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俺は人生を捧げない、私は全てを取り戻す!  作者: ふりがな
第5章 信じるは絆、太陽が昇る時
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第64話 岐阜、絶対防衛線その2 名古屋

新幹線で京都を出発した私達は約30分後、名古屋に到着した。


少し車内で眠った私達だったが、まだ疲れが取れない。


当たり前だが、昨日は徹夜で戦闘まであったのだ。


さすがに、このまま決戦など行いたくはない。


はあ、ホームへ出て背伸びをする私。


天明さんも、さすがに軽口を叩く元気はないようだ。


とりあえず、朝食を何処かで食べよう。


そう思いながら、ホームを見渡すと、随分色々な人がいるものだ。


昨日からの一連の事件があったわけだが、

今日も仕事の会社員らしき人達が多くいる。


しかし、その中にお寺の僧侶姿の集団とか、神社関係の人とか、

どう見ても普通じゃない人が混じっていた。


ううむ、テレビの映像では、はっきりしていなかったが、

骸骨姿の兵士とかが、あの軍団にはいた。


それに、映像の中心は例のヒュドラのような奴だったし、

巨人もいた。


右藤住職みたいな実戦的なその関係筋が、

日本中にいるのかもしれない。


ちなみに、京都で見た右藤住職だが、

今回話すことはできなかった。


何か凄くお偉い方がいるらしく、

彼もまた動き回っていたからだ。


うん、凄く立派な僧衣を着けたお坊さんがいた。


何が違うというと、

何となく見たのだが、かなりのオーラを放っていた。


右藤住職も実戦では、法力とか言うものを使っている。


仏教関係なのは分かるのだが、そういう人っているんだなぁ。


今更ながら感心する。

昔は、そういうのは漫画だけと思っていたしな。


私自身、そんな漫画の世界の一部になった感じなのだが。


天明さんとアテナさんに、朝食を食べようと声を掛ける。


「そうですねぇ。

 昨日今日大変でしたしねぇ。

 まだ朝ですけど、もう1週間は働いた感じです。

 何か美味しいものを食べましょう。」


「そうだな。

 さすがに私も疲れた。

 昨日は本社から帰って、そのままアレだったからな。

 ただ、時間も時間だから、駅の構内で食べるとしよう。」


と二人からより良い返事を貰った。


駅の構内をスマホ頼りで進む私たち。


うむ、何か、ほど良く甘いトーストを食べられた。

というか、私はお腹が膨れて眠くなってきた。


アテナさんと天明さんに着いて行く私だったが、


「ふむ、七果、眠そうだな。」


「仕方ないですよ、アテナ。

 徹夜で気を張り詰めてましたから。

 移動はタクシーを使いましょう。」


二人はそう言って、

私の手を引いてタクシー乗り場へと連れて行く。


うつら、うつらしながら、タクシ―で移動。


アテナさんの目指す配送センターに到着する。


タクシーから出て、その場を見渡すと、

広い駐車場に大型トラックが並ぶ何かの倉庫と事務所があった。


アテナさんが、事務所の方へ歩き出す。


「おはようございます。

 警備部門のクランベリーです。

 所用で呼び出されたのですが。」


事務所の前にいた何人かの男性グループに、

挨拶をするアテナさん。


うん?

何か見覚えがある人が、、


「おう、クランベリー主任。

 うん、そっちのお嬢ちゃんとは初顔合わせだな。

 私は、本社で新装備を研究開発している三枝木だ。」


この人、前に合った人だ、、


「あっと、

 初めまして、おはようございます。

 私は七福七果です。

 以前、叔父がお世話になりました。」


と、慌てて挨拶を返す私。

設定、忘れてた!


「ふーん、叔父さんは元気かな?

 また金剛を見せに来てくれるよう、伝えてくれると助かる。」


と三枝木さんが答える。


「ふむ、三枝木殿。

 今日は何故こちらにいるのだ?」


困っている私を見て、アテナさんが話題を変えてくれた。


「ふふ、ここに来たのは例のモノが見れるからだよ。

 クランベリー主任、君の用もそれだろう。」


「あとは、実戦に参加するためだ。」


うん?


「こちらの彼女は知らないようだね。」


「さて、それじゃ案内しよう。

 こっちだ。」


そう言って、三枝木さんは先頭に立ち、案内してくれた。


少し歩いたが、奥の倉庫になるのだろう。

そこには、コンテナが幾つか並んでいた。


中心にかなり大きく頑丈そうなものが、

その横に2つほどやや小さいものが並んでいる。


アテナさんは大きな方のコンテナに歩いて行き、

そちらに来るよう手招きする。


近寄っていく私達。


10メートル、いやもう少し大きいか?

