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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す!  作者: ふりがな
第5章 信じるは絆、太陽が昇る時
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第68話 終幕を告げる悪魔

私達が、配置に着いた頃、

岐阜市の北西に巨大な多頭蛇を中心とした卑弥呼の軍団が、

見えてきた。


さすがに流れ弾も予想されるため、

報道陣の退避も済んだはずだが、何処にでも例外はある。


今なお、最前線で取材し続けるテレビ局が存在した。


岐阜県などを中心に活動するローカルテレビ局である


彼らにとって、ここは地元とも言える。

全てを見届ける権利があると最後まで現地で中継をしていた。


まあ、おかげではるか後方に配置された私達にも、

最前線の様子が分かるのだが。


岐阜市内の阻止線に入る手前で、軍団は止まった。


そして、軍勢の奥から輿に乗った白い装束の女性が、

前に出てくる。


その姿や扱いから、

この事件の首謀者である女王卑弥呼と思われる。


彼女は輿から降り、岐阜市の大通りを歩き出す。


軍団から離れること10メートルほど、

彼女は、こちらに語り掛け始めた。


「ふふ、皆、難儀じゃな。

 そなたら、皆、死ぬ気かえ。

 この場でその気がないのなら、立ち去る時間を与えよう。

 そして、残るなら覚悟を決めよ。」


しかし、この場に来た皆は、言われずとも覚悟は決まっている。


決して死ぬ覚悟ではない。

この件を終わらせ、再び日常を取り戻す!


皆の目には、その強い意志が宿っている。


「ふむ、良かろう。

 皆、大儀である。

 ただし、汝らの相手は我らではない。」


「もとより、この軍勢では汝らの都には行けぬし、

 そんな時間はもうない。

 我らは他ならぬこの地に用がある。

 我らが戦い抜いたこの地にな。」


「さて、聞いての通りだ。

 悪魔よ、見ておろう。

 そろそろ出てきて、姿を見せてはどうじゃ?」


女王の声は、良く通る澄んだ声だった。


離れていても不思議とその声は、

最前線を守る者たちの耳に届いた。


ネット経由で放送されている現場をスマホで見ている私達にも、

その声は届いている。


” よかろう、その誘いに乗ってやろう ”


何処からともなく、威圧感のあるその低い声が発せられた。


女王の前、数十メートル先の大通り中央に、

蝙蝠の翼を持つ大きな何かが現れた。


その姿は、正しく皆が思う悪魔だった。


スマホの放送を経由しているわけでもないのに、

その声は頭に直接響いてくる。


「ふむ、ようやく会えたな。

 悪魔殿。

 妾の民に疫病を振りまき、当時の先住民族であったエンキタンと

 仲違いさせたのは、貴様じゃな。」


”ふん、古臭い者どもだな。

今の世にお前たちのいる場所などないというのに。”


「ふふ、そう言わず、

 この場にいる者に聞かせてやればいいのではないかえ。」


「皆の者、どうして人が戦を繰り返すか?

 分かる者はいるかえ。」


「人の歴史は、戦の歴史。

 そんな言葉が今はあるそうじゃな。

 確かに、妾のいた時代も小競り合い自体は多かった。

 それに大陸では大きな戦も行われていた。」


「じゃが、妾は戦が好きになれぬ。

 故に、国に平穏を望んだ。

 しかし、何故か上手くいかぬ。」


「まるで何かに操られるように、

 色々な問題が巻き起こった。」


「妾も当時はそれを治めるのに、必死じゃった。

 しかし、どんなに上手く治めたとしても、

 何故か争いは起こった。」


「妾もそれは人の性と思い諦めるに至った。」


「しかし、今、妾が生きた時代より、

 新しき歴史をこの地で学ぶ機会を得た。」


「そして、思ったのじゃ。

 その昔、存在したものが今はない。

 ここは、妾が生きた世より遥かな未来の地じゃ。

 しかし、何故か人は衰退しているように見える。」


「どうじゃ、悪魔殿。

 何か申し開きがあるかえ。」


”ふん、蒙昧なる者よ。

それが戦によってなされたと言いたいのか?

確かに、消えて行った技もあるが、

それを押して尚、進んだものも多くある。”


”人の歴史は戦の歴史。

だが、それは成長の歴史でもある。

競い合うことで、人は進歩する。

その最たるものが戦だったと言うだけだ。

我らは、この星の民を限りなき栄光の道へ誘っている。”


「ふむ、確かに、今の世を見れば、

 妾の生きた時代より便利にはなったようじゃ。

 悪魔殿の言い分も良く分かる。」


「じゃが、何故、進歩を求める貴殿が、平和を齎すのか?

 確かに、戦により進歩の道は早まったかもしれぬ。

 なれど、悪魔殿、貴殿は星の道を説く割に、

 この星を統一する気が無いように見える。」


「さらに言えば、進歩に戦が必要と言う割に、

 その進歩によって生まれた数々の技を敢えて失わせた。」


「貴殿らは、なぜ平和と戦の歴史を繰り返すのであろうか?」


”それは、、”


「妾が思うに、貴殿は戦や競い合い、そして挑戦などを司る。

 それを悪とは言わぬが、

 もう片方の者はどう思っているのじゃ。」


「そなたらは、主を同じくするも互いに違う考えを持っている。

 そして、そなたらの力、意思、そして地位全てが互角すぎる。

 故に、一方が戦による進歩を計ると、もう一方がその邪魔をする。

 その逆も然り。」


「どちらにも優劣はなく、

 だからこそ、貴殿らが治めるこの星は、

 戦争と平和が交互に到来するのではないかえ。」


「戦争も、平和も、

 貴殿らのその思想の食い違いにより、長く続かぬ。」


「貴殿らの主は、何故そのような仕打ちをしたのかえ。

 貴殿らが信じるその主とやらは、ただ退屈したくない。

 それだけなのではないのかえ。」


”ふむ、人とは面白いものだな。

その答えならもう我も気が付いている。

我の領分には姦計や策謀などもあるのでな。

我が半身を永き時、見ていれば自ずと分かる。

しかし、我らは主に逆らえぬ。”


”だが、汝の意見と我の知見は少し異なる。

人は、確実に進歩している。

それは間違いないのだ。

そして、このやり方が最も高みへと至る方法だと今確信した。”


”汝よ、かつてその答えに辿り着けなかった者よ。

なぜ、汝は今その答えを見出した?

我らの主は、そなたらが崇める者たちよりよほど高次の存在だ。”


”今まで多くの種族が、汝が知る場所より遠く果てしない高みへと

至っている。”


”汝らは、まだその道半ばなのだ”


”だから、見極めてやろう!

一度は切り捨てた汝らが再びその可能性を開けるかをな。”


”災禍の蛇よ、来たれ!”


その一言が頭に響くと同時に、


巨大な悪魔は消え去り、その場に8つの頭を持つ大蛇が現れた。


その巨体は、卑弥呼の軍勢にいる多頭蛇を大きく超えていた。


そして、その身は猛々しい炎を纏っている。


その光景を見た私達は、

何よりもその存在が危険であることを察知した。


これはまずい。


私達は、ランドナックル等の準備をする三枝木さん達の元へ走った。

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