第66話 岐阜、絶対防衛線その4 迫りくる脅威
戦闘機の撃墜映像が流れる中、
岐阜市内へと私達は辿り着くことが出来た。
岐阜市では、首都圏やここより東の県からの臨時バスが、
数多く詰めかけていた。
市内にある各避難所へ、政府の要請で手配された臨時バスが、
到着し、それに乗ろうとする人々が集まっている。
当初、岐阜市の西に当たる開けた場所に、
警察や自衛隊の防衛線が敷かれていた。
しかし、空自の戦闘映像から、開けた場所では、
敵の落雷などの攻撃により一網打尽にされる可能性が高くなった。
防衛線は遺憾ではあるが、岐阜市内に敷かれることになった。
複数のビルなどの建物を盾に、敵の落雷攻撃を防ごうと言うのだ。
大通りを車両の列で封鎖、
警察や自衛隊の車両は、複数の路地に陣を構える。
空爆を防がれ、今だ敵は健在、
ついでに敵の最大戦力と思われる巨人の軍団や
大蛇のモンスター相手では正面からぶつかるのは自殺行為だ。
また未知の落雷を放つ化け物もいる。
大通りと言う大通りを、無人のバリケードで塞ぎ、
その横合いや裏路地などに戦力を集中させる。
もちろん、大通りも素通りされてはいけないので、
道路脇に並ぶ建物に、
狙撃班や重火器を装備した陸自の部隊が張り付いている。
ただし、いつでもこの場所を移動できるように、
拠点化はされていない。
大通りで十字砲火を浴びせ、敵が路地に入ったところを、
封鎖している車両や人員で殲滅するのだ。
巨人と言えど、狭い路地では動きが制限されるはずだ。
空自の映像でも、機関砲の掃射で倒れた敵もいた。
しかし、全ての路地を封鎖することは叶わなかった。
大通りにも、ある程度の大火力が必要であり、
対戦車ミサイルや重機関銃などを敷設している。
路地のほうには、装甲車などの車両が配置されたが、
どうしようもなく岐阜市は広い。
大通りも路地も沢山あるのだ。
そこで、民間から集まった有志連合の出番がきた。
警察や自衛隊が配置できなかった場所を、
有志連合が埋めるのだ。
各所で大型ブルドーザーなどの建設用重機が待ち構え、
狭い路地で敵をなぎ倒す作戦だ。
関東圏や東北からも猟友会の人が集まってはいるが、
巨人たち相手では、銃の効果が薄いと思われた。
しかし、ブルドーザーなどであれば、
その突進で巨人と言えども大打撃を与えられると思われる。
倒せなくとも、その道を進めさせなければ、
いつか警察や自衛隊の戦闘部隊が止めを刺してくれる。
官民一体となって、この有事を乗り越えるのだ。
岐阜が堕ちれば、今度は名古屋に戦闘は移るかもしれない。
敵の目標は、恐らく首都東京であると考えられる。
奴らを名古屋や東京へ侵入させるわけにはいかない。
今まで色々な災厄があった。
ウィルスに地震、水難、日本と言う国は災害大国だ。
しかし、それゆえに団結した人々は強い絆で結ばれている。
今回だって、乗り越えられる、
今までも楽なことなどなかったのだから。
強い想いを胸に、それぞれの配置を決めていく有志連合。
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岐阜市に着いた私達だったが、
あの軍団と正面から戦うのは、あくまで警察や自衛隊だった。
まあ、当たり前だが、
私達は大企業とはいえ、一般の会社に勤めるサラリーマンである。
隠し玉のタロスとかあるのだが、
そんなことは私達しか知らないのだ。
戦いが始まった後に、
大通りに転戦すればいいって?
それは無理な話だ。
どうやら、大通りは重火器による集中砲火が予定されているらしい。
もちろん、弾には限りがあるだろう。
作戦では、敵勢力に大通りを迂回させ、狭い路地に追い込んで、
各個撃破を目指すそうだ。
一際大きく名古屋に続く幹線道路である国道22号の木曽川向かいには、
数少ない戦車隊が配置されているようだ。
航空戦力が当てにならない今、主力とも言えるだろう。
木曽川の電車用の橋には、空にした列車が停められ、
バリケード替わりに使われている。
機動戦に備え、ヘリなども飛んでいるが、
妖狐を警戒して、前線には出ないだろう。
さて、今作戦本部が置かれているのは、広い公園である。
普通災害時は警察署や市庁舎などが使われるかもだが、
今回に限っては、県外からも多数の参加者がいる。
方面別に指定された公園で配置を決められる。
アテナさんは、
「ううむ、人は多いがこれで止められるだろうか?」
そう言い考え込む。
実際、私もあの蛇の化け物が毒を吐くとすれば、
まずい結果になると思う。
ただ、私達のみであの軍団を止められるとは思えない。
「重機等は作戦的には有効だと思いますよぉ。」
と天明さんはこの作戦に前向きのようだ。
あの骸骨兵士はともかく、巨人や妖は手強い。
大きな身体はそれだけでも凶器だし、
妖に至っては何らかの特殊能力を持っている。
その上にあの巨大蛇だけでなく、複数の尾を持つ狐の妖もいる。
臨時の作戦所になっているテントの受付に行く私達。
三枝木さん達も一緒だ。
配置を決定している指揮所に案内され、
私達は移動する。
参加に当たって、自己責任などの書類を書かされ、
連絡用の携帯番号やメールアドレスを登録する。
係の人が私達を見て心配そうだったが、
今は彼らも忙しい。
途中で引き返した人も多かったはずだが、
予想以上に参加者は多いようだ。
私達は前線となる場所からかなり離れた後方に配置された。
まあ女子供だし、片方は人型ロボットとかいう怪しげなものだ。
戦力的に大型ブルドーザーの方が頼りになると思われたらしい。
というか、国道22号の戦車隊より後方を指定された。
これだと、今来た道を引き返すことになるだろう。
はあ、私達を心配しての配置みたいだが、
これはしばらく静観することになりそうだ。




