戦車隊の次の発砲により、蛇は崩れ落ちた。


現場周辺から勝利の勝鬨があがる。


そこに妖云々は関係なかった。


皆、歓声を上げ、その身の無事にほっと胸を撫でおろす


ワァァァァァーーー。


誰もが勝利を祝う中、その声が皆の頭に響き渡る。


”私の片割れとは言え、何故このような手心を加えるのか?

理解に苦しみます。

我らが主に逆らうもの、

それは、すなわちそれは天に仇為す愚者なのです”


”手加減などいらぬ、やれ、蛇よ!”


その言葉に、崩れ落ちていた蛇が姿を変える。

砲弾を受け砕けた頭が崩壊し、中から新たな頭が生えてくる。


蛇本体もその身を変え始めた。

8つの頭のうち5つが崩れ落ち、大きな身体の大部分が崩壊した。


その身は卑弥呼の多頭蛇より一回り小さく全長は15メートルほど。

頭も3つと少なくなった。


明らかに小ぶりになった蛇だったが、

その姿を見た女王は良く通る声で叫びを上げた。


「逃げよ!

 毒を吐くぞ!」


その声に逃げ遅れていた人々を空へと退避させる天狗たち。


今まで戦っていた妖や巨人達も一斉にその場から後退する。


そんな中、蛇は3つの頭を上げ息を吸い込む。


その視線は、先程、頭を潰した戦車隊を見据えていた。


次の瞬間、緑色の吐息が戦車隊を襲った。


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