第59話 災禍の夜その1 状況開始
いつもお読みいただき、本当に有難うございます。とりあえず、予定通り少し状況を進めてみています。
加具茂寺で会ったラファエル・サンエンタングル。
彼は、今回の事件に興味があるようだった。
そもそも、私達は前の事件でサリエルという天使な男性が、
なぜ加具茂寺側に加勢していたのか、事情を知らない。
同じように、ラファエルも天使であるのなら、
彼らは日本でどんな活動をしているのか?
天使の実在など、今では疑う余地もない感じな私だが、
伝承にあるように、正義や人間の為、身を盾にして戦っている、
というには疑問がありすぎる。
どんな存在も己の利益を考えて行動しているはずだ。
そもそも、例の召使いはかなりの高位存在らしいが、
正義とかではなく、自分の都合を優先させている感じだ。
まあ、自分というか、自身の主のためらしいが。
ただ、今回のラファエル氏の申し出は、私達にとって僥倖だ。
正直、最悪、猛毒を吐く多頭蛇が復活し、
その結果、大きな人的被害が予想される。
彼らは、今日の午後、東京へと戻るそうだ。
あちらには、約1か月滞在するらしいので、
協力してもらえるなら、本当に有り難い。
今分かっている事を話し、東京の遺跡について、
場所などの情報を共有する。
まあ、普通会ったばかりの相手をここまで信用するのはまずいだろう。
しかし、何分にも頼る相手が今そうはいない。
その点で竜を退散させたサリエルのお仲間で、
こういう事に明るそうな彼を頼るのはベストかは分からないが
ベターではあると思う。
お互いの連絡先を交換し、
何か起こった場合は彼らも駆けつけてくれるそうだ。
私達は、右藤住職とラファエル氏にお礼を言い、
研究所へと引き上げた。
その夜、8時過ぎに東京からアテナさんが戻ってきた。
何かを持っている感じではないが、
車の方に置いてあるのかな?
ーーーーー
夜11時。
社員寮の自室で、そろそろ眠ろうかと言う時間、
自室の扉を激しく叩く音がする。
はあ?
これは天明さんか?
今の時間、隣室とかに迷惑なんじゃないのか。
そう思いながらも扉へ向かう私。
「七果さん、大変です!
起きてください!」
天明さんの大きな声が外から聞こえてくる。
何か切迫したことが起きているようだ。
急いで、扉を開けると、
天明さんとアテナさんが、雪崩れ込んでくる。
余程急いでいるらしい。
用件を聞こうとする私だったが、
天明さんの方がそれより早く話し始めた。
「テレビを見てください!」
そういう彼女たちの慌てた様子に、
気圧され無言で自室に設置されたテレビをつける。
丁度、朝いつも見ているニュースのチャンネルが、
映った。
夜11時を回った頃、通常なら深夜帯の番組に移行していても
おかしくない。
だが、今、テレビでは緊急速報が流れている。
実況のアナウンサーが、状況をしきりに捲し立て、
その映像の向こうでは、大勢の警官隊の姿がある。
ニュースキャスター
「・・・該当地域の方、現在外は大変危険ですので、
できるだけ、屋内の隠れられる場所に身を置くようにしてください。」
「引き続き、緊急速報をお届けしてまいります。
現在、滋賀県大津市で停電が発生しています。」
「この停電の規模は拡大しており、
当該地域から複数の110番通報が入っています。
現在、情報が錯綜していますが、
寄せられた目撃情報から、
何らかの武装集団が滋賀県大津市内に潜伏している可能性があります。」
「それでは、現場の西伊アナに状況を説明してもらいましょう。
西伊さん、どうなっているのでしょうか?」
「はい、ここは国道1号線を京都市方面から大津市内へ向かう途中にある、
山沿いの場所です。
ここから大津市中心部の繁華街まて5kmほどの地点です。
現在、この場所から少し行った場所に警察の規制線が敷かれています。
一般車両の通行は制限され、
京都方面からの車は皆、迂回路を探し引き返しています。」
興奮気味に話すアナウンサーの男性は、
道路を歩いて進み、警官隊が見える場所へ移動。
「先程、京都、大阪方面から来たと思われる機動隊の乗った大型車両が、
この規制線の向こう、大津市内へと入って行きました。
現場となる大津市内の様子はここからでは確認できません。」
ニュースキャスター
「今どんな状態なのでしょう?
西伊さん、警官隊の方から現地の様子を聞けませんでしょうか?」
西伊アナウンサー
「すみません、私も先程、警察官の方に状況をお聞きしたのですが、
現在警察の方も状況把握ができていないとのことで、
現時点では話せることはないということでした。」
「ただ、現在、大津市警察署との連絡は取れていないそうです。
市内は明かりがなく、数々の目撃情報がネットを中心に寄せられている
状況だそうです。」
ニュースキャスター
「何らかのテロの可能性はあるのでしょうか?」
西伊アナウンサー
「それは私も尋ねたのですが、
残念ながら、今のところは何も判明していないとのことでした。」
「現在深夜ですが、他県からも複数の警察車両が集められているようです。
中には、防弾ベストを着ていると思われる重装備の警察の方もいて、
現場は物々しい雰囲気に包まれています。」
ニュースキャスター
「それでは一旦、スタジオの方に戻します。
また何かありましたら、実況の方よろしくお願いします。
西伊アナ、どうかご無理はしないようにしてください。」
「それでは現在分かっていることを改めて整理してみます。
今日午後9時頃、滋賀県大津市南部で大規模な停電がありました。
その後も停電の範囲は拡大し続け、現在大津市内全域に広がっています。」
「その後になりますが、スマホによる写真や動画と共に、
多数の武装した集団が市内を荒らしているとの110番通報が警察に寄せられ、
滋賀県警は各所から集めた警官隊を現地入りさせました。
ただその後も、武装した集団の目撃情報は増え続け、
現在、警察による規制線が張られ、当該地域への立ち入りを制限されました。」
「また、インターネット関連の大規模障害、固定電話の不通といった通信手段の
障害により、現地の状況が掴みづらい状況が続いております。
初めは寄せられていた現地の動画情報なども、現在は途絶しております。」
「それでは、局のほうに寄せられた画像や動画を検証してみたいと思います。」
まだ、キャスターの説明は続いているが、
スマホで撮影したと思われる画像には、直剣を持った骸骨が複数映っている。
さらに、ある動画では、身の丈5メートルくらいの巨人が繁華街を荒らしている。
デカい棍棒を持つソレは大蛇事件で金剛が倒した奴と似ている。
大きさは違うが!
いずれも古代の兵士らしき武具を纏った幽鬼のようだ。
ただ、今までと違って一般人にも見えているし、具体的な被害も出ている。
ニュースでは、幾つもの画像が公開されており、
緊急速報が続けられていた。
私は急いで、外に出る支度を整えた。
テレビを消すため、リモコンを持つ。
ニュースキャスター
「未確認ですが、現地では複数の発砲音を聞いたという証言もあります。
これをお聞きの大津市の皆さん、どうか身の安全のため、
家屋の鍵を掛け、安全な場所に身を隠してください。」
「政府の緊急会見が___」
私はテレビを消し、
同僚二人と待機しているという小野寺所長の元へ向かった。