そんなコンテナだが、何か未来的な感じだ。


コンテナに取り付けられたパネルを開き、

その下にある装置に手を押し付けるアテナさん。


すると、信号音がして、

次にアテナさんは双眼鏡のような機械を覗き込む。


”生体認証完了”

”ロックを解除します”


電子音声がパネルから流れてきた。


すると、三枝木さんが近くにいた整備士らしき人に合図する。


程なくして、コンテナの中身が見えるようになった。


うん、中にあったのはSFチックな人型の巨人だった。


SFのようなと言っているが、

私達日本人が考えるタイプのロボじゃない。


機械と生体が合わさったような、

本物の宇宙人がいたら、こういうのを使ってるんだろうなと

何か腑に落ちる感じがするものだ。


金属めいた感じがするのだが、何故か触ると柔らかい。

硬さと柔軟性を両立しているその皮膚のようなもの。


人間のような特徴はあるが、根本的には異質な感じ。


「これ何なんです?」


とアテナさんに聞くと、


「これはタロスと言う。

 まあ有体に言えば、異郷から来る野生生物を狩る無人機だ。」


異郷から来る野生生物ってなに?


そんな私の疑問に、


「はあ、説明しなかったのかな、クランベリー主任。

 これは彼女の国で見つかった宇宙人か何かのロボットだよ。

 クランベリー主任の国は小国なのに随分儲かっていてね。

 その理由がこのようなオーバーテクノロジーの存在なのだ。」


と三枝木さんが答えてくれた。


「彼女曰く、

 これは今襲ってきている怪物や

 何かを退治するためのものらしい。」


「今回は役に立つだろう?」


そう続ける彼は、


「まあ私達が作っているのも今回初お披露目になる。

 ランドナックル試作型と1号機が、隣のコンテナにある。」


と隣のコンテナを指さす。


「はあ、しかし何故人型なんですか?

 色々な事情でもあるんですか?」


ううんと唸って、アテナさんの方を見る三枝木さん。


首を横に振り、アテナさんが口を開く。


「七果は、現在の兵器類について言っているのだと思うが、

 現実問題、異郷の怪物に人間の武器が効果的だと思うか?」


その質問に私は困惑する。

私は日本にいるので、銃などの性能は分からない。


そして、私の得物は、太刀なので

時々飛び道具があればと思う時がある


剣術とか習ったことがないし、今も苦労している。


「ふう、七果の太刀は、今の米軍の戦車砲に匹敵するぞ。

 そもそも、今まで銃の出番はなかったが、

 実際、特殊な人物が使うもの以外、飛び道具はほぼ効かないぞ。」


「まず、最初のヘルハウンドですら、クマより強い。

 クマを倒すには、銃の中でも強力な物が必要だろう?」


「そして、何故、七果の太刀が戦車砲弾並なのかだが、

 そもそも、異郷の者の身体は非常に進化した霊体を素にしている。

 よく小説に魔力がないから、現代兵器は通用しないなどの設定があるな。

 だが、ここは小説じゃないが、実際のところ、

 異郷の存在の身体は

 現代科学で言うダークマターで出来ている感じだな。

 結界の類も同じような原理で、

 通常の空間から少し位相をずらすことで、

 物理現象の影響を抑えることが出来ている。」


「幽霊の類に銃砲や刀剣類は効くとは思えないだろう?」


「異郷出身ということは、この世界の外からやってきたと言うこと。

 つまり、この現実の他の世界へと渡れる者だと言うことだ。

 用がある時だけ、こちら側に姿を現すため、

 こちら側との接触はあちら側次第となる。」


「こっちに姿だけ少し映しただけの状態なら、

 こちら側の攻撃など効くはずもない。」


「このタロスだが、生体組織と現代で言う機械を融合させたものだ。

 まあ、起動前なら今の人間でも破壊は可能だが、

 動かしてしまえば、相当な攻撃にも耐えられる。

 タロスは異郷の怪物を模倣した技術が使われた対ソレ用の制圧兵器だ。」


とアテナさんが解説してくれた。


要するに、こっちの世界に20%姿を出して、

あっち側に80%の身体がある。


そんな状態だから、現代兵器の威力が著しく下がってしまうのか。

しかも、致命傷になる部分をこちら側に出さないなら、

どんな攻撃も一撃必殺にはならない。


「そうだな、七果の太刀は霊的エネルギーの塊だが、

 今の科学で言うなら、ダークエネルギーのような超高エネルギーを

 形にしたものとも言える。」


なるほど、となると私の身体も大津の武将と同じような状態なのか?


アテナさんの隣で解説を聞いている三枝木さんを見て、

あれっ、これって結構重要な秘密なのでは?


天明さんとアテナさんが笑顔を浮かべている。


「やあ、久しぶりだね、七福さん。

 約1か月ぶりかな?

 姿は随分可愛らしくなったね。

 良かった、生きていてくれて。」


そう笑顔を向けてくる三枝木さんは、ゆっくりサムズアップした。


私は、思わず少し涙が出て、慌てて服の袖で顔を拭った。



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